「魔導王のまま異世界から戻ったので、魔術革命を起こし世界を牛耳ろうと思う」 霧嶋透

　幼い頃に何のチートも与えられず、言葉も分からないまま異世界セラに強制転移させられた加賀美レンは、最下層の奴隷から10年かけて魔術を学び、大公国の君主にまで成り上がった。しかし、“魔王崩れ”と呼ばれる魔族の一派との戦闘のさなか、魔方陣に巻き込まれて飛ばされてしまう。元の世界に。
　世界に魔力がほとんどなく、魔術も十分に使えない故郷に戸惑うレンだったが、魔王軍の残党達が密かに日本国内に流れ込んでいる事実を知り、これを好機と判断した。
「……もし。俺が異世界に関わる全てを掌握した上で魔術をもたらせば、戦わずして世界を掌握できるのでは？」
　彼は異世界帰りの『勇者』ではなく、さまざまな諸勢力がぶつかり合う要衝に建国された新国家の初代元首、クロイツェン大公だったのだ。彼にとって優先すべきは人類の救済ではなく国家繁栄だった……。

　異世界帰りが現代社会でも最強パターンは他にもあるけれど、軸足を地球ではなく異世界に残したままというスタンスの話は珍しいかな。ちょっとピカレスクなテイストの主人公ですが、無事に世界を牛耳ることができるのでしょうか？

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