
自分の部屋なのに、目の前には見知らぬ少女が3人。彼女たちは将棋の駒の化身で、これだけ将棋が好きで、練習して、それでも強くなれない歩を見かねて……というか、小学生の暴言が腹に据えかねたというところもあるらしい。
自分たちは人知を超えた将棋の強さを持つ、香車、桂馬、歩の駒の化身であり、歩を指導してやるというのだが、もしそれが本当なら他の駒はどうしたのかと訊くと玉将や飛車角たちは「弱いやつはキライ」なんだそうだ……。
章ごとにはさまる将棋初心者講座は良い感じなのだけれど、将棋の話なのに駒のイラストがないなあ。中イラストで駒が描いてあるのが1つだけで、彫り込んだ文字まで判別できるのは裏表紙のカット1つだけか。悪くは無いけど、ちょっとだけ寂しい。
ストーリーは王道。勝敗があるならスポーツも囲碁将棋も、同じ土俵です。好意を寄せる先輩が居て、倒すべきライバルが居て、普通は共に戦う仲間がいるのだけれどそこはなぜか駒娘。最初の高飛車な親子以外、駒娘はあくまで感想戦と指導のみというスタンスもすっきりしていて、虎の威を借る狐みたいなところがないのも好感。
「一番強い奴を倒してこそ、勝負事は面白いんやないか。他人任せはあかんで」
香車だけなぜ関西弁なのだろう。
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