《ミズモチさんはプルプルしながら、あなたへ話しかけています》
阿部秀雄はブラック商事勤務の40歳。中肉中背で頭髪がそろそろ寂しくなっている。この日々の激務に追われ、愉しい趣味のひとつもない冴えないおじさんが、電柱の下でスライムが捨てられているのを見つけ、その可愛さに思わず連れ帰ってしまった。
そのスライムに見た目のままにミズモチと名前を付けて可愛がっていたのだが、魔物は魔力を定期的に吸収しないと死んでしまうし、そのためには《ダンジョン》に潜らないといけないらしい。仕方がないので阿部は冒険者ギルトでテイマー登録すると、ミズモチを連れてダンジョンに挑むのだが、いきなり現れたゴブリンとの戦闘で髪をむしり取られてしまう……。
この際、スキンヘッドにしてみました。
ダンジョンが現代に出現した世界で、スライムをテイムした中年サラリーマンが副業に冒険者を始め、それが意外に性に合って気分転換になるし、小遣い稼ぎとしてはそこそこ優良だと分かったし、女の子とも親しくなる機会が増えました……という現代のんびり生活。
だいたい物語にレギュラー枠で登場するスライムは有能。もともとＴＲＰＧでは強キャラ扱いだったので、日本のコンピュータＲＰＧで定着した雑魚キャライメージが「ドラクエの影響強すぎ」って話です。ファンタジーでは『
スライムなダンジョンから天下をとろうと思う。』とか『
神達に拾われた男』など、「雑魚扱いだけれど、育て方・使い方では強くなる」という折衷ラインが主流です。
この話のツボは、レベルアップで提示される獲得可能なスキル一覧に必ず「育毛」が入ってくること。取りたくて取りたくてたまらないのに、必要ポイントが大きいし、他に取らなくてはいけないものが多いので毎回泣く泣く断念するくだり。
【道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました～おじさんとスライムのほのぼの冒険ライフ～】【イコ】【いもいち】【カドカワBOOKS】【
カクヨム】【スキンヘッド】【杖術】【シチュー論争】【世界魔物対策機構】
聖女アリスの配信に同じ聖女であるセリーヌとシェフ・ラビットがメンバーに加わり、人気はうなぎ登りで盤石なものになりつつあったのだが、「魔王復活」の知らせにより、セリーヌは単身王都へ帰ることになってしまう。いろいろ案件の処理やら雑用だけを残して。
天宮楓は探索者の中でも不遇職といわれる弓使いだ。18の年に覚醒したスキルが【魔法矢】で、魔力で矢を作るユニークスキルということで期待されたものの、それだけで飛距離が伸びるわけでも威力が上がるでも必中というわけでもないので、なら銃を使った方が強い……ということになる。そのため弓の能力を上げるためにステータスが偏ったことで伸び悩み、パーティーを組んでも上手くいかない。自然と初心者パーティーに加わって彼らがダンジョンになれるまで指導することが多くなり、ついた仇名が「案内役(ナビゲーター)」。
「人生は、クソだ。
ダンジョンが出現している現代社会。ダンジョン探索者に物資を提供する調達屋を営んでいる川島翔坊ことトンボには、実はアイテムボックスを経由して宇宙の裏マーケットで物を交換することができる。だが、地球のありふれた品が銀河社会でどれだけの価値で取引されるかはいまだ未知数だ。猫宇宙人も宇宙アイドルも交換で押しつけられたガラクタの中から発見、救出されて仲間になったのだ。
「人の世に生きるということは、心に痛みを覚えることも当然あります。それを予め完全に排除しようとする方が、鳥籠の牢獄ではありませんか」
「わたくしはそれを知り、どこか安心してしまいましたの。（現代日本が）このような素晴らしい世界であっても、人そのものはわたくしの世界となんら変わらないのだと」
日本各地にダンジョンが出現し、魔物の潜むダンジョンに潜って収穫を得る『探索者』が一つの職業となった時代。探索者学校の新入生、藤原司が目覚めたクラスは評価は最低の『荷物持ち』。だが、彼はただの荷物持ちでは無かった。前世では英雄パーティーの荷物持ちおっさんであり、その功績から転生時に女神から『荷物持ち』を極めるための２つのスキルを与えられていたのだ……。
突如ダンジョンからあふれ出した魔物が東京を蹂躙した迷宮災害から18年が経過した2025年。迷宮でモンスターを倒す事で一般人では得られないスキルを手に入れたり身体能力が向上することから、迷宮に挑めるのは警察・自衛隊、そして資格を取得した冒険者に限定されているのだが、その様子を配信する冒険配信が昨今の流行だ。
「日本は平和ですが、闇がないと思っているなら、幸せな人生を歩んできた証拠ですよ」
「あの人はそういう人だ。人間が小さいんだな。うん……あと、金に汚い」
「白衣は人が開発したもっとも優れた衣装だ。これさえあれば他に服はいらない」
「100万なんてはした金だ」
「頭蓋骨と腰骨の形状からして、男性。頭頂部と歯の摩耗具合から見て、年齢は30歳半ばから50歳前後。ああ、食糧事情からして、上限はもっと低いかもな。死因は不明。死後、少なくとも……10年以上だな」
時はコロナ禍真っ只中。顧客の激減にあれこれ対策しようと四苦八苦のレストラン、オーナーシェフの誠が見つけた鏡にはそこに居もしない少女の姿が映っていた。異世界と現代日本をつないで音と映像を映し出す鏡は、生き物の行き来こそ出来ないものの、そうでなければやりとりできるらしい。
