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アメリカの小学生が読むアメリカ史 そして日本のアメリカ史研究入門のいくつか その3

2015年08月25日 | オリバー・ストーン、ピーター・カズニック

                          ▲『アメリカの小学生が読む歴史教科書』 2005年 Japan Book 定価1500円+税

 

 

アメリカの小学生が読むアメリカ史 そして日本のアメリカ史研究入門のいくつか その3

 

日系アメリカ人の強制収容

 

「アメリカ西海岸には多数の日系アメリカ人が住んでいました。真珠湾攻撃の後、アメリカ人は日本人に激怒しましたが、その怒りは不当にも日系アメリカ人にも向けられました。日系アメリカ人は信頼できない、そしてアメリカに対してより日本に対する忠誠心のほうが強いと非難しました。政府の役人でさえも、日系アメリカ人は日本のためにスパイ活動をしていると主張しました。 」

「ローズベルト大統領が署名した「臨時命令」はとくに日系アメリカ人の排斥を命じていませんでしたが、結果的には多くの人が、抑留されることになりました。「スパイ行為や妨害行為」を防ぐために、軍の司令官は危険と思われる人間を捕らえ、何の裁判もなしに、強制収容所いれることができると、その命令書は規定していました。アメリカにすむ約2000人のドイツ人とイタリア人が危険であり、収容所に抑留されるべきであるとされました。そして、その家族たちは、望むのであれば、彼らと一緒に行ってもよかったのです。」

「しかし、日系アメリカ人には何の選択権も与えられませんでした。11万人以上の日系アメリカ人の男性、女性、子供が、西海岸の家を追い立てられました。」

「政府がこの日系アメリカ人を抑留する命令を取り下げたのは、1944年の終わりのことでした。今日では、ほとんどのアメリカ人がこの命令は人種差別に起因するとんでもない不公正なものであったと認識しています。ドイツ系アメリカ人とイタリア系アメリカ人は、こんな極端な扱いは受けませんでした。」

「アジア系の人たちだけが、忠誠心がないという疑いだけで隔離されました。」

「アメリカは海外で人権のために戦っていましたが、本国では多くの罪なき人の人権を奪っていたのでした。」

『アメリカの小学生が読む歴史教科書』 (210~213頁)

 

「アメリカは海外で人権のために戦っていましたが、本国では多くの罪なき人の人権を奪っていたのでした。」

このアメリカの『アメリカの小学生が読む歴史教科書』でよく目につく文体の特徴は上のようなもの。

アメリカは正しいが、ちよっと行き過ぎや、間違いがあったという論理構造。

このタイプの文の構造をもったものがこの歴史教科書に随所に出てくる。歴史的事件ごとに表を使って整理したい誘惑に駈られた。抄録が終わり次第取り組んでみよう。

 

なお米国の太平洋戦争中のアジア人に対する人種差別については、ジョン・ダワーの『容赦なき戦争』 が徹底して詳しい。

 ▼ジョン・ダワー『容赦なき戦争』 

▲ジョン・ダワー 猿谷要監修 斉藤元一訳 『容赦なき戦争』 2001年 平凡社 定価1600円+税

最初、TBSブリタニカから出版されたが、のち平凡社ライブラリーに収録。

目次は以下▼

 ▲▼  『容赦なき戦争』 目次

 ▲▼ 『容赦なき戦争』 目次

▲  『容赦なき戦争』 目次

 

次回は 『アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書』 その4 原爆投下

アメリカの小学生(高学年)が学ぶ歴史教科書には「原爆投下」はどのように書かれているのか? 

 

つづく

 

 

 

 

 



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