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2018年5月 パレスチナ イスラエル問題 1-3

2018年05月12日 | パレスチナ・イスラエル

           ▲『ユダヤコネクション アメリカ=世界戦略を決定するのは誰か』1991 三交社

 

2018年5月 パレスチナ イスラエル問題 1-3

 

2018年5月 パレスチナ イスラエル問題 1-3

まもなく、2018年5月14日に、イスラエルが言うところの建国70年となる。

イスラエルは、ユダヤ歴の建国日に直すと、すでに4月中に建国70年行事を行っている。

国際的な外交姿勢ではアメリカはイスラエル・ロビーの影響化のもとにあることは、さまざまな証言や事実から明らかなのだが、2017年12月トランプが、イスラエルの首都をエルサレムと認め、テルアビブにあったアメリカ大使館をエルサレムに、この5月14日移転する予定である。

これより先、すでに、エルサレムをイスラエルの首都とすることの決議はアメリカ議会では1995年に決定されていたのだが、国際世論・アラブ・パレスチナの反対もあって、実施は凍結されていた。

2017年6月5日にアメリカ上院議会でのイスラエルのエルサレム首都承認案は1995年にできた法律「エルサレム大使館法」を再確認したのだが、上院100人のうち賛成90人、棄権10人、イスラエル寄りの政策に反対を唱えた上院議員は皆無となった。

1970年代にはまだリベラルな有力議員の中には、極端なイスラエル寄りの政策をきちんと批判する人々はいたのだが、今後中東地域には暗澹たるアメリカ・イスラエル外交政策の始動が予想される。

5月12日報道によれば、イスラエルが占領中のゴラン高原では、イスラエルとシリアの間でミサイル攻撃が起きたと伝えている。

外交政策をめぐる公正さについては、歴史的には過度にイスラエル寄りの姿勢を批判する議員は下院議員中心として、アメリカには一定数はいたのだが、いまや、2017年には民主党・共和党を問わず、国民益とは何かと異議意見を口にするまっとうな上院議員は消滅してしまった。ということなのだ。

トランプの「イスラエルのエルサレム首都移転方針を撤回すべき」とした国連総会での決議案は2017年12月21日に採択。賛成国128国、反対9国(アメリカ、イスラエル、グアテマラ、ホンジュラス、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウル、パラオ、トーゴ。

 

日本のジャーナリスト田中龍作の最近の報告(田中龍作ジャーナル・2018年5月7日)によれば、アメリカ大使館にする予定の場所・建物は、すでに領事館として、かつて第一次中東戦争でのイスラエル勝利のあと、停戦エリアとした地域であるといっている。非武装地帯・休戦ライン上に、アメリカが、イスラエルの領土と承認し、追認した象徴のような場所なのだと。

田中龍作いわく

「アラブの板門店」「パレスチナの板門店」が、2018年5月14日に、「アメリカ大使館」となるということだ。

田中龍作は新大使館予定のアメリカ領事館前で、撮影をしているから、ぜひ写真をじっくり眺めるといいだろう。

停戦ライン上にある地域よりずっと東方まで、イスラエルは第二次中東戦争で占領地を拡大しているから、ここに、宗主国アメリカの領事館が建っているわけだ。(もっとも、アメリカの外交政策に関してはどちらが宗主国なのかわからないのだが)

 

 

  ▲新訂増補『世界民族問題事典』2002年11月 平凡社 より

 

国際問題が新聞・メディアに出る時、参考になるのは、平凡社の『世界民族問題事典』

署名入り記事なので、誰がどのような立場で発言しているのか、真偽を判断するにも執筆者を確認できるので、重宝する。

ウィキペデイアは、一般的な事項については役に立つが、国際紛争・国際政治・工作事件などに関しては、特定のバイアスがかけられているのに、誰がどのような立場で語っているのか一向に判明しないのである。事件と歴史資料・資料解釈は論文では署名記事が当たり前なのだが、論理性・客観性をどう担保するのかウィキペデイアは言及しないものに細心の注意を払う必要がある。

イスラエルの1948年独立宣言前後、国際的暗殺事件・虐殺事件が数多く発生するが、パレスチナの英国委任統治システムから、国際連合への変換点には不可解な事件が山積だ。イスラエルの独立戦争ととらえることができないのではないかという論点がある。

これには、下のユダヤ人ジャーナリスト・リリアンソールの本に手がかりがある。

 

 ▲リリアンソール 宇野正美訳 『ユダヤコネクション アメリカ=世界戦略を決定するのは誰か』1991年 三交社

1973年のこと、

フルブライト上院外交委員会議長はCBSの全国放送「フェイス・ザ・ネーション」でこう述べた。

「イスラエル人は両院の政策をコントロールしている。・・・・・合衆国上院のおよそ80パーセントは完全にイスラエルを支持している。イスラエルの望むものは何であれ、支持している。・・・・」と述べて、イスラエル・ロビーの激しい怒りを買った。」

第3章 誰のための議会か(ユダヤコネクション アメリカ=世界戦略を決定するのは誰か』133頁)   

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イスラエル・ロビーから狙われたフルブライト

彼ははその後1974年の民主党大統領予備選で、イスラエル・ロビーによって彼のライバルに大量の金をつぎこまれ、予備選敗退。

 これらの一部始終をレポートしたリリアンソールは、このように第3章を締めくくっている。

「アメリカの連邦議員はイスラエルという外国の利益を代表し、あたかもじぶんたちが、クセネト(イスラエル国会)の代表であるかのように振る舞おうとしている。議員たちは知ってか知らずか、イスラエル・ロビーの下男に成り下がって、彼らが代表する、アメリカ国民の信頼を限りなく裏切ってきた。」

「同じ事、否それ以上のことが、中東の悲劇を演出しているもう一つの大悪党、すなわち、報道機関にも言える。彼らが提供する絶え間ない作り話は、イスラエルと特別な関係にある「ワシントンのウソを全面的に隠蔽するのに一役も二役も買っている。」

(『ユダヤコネクション アメリカ=世界戦略を決定するのは誰か』140頁)

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また、戦後アメリカの外交政策とイスラエル政治ロビーの歴史的展開を学問的に詳細に記述したものに以下の本がある。

▼『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』 2007年 講談社

 ▲ジョン・ミアシャイマー/スティーヴン・ウォルト 副島隆彦訳 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』 2007年 講談社

 

▲ 佐藤唯行 『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』2006年11月 ダイヤモンド社

 

つづく

 



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