沖縄・台湾友の会

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少子化対策は未婚化阻止が第一歩だ    櫻井よしこ

2023-02-22 22:21:17 | 日記
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少子化対策は未婚化阻止が第一歩だ
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        櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1036回

中国の総人口が前年比で85万人減ったと大きく報道されたのは1月17日だった。それ以前には中国の労働生産人口が10年も前から減少し始めていたなどとも報じられていた。人口問題から国際社会を分析してきた仏の学者、エマニュエル・トッド氏は、昨年11月、シンクタンク「国家基本問題研究所」の招きで来日した折り、こう語った。

「日本の人たちは中国の脅威について心配しますが、私は恐れるに足りないと思います。中国の人口問題は余りにも深刻で、国力が衰退の一途を辿るからです」

彼の国には人口が減る理由が大別して3つある。第1は、一人っ子政策で女児を軽視したことだ。一人しか子供をつくれないなら跡継ぎとして男の子の方がよいという考えから、中国の赤ちゃんの比率は女児を100とすると男児は120を超えることが複数年あった。通常は女児100に対して男児は102~107であるから、たしかに異常値だ。女性軽視で中国人女性の数が少なくなった。

第2は、一人っ子政策を37年も続けた結果、「子供は一人で十分」との考え方が中国人に定着したことだ。2016年に二人まで、21年には三人まで認めるとして、複数の子供を持つよう奨励されるようになったが、人々の心は動かなかった。

第3の理由が人口流出だ。日米欧はおよそすべての国で流入人口が流出人口を上回っている。中国は逆だ。彼らの統計を信用すれば毎年150万人が外国に移住して戻らない。

斯くして人口減少が続くため、今世紀末までに現在の総人口約14億人が6億人台に落ちるという凄まじい予測もある。トッド氏が彼らは恐れるに足りずと言うゆえんでもある。中国の現状と予想される国力衰退を横目に見て、隣国の脅威が弱まるのはいいことだと、安心材料のひとつと見る人は少なくないだろう。しかし、日本の人口減少も中国同様深刻である。

今年、新年の伊勢神宮参拝の折りに岸田文雄首相は異次元の少子化対策を打ち出すと語った。これまで岸田政権が少子化問題を大テーマとして論じてきたことがなかったために、唐突な印象は否めない。

結婚できるだけの収入を

少子化対策は財務省、文科省、厚生労働省、法務省などにまたがる大テーマだ。それら巨大官庁を動かして異次元の少子化対策をまとめるには相当の力量が必要である。経験を積んだ実績のある人物が陣頭指揮しなければならない。しかし、現在の少子化担当相は初入閣の小倉將信氏だ。軽量級閣僚でこんな大課題をこなせるのか。菅義偉前首相はこう語った。

「いざ、内閣として取り組むとなれば、総指揮をとるのは総理と官房長官です。トップがしっかりしていれば大臣が軽量級でも問題はないのです」(2月3日「言論テレビ」)

成程。だが、岸田政権の少子化対策の議論は全てこれからだろう。岸田首相がこの問題の本質を理解し人口減の潮流を反転させることが、もし出来るとしたら、間違いなく歴史に残る偉業となる。それはこれまで政府が進めてきた少子化対策の誤りを正す作業でもある。

なぜ、これまで大変な努力を積み重ねてきたにもかかわらず、わが国は少子化の苦境から抜け出せていないのか。日本大学文理学部非常勤講師の工藤豪氏はかつて国家基本問題研究所のセミナーでこう指摘した。

「日本の少子化の主な要因は未婚化です。けれど日本政府の対策は必ずしも、その点に光を当ててきませんでした。統計で見ると20代前半の若者は20代後半までの結婚を希望していますが、その希望は叶えられていない。政府支援の第一は若者たちが20代で結婚できるように支援することなのです。しかし現状では子育て支援や働き方改革が焦点となっています。それも大事ですが、その前に、子供を産む人々がふえるようにすることがもっと大事です」

日本では結婚と出産に強い相関関係がある。そのことは婚外子の比率が諸外国に比べて著しく低い状況からも窺える。たとえば婚外子の割合は仏が55.8%、英47.6%、米国では40.6%だ。日本は2.4%である。

中京大学現代社会学部教授の松田茂樹氏も少子化の最大要因は未婚化だとして、問題解決には雇用環境の大幅改善が必要だと指摘する。若者たちに結婚できるだけの収入をもたらす社会を創らなければならないということだ。労働に対する適正賃金の支払いは当然だが、その中に非正規雇用の人々もきちんと包み込んでいかなければならない。職のない人々には就職の機会や技術修得の場を用意し、転職もし易い法整備が必要だ。雇う側の企業とも十分な調整が必要で、企業支援も含めて国全体の取り組みとなる。

「世話やきさん」

問題はまだある。若者たちには「出会いの支援」が必要だと、工藤氏は強調する。昔はどこにでも「世話やきさん」がいた。年頃の男女を紹介して縁を結ばせていく有難い存在である。近年はそのような慣習への評価が下がってしまい、見合いを勧めようとすると迷惑がられることさえある。かといって自然に男女が出会える場がふえたわけではない。地方自治体でそのような場を設けているところもあるが、そうした努力と共に、実は結婚に対する価値観の見直しが大事なのだ。

人生の形を選ぶのは全ての人の自由であり権利であることは言うまでもない。LGBTQの人々への理解を深め受け入れていくことを大前提としたうえで、若い男女の結婚への前向きな価値観を現代に適した形でもっと啓蒙し、未婚化に歯止めをかけることが必要だろう。

日本では婚外子が少ないことはすでに述べた。であれば少子化克服のもうひとつの道は、結婚した夫婦が自分たちの望む数の子供を産めるようにすることだ。松田氏は、日本では一人産む夫婦は二人目も持つ傾向にあるが、三人目の子供の出産は経済的負担の壁に直面すると指摘している。

また調査によれば80%の母親が子供が幼いうちは自分で育てたいと希望しているともいう。幼い子供を持つ母親には専業主婦への願望が強いというのだ。ならばそこに手厚い支援を差しのべてはどうか。安心して子供を産み、育てたいという夫婦、三人目以降の子供を希望する夫婦を大いに支えていくのだ。

さまざまなケースがあるが、シングルマザーや働く母親の子育て支援には月額20万円規模の税金が投入されている。たとえばそれと同額の支援を、専業主婦の家庭にも実施するのだ。無論第三子を望む夫婦に対しても同様だ。シングルマザーも、外で働く女性も、家で子育てする女性も、みな等しく支えていくのがよい。こうして全ての女性と夫婦を支えることで初めて少子化を克服できる。これまでの種々の対策を強化するだけでは問題解決は困難であろう。    



台湾人の心理状態が揺れ動いている   米国が『駆けつけてくれる』と予測する人は43%

2023-02-22 22:17:28 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月22日(水曜日)弐
      通巻第7649号  
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 台湾人の心理状態が揺れ動いている
  米国が『駆けつけてくれる』と予測する人は43%
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 台湾世論基金会が2月20日に発表した世論調査の結果が台湾人の現在の心理状態を表している。
 まず「台湾軍が中国の侵略から国を守ることは可能か?」と問うと、47% が「あまり自信がない」、または「まったく自信がない」と答えた。45% が「やや、または非常に自信がある」とした。 .

 中国が攻撃した場合、「米国が台湾に軍隊を派遣するか?」では43%が「確信している、ある程度確信している」と答え、47%が「確信していない」、または「まったく確信していない」と答えた。半々の反応である。
 また 「台湾の空域に飛来する中国のスパイ気球を撃墜することを支持するか?」との設問に66%が「そうすべき」と答え、19%が反対だった。

 瞠目すべきは次期総統選挙で、民進党に赤信号がともっていることだ。
 2024年の次期台湾総統選挙予測では国民党の新北市長、侯友宜が民進党主席の頼清徳をリードしており、もし前台北市市長の柯文哲が出馬した場合、候が32・4%、頼27・7%,何が19・5%と出た。
二人の対決となっても侯の支持率は47・4%で頼32・7%を上回るとの分析が出た。

侯友宜は外省人で65歳。小林寺拳法で鍛えた所為か、若く見える。国民党の予備選を経た分けではないが、本命の朱立倫主席より人気が高い。
行政院内政部警政署(日本の警察庁長官)、中央警察大学校長(日本の警察大学校長)を経て、新北市長副市長に転身し、2018年、朱の後継候補として新北市(台北市より人口が多い)の市長選挙にのぞみ、民進党の蘇貞昌(前首相)に圧勝している。

「気の抜けたサイダー」。バイデンのキエフ電撃訪問に白けた反応    対戦車ミサイルも大口径弾丸も在庫切れ。補填に数年かかる

2023-02-21 23:21:52 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月22日(水曜日)
      通巻第7648号  <前日発行>
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 「気の抜けたサイダー」。バイデンのキエフ電撃訪問に白けた反応
   対戦車ミサイルも大口径弾丸も在庫切れ。補填に数年かかる
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 2月20日早朝、バイデン大統領は突如、キエフへ現れてゼレンスキーと抱き合った。そのうえで追加五億ドルの武器支援を約束した。

 米国は已に虎の子のジャベリン(対戦車携行ミサイル)、ハイマースや155ミリ榴弾砲を供与した。加えてエイブラハム戦車の供与を決めている。合計520億ドル。共和党の40%は、はっきりとウクライナ援助は「やり過ぎ」としている。「ウクライナにかまけるな。中国という本物の敵との対決がもっと重要だ」と唱える議員集団がある。

 対戦車ミサイル「ジャベリン」は緒線でロシア戦車軍を大破させ、華々しかったが、ほぼ使い切ったようで、残余はウクライナ・マフィアが横流しした可能性もある。
 ジャベリンの補給、つまりアメリカの在庫は最低の水準となっており、元の数に補填可能となるのは数年先である。大口径砲弾は十年かかるという計算もある。

 ゼレンスキー大統領はF16ジェット戦闘機の供与をねだった。しかしパイロット養成に一年以上はかかるけど? ようするに欧米の志願兵で空中戦をたたかって貰いたいと言っているのである。

中国はロシアが疲れ切るのを待って属国化する腹づもりだ。また習近平は米国の疲れを待っている。バイデン政権の暴走で米軍の武器弾薬が底をついたら、中国にとって台湾侵攻の最大のチャンスとなる。
 バイデンのキエフ訪問は劇的な政治演出を狙ったパフォーマンスだろうが、どうみても「気の抜けたサイダー」である。

中国警察の海外派出所が国際問題に   それは2014年「狐狩り作戦」から始まった

2023-02-21 23:20:35 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月21日(火曜日)
        通巻第7647号  
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 中国警察の海外派出所が国際問題に
  それは2014年「狐狩り作戦」から始まった
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 スペインの人権団体が報告書を発表し、国際的なイッシューとなったのが、中国の海外警察派出所である。直近のデータでは危険視される中国警察の「海外派出所」は世界45ヶ国で確認され、ほかに14の拠点と推定される「派出所」があるという。

 いずれも当該国で中国が危険視する民主活動家、反体制派知識人、二重スパイ、学生、研修生らを「監視」している。
 改革開放以来、海外に散った華人、華僑、新移民、亡命あるいは逃亡者など、どうみても三千万人に達したようである。世界各地のチャイナタウンが急激な増殖を続け、シドニーもバンクーバーもいまや「シナの植民地」のごときである。アムステルダムの「飾り窓」で有名な公娼窟の裏側もチャイナタウンとなった。

 海外移住はともかく、逃亡者の多くは犯罪にからむ。とくに多いのが金銭の持ち逃げである。中国がこれら「犯罪者」の帰国をうながし、それでもダメなら当該国へ秘密工作員を送って拉致する。げんにタイのリゾートにいた銅鑼湾書店社長は拉致され、香港の豪華ホテルにいた明天証券CEOも拉致された。いまはルネサンスホールディングCEOの包凡が行方不明だ。

過去十年でおよそ一万人が「帰国」させられた。なかには逃亡に疲れはて、カネも使い果たして自首した者もあった。
 この作戦は2014年に開始され、最初は「狐狩り作戦」と呼ばれた。逃亡犯たちの家族を脅し、帰国をうながす方法をとった。ついで2015年からは「スカイネット作戦」と呼ばれ、犯人や逃亡者、亡命組の家族、友人、取引先との交信(電話、ネット)を調べ上げて、逃亡先を突き止めた。拉致など厳格な、あるいは乱暴な手段も取られた。

 経済犯がとくに逃亡した先はタイだった。
 オランダとアイルランドは、中国のこうした行為は独立権国家の主権を侵害していると問題視し、カナダ、豪州などでも問題化した。米国はFBIが疑わしいオフィスに手入れを行った。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2023年2月20日号) *気球と地震と戦争と

2023-02-21 23:19:11 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2023年2月20日号)
*気球と地震と戦争と
 4日に、米軍は中国のスパイ気球をサウスカロライナ沖で撃墜したが、この影響は驚くほど大きい。そもそも米軍は気球撃墜に乗り気でなかった。スパイが米国に入国した場合を考えれば、この理由は明らかだろう。
 スパイが入国しても、情報当局は直ちに逮捕したりはしない。監視下に置いて泳がせて、誰と接触し、どこと連絡を取るかを探れば、敵の情報網の全貌を把握できるからである。スパイ気球も同じこと、中国が幾度も送り込んでいるのを、米軍は気付かぬふりをして監視していたのである。

 ところが民間の研究者がこれに気が付き公表したため、米国内で大騒ぎになって、米軍は撃墜せざるを得なくなったのだ。撃墜のシーンは、気球が爆発する瞬間の映像が日本のテレビではカットされているが、海外では堂々と公開されている。
 米国の勝利、中国の敗北を印象付ける映像であり、中国共産党は屈辱のあまり、対話の扉を閉ざしたばかりか、明確にロシア側に付いてしまった。これに呼応したのが北朝鮮である。中国は北朝鮮を抑えていたのだが、その抑制をはずして、ICBM発射となったわけだ。

 さらに間の悪いことに6日にトルコ南部で大地震が発生した。トルコはウクライナとロシアを仲介できる唯一の国であったが、この大地震への対応でエルドアン政権はもはや仲介する余裕を失ってしまった。
 従ってウクライナでの停戦の見込みはなくなり、中国の支援でロシアは長期戦が可能になり、北朝鮮対応でバイデン政権は足を取られることになる。

 第2次世界大戦は1939年に欧州で始まったが、1941年末にアジア太平洋に拡大した。現状との酷似は明らかだろう。欧州での戦争がアジア太平洋に拡大しようとしている。一口で言うなら第3次世界大戦に近づきつつあるのである。