沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

ヌーランド国務副長官「戦争目的はクリミア半島の奪回とロシアのレジーム・チェンジ」  ブリンケンは「クリミア占領など積極的に奨励してはいない」。

2023-02-18 16:39:32 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月19日(日曜日)
       通巻第7645号  <前日発行> 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヌーランド国務副長官「戦争目的はクリミア半島の奪回とロシアのレジーム・チェンジ」
 ブリンケンは「クリミア占領など積極的に奨励してはいない」。
***************************************

 バイデン政権の内部に亀裂が生じている。かたやウクライナ支援強化の左派、そろそろ幕引きを探る国務省主流派との目に見えない対立である。

ビクトリア・ヌーランド国務副長官は2月16日に記者会見し、戦争の目的は「クリミア半島の奪回とロシアのレジーム・チェンジだ」と豪語した。
ウクライナ戦争はヌーランドが指導しているかのような発言に、ロシアばかりか、米国内で批判の声が高まった。共和党保守派、とりわけトランプ陣営はウクライナ支援の縮小を唱えている。
ウクライナ戦争をめぐって鮮明な対立状況が浮かび上がった。

ヌーランドは「マイダンの助産婦」と言われ、ヤヌコビッチ前大統領追放劇を舞台裏で動いて「民主」を煽った超本人。ロシアがもっともきらう「女傑」、ネオコンの代表格である。夫君はネオコンきっての理論家ロバート・ケーガンだ。

ヌーランドは「クリミア半島が少なくとも『非武装化』されない限り、ウクライナは安全だとは感じられない。理想的な終結はモスクワでの革命(プーチン失脚)である」と言った。
ヌーランド副長官は「ウクライナ人にとって持続可能な地図を手に入れる必要がある。米国の立場は、ウクライナは「国境内のすべての領土を負う義務がある」というものであり、「これはクリミアも意味する」とヌーランドは付け加えた。

しかしブリンケン国務長官は「米国がウクライナにクリミアを占領するよう「積極的に奨励」してはいない。

「紛争の終結をどのように見るか?」と尋ねられると、ヌーランドは、「ウラジーミル・プーチンが権力を握っている限り、本当に終わったとは決して信じてはならない」と答えた。
戦闘がウクライナの条件で終わったとしても、抑止力としてウクライナの軍隊を増強するための「長期計画がなければならない」とも付言した。
彼女はまた、西側が提供する「より良い未来」のために、ロシア人が政府を転覆することを好むと表明した.


 ▲ウクライナより台湾支援が重要。米国の敵は中国だ

ヌーランドとまったく反対方向にあるのが議会である。
 ジョシュ・ホーリー米上院議員は2月16日にヘリテージ財団で講演し、「軍事資源には限界がある。米国は中国を抑止するためにウクライナよりも台湾を優先すべきだ」と述べた。そのうえで、「米国の軍事力は適切な場所に配備されていない」

 ジュュア・デイヴィッド・ホーリーは、ミズーリ州司法長官を経て、上院議員(ミズーリ州選出)に当選、共和党。2018年の選挙で現職だった民主党所属議員クレア・マカスキルを破った。いはばトランプチルドレンのひとり。まだ43歳と若い。

ホーリーは、「いくら我々がウクライナを支援しても、中国が台湾に侵攻しようとするのを思いとどまらせることはできない。米国のウクライナ支援は中国の計画に影響を与えるという超党派のコンセンサスがワシントンにあるが、米国はアジアにおける中国の拡張主義を阻止するよう努めるべきだ」とし、「ウクライナに資金を投じても、中国の軍事力増強は止められないだろう」とした。

 「中国の軍拡は進み、私たちは彼らを止める準備ができていない。もし中国が今、台湾に侵攻すれば、中国が勝つだろう」と付け加えた。

習近平政権は「戦争準備」に余念がなく昨師走には「中華人民共和国予備役人員法」が公布されている。退役軍人や民兵などの「予備役人員」によって編成される中央軍事委員会直属の解放軍予備役部隊は1千万人を超えている。戦争発動に備えて「予備軍部隊」を総動員するための法整備だ。

こうした動きを見ながら「中国の台湾侵攻を阻止するために、米国はウクライナに送った武器の多くを国に供給する必要がある。米国の防衛産業は能力に縛られている。国家をめぐる戦争は、台湾の半導体に大きく依存している」と彼は述べた。

 「ウクライナ戦争が長引けば長引くほど中国が有利になり、権威主義的な国家のトップがロシアから中国にかわるだろう」と予測するのは台湾の国策研究院、郭育仁執行長だ。
「脅威に直面しドイツも日本も防衛予算を増やした。これまでは中国、ロシア、北朝鮮、イランなど全体主義国家が軍拡をしてきたが「今後は皮肉にも民主主義国家がそれに追随する」

 「中国は台湾にソフトに対応する一方で、地下金脈を通じて2024年総統選で民進党を敗北させるのが当面の目標である」と郭育仁は日本経済新聞のインタビューに答えた(2023年2月15日付け)。

 二月上旬に台湾本島と離島の馬祖島を結ぶ海底ケーブル2本が切断された。台湾当局は、中国船が損傷させたとみている。台湾本島と馬祖列島を結ぶ海底ケーブルは最近5年間に20件を超える切断「事故」が起きている。

 台湾侵攻がおこれば日本が巻き込まれることは明らかで、尖閣諸島を攻めるのは確実である。
 中国が尖閣諸島を勝手に「釣魚島」として地図に書いていることは以前からだが、「中国領」と地図明記を義務化した。23年2月14日に中国の自然資源省が義務を原則とした。侵略の野望を公然化したようなものである。

 すでに「漁船」の領海侵犯は既成事実化し、昨今は海警の船舶が領海侵犯を繰り返し、海底の測量などを実行してきた。日本の抗議には貸す耳を持たず開き直りを続けているが、日本は海上保安庁の船が警告を繰り返すのみ、政治家はまとも批判してこなかったから、中国は完全に日本をなめきっている。

中国、パキスタン領事部を閉鎖。治安悪化で一帯一路は頓挫した    両国関係は「全天候型」では? IMFはパキスタンと「キャッチ22」状態

2023-02-18 16:38:18 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月18日(土曜日)弐
       通巻第7644号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 中国、パキスタン領事部を閉鎖。治安悪化で一帯一路は頓挫した
   両国関係は「全天候型」では? IMFはパキスタンと「キャッチ22」状態
***************************************

 IMFはパキスタンの財務状況を改善するため、度重なる協議を続けてきたが、「どうにもこうにも解決策がない」。IMFは匙を投げた格好である。
パキスタンは戦後、14回ほどデフォルトに陥っている。それゆえインドの新聞が書いた。「パキスタンのIMFとの交渉はキャッチ22状態だ」と。

『キャッチ22』(Catch22)は、ジョセフ・ヘラーの小説が発祥。どうにもならない状況を意味する。この作品から、英語で「ジレンマ」、「板挟み」、「問題解決を阻む状況や規則」、「落とし穴」を指すスラングとなった。

作中の軍規22項の運用(例えば、狂気に陥ったものは自ら請願すれば除隊できる。ただし、自分の狂気を意識できる程度ではまだ狂っているとは認められない)から来ている。邦訳『キャッチ22』は飛田茂雄訳(早川書房)。

さてパキスタンにおける中国の立ち位置である。
「中国パキスタン経済回廊」は650億ドルを注ぎ込んだ習近平「一帯一路」の目玉のプロジェクトである。鉄道、高速道路、パイプライン、光ファイバー網。グアダール港の近代化、工業団地、大學に病院にハイテクラボ。。。。。。。

パキスタン国内の武装勢力はおおきく三つ。。
最大かつ凶暴テロを繰り出すのはTTP(パキスタン・タリバン)で、爆弾テロを繰り返す。TTPはパキスタン国内の中国人をターゲットにしている。CPECを阻止し、パキスタン政府の政策を追い込んでいけば、政権転覆に繋がるとする。

IS(イスラム国)はアフガニスタンのISK(イスラム国ホラサン)と連携している形跡があるが、1月下旬にペシャワールの警察モスクを爆破した。95名が犠牲となった。

 もう一つはパロチスタン独立運動の武装組織で、パロチスタンはパキスタンに帰属しない独立した王国であるとし(げんに国王は英国亡命中)、パキスタン政府に闘いを挑む。
 かれらの行動範囲はパロチスタン地方が主舞台である。
 最近でもグアダールにあって中国人宿泊が多い豪華ホテルが襲撃され、またクエッタでは中国大使宿泊先のホテルが爆破された(大使は無事だった)。

 21年には発電所建設現場で8人の中国人エンジニアが殺害された。
 22年には大学入り口で女性テロリストの自爆。中国人三名が犠牲となるなど枚挙するいとまがないほどに中国人を標的とするテロがパキスタン全土で吹き荒れている。
いずれもTPPかパロチスタン独立運動のテロ組織の仕業と言われる。


 ▲パキスタン、外貨払底。洪水被害以後、猛烈なインフレ

 2023年2月16日、イスタンブールの中国大使館は領事部業務を休止した。再開は状況次第となった。つまりこれは一帯一路の頓挫を非公式に認めたと道議である。

 中国は「パキスタンとは「永遠の友情」で固く結ばれた、「全天候型」であり、いかなる援助も惜しまない」としながら新規融資を渋り、IMFとの債務削減交渉に委託するかたちをみせた。徐々にパキスタンから手を引こうとしているようである。

 パキスタンは一年前の外貨準備は160億ドル前後だったが、20123年一月末には29億ドルに激減した。22年6月の大洪水で国土の三分の一が水没し、以後停電と物価高に陥った。経済はドン底状態だ。

 中国主導のCPECの見通しが暗いのは次の事由による。
 第一に治安の悪化である。
 第二にパキスタンの対中感情が極度に悪化している。
 第三にアフガニスタンとの関係が微妙であり、TTPはカブールにタリバン政権が出来て以来、むしろ中国人へのテロを強めている。
 第四に在留中国人の安全確保であり家族の帰国をうながしている。パキスタンに駐在する中国企業並びに中国人がすっかりやる気をなくしていることだ。

「近いとされる」報道の怪しさ 【阿比留瑠比の極言御免】

2023-02-18 16:35:12 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6416号
2023(令和5年)年 2月18日(土)

━━━━━━━━━━━━━━
「近いとされる」報道の怪しさ
━━━━━━━━━━━━━━
       【阿比留瑠比の極言御免】 



 マスコミ報道などでは時折、「○○とされる」との表現が使われるが、実は根拠は定かでないことが少なくない。安倍晋三元首相は首相当時、マスコミが勝手に「首相官邸に近いとされる」「政権に近いとされる」とレッテルを貼り、それを前提に報道することにうんざりしていた。



[検察官定年引き上げ]

 その典型例が令和2年に「検察官の中立性、三権分立を損なう」(当時の枝野幸男・立憲民主党代表)などと激しく批判された検察官の定年を、63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案をめぐる騒動だった。改正案は結局、同年5月に通常国会での成立を断念することになる。

 改正案は人事院勧告を受け、検察官の定年を他の国家公務員に合わせるのが目的だった。だが、内閣や法相が認めれば幹部ポストを最長で3年間延長できる特例規定が、直接は関係ない黒川弘務・東京高検検事長(当時)の定年延長と結び付けられたのだった。
 騒ぎは「官邸に近いとされる黒川氏」という言葉に過敏に反応した検察OBらが、「政治からの高い独立性が担保できない」と改正案に反対する意見書を政府に提出するまでに至った。

 一方、安倍氏は前回9日付の当欄でも紹介した『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)で「黒川さんのための法改正という批判は、全く的外れ」と述べ、こう明言している。

 「黒川さんの定年延長を求めたのは、辻裕教法務事務次官と、当時の稲田伸夫検事総長ですよ」

 「むしろ私が法務省でよく存じ上げていたのは、林真琴氏(後に検事総長)です。組織犯罪処罰法を改正して、テロ等準備罪を創設する時の刑事局長で、一緒に汗を流してくれました」

 この頃、筆者は安倍氏らが国会で追及され続けているというのに、なぜ稲田氏は記者会見を開いて自ら説明しようとしないのかと疑問を抱いた。実際、政府・自民党からは「法務省の人事抗争の官邸が巻き込まれた」との見方も出ていた。

 安倍氏は「私は黒川氏をほとんど知らない」と語っていたが、その言葉はほとんど無視されていた。

[省庁は政権守らず]

 当時の取材メモをたどると、安倍氏は5月に入り、たびたびこの件につて言及している。

 「公務員・検察官の定年延長と、私が恣意的な人事をしている(という批判)って全然関係ないじゃないか。まあ、ネットで事実が暴かれている」(11日)
 「黒川氏が政権に近いとされるって、朝日新聞にそうされているだけだ。疑念を持たれないようにしないといけないというが、『ない』ことは『ない』というしかない」(12日)

 「黒川氏が政権に近いって、証拠はあるのかと。私と会った回数は圧倒的にライバルの林氏の方が多い。検事長候補はこの2人しかいないんだから」(15日)
 改正案成立を断念した18日には心底げんなりした様子で心境を吐露していた。

 「法務省、検察サイドに頼まれてやっていた話なのに、バカらしくなった。法務省も、改正案に反対しているOBらにきちんと説明しないとダメだよ。大体、こっちが人事を決めているわけではないし、公務員の定年延長も全部まとめて先送りしようかと思っている。はなから私は熱心でないし、安倍政権ではもうやらない」
 『回顧録』では、安倍氏が「私の足をすくう」と財務省を警戒し、厳しく批判している部分が話題となった。だが、いざというときに政権を守らないのは他省庁も一緒なのである。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

産経新聞令和5年2月16日号採録



金融政策の理解度はやはり完璧 高橋洋一

2023-02-18 16:32:15 | 日記
□■■□──────────────────────────□■■□
 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6415号
━━━━━━━━━━━━━━
金融政策の理解度はやはり完璧
━━━━━━━━━━━━━━
       高橋洋一

【日本の解き方】『安倍晋三回顧録』で偉大さを再認識 金融政策の理解度はやはり完璧 中国リスクを各国に説いた先見性には驚くばかり 

『安倍晋三回顧録』が出版された。その中で財務省の力について言及している点や、ロシアのプーチン大統領、トランプ前米大統領、中国の習近平国家主席らとの外交に関する話などが話題になっている。

この本を読んでまず思ったのは、やはり安倍さんは金融政策を完璧に理解していたことだ。

「2%の物価上昇率の目標は、インフレ・ターゲットと呼ばれましたが、最大の目的は雇用の改善です(中略)完全雇用というのは、国によって違いはありますが、大体、完全失業率で2.5%以下です。完全雇用を達成していれば物価上昇率が1%でも問題はなかったのです」と述べている

財務省との闘いも相当なものだった。本書中「財務省」という言葉が71回も出てくる「経産省内閣」といわれたのに秘書官だった今井尚哉氏の28回をはるかに上回っている。

「安倍政権を倒そうとした財務省との暗闘」という一節を設けて、10%への消費増税を2度見送った際に、財務省がかなりえげつない抵抗を行ったことが書かれている。

しかし、安倍さんは、財務省の抵抗をはねのけ、コロナ対策を増税なしで行った。

「財務省の発信があまりにも強くて、多くの人が勘違いしていますが、様々なコロナ対策のために国債を発行しても、孫や子に借金を回しているわけではありません。日本銀行が国債を全部買い取っているのです。日本銀行は国の子会社のような存在ですから、問題ないのです。信用が高いことが条件ですけどね」
 これこそ、筆者が本コラムで紹介した「政府・日銀連合軍」だ。森友問題でも財務省はひどかった。安倍さんはもっと怒っていたと思うが、ここは筆が抑えられていると感じた。

財務省に関する話について、筆者は生前、安倍さんから聞いており、意外感はない。ただ、一般の読者は、財務省が創価学会にまで手を回して安倍政権に抵抗していたことなどを聞くと、驚くだろう。

外交は安倍さんから外国首脳の人物評を何度も聞き、いつも場を和らげてもらった。明るい安倍さんが話すと大いに座が和んだ。本書では実際の現場や背景が追加されており、面白い。

中国の危険性を各国首脳に説いた先見性には改めて驚くばかりだ。ここだけでも第一級の資料である。外交専門家から見れば貴重な宝庫だろう。「自由で開かれたインド太平洋」や日米豪印の戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」は第1次安倍政権の時から温めていた構想であるが、2度目の登板がなければありえなかった。これらは日本の政治家が誰も成し得なかった世界レベルの功績だ。

本書が公開されたのは、安倍さんが暗殺されたからだ。本書の出版が一時停止となっていたのは、首相に3度目登板の可能性があったからだと筆者は邪推している。もちろん3度目の登板のほうがよかった。

本書を読むと、改めて安倍さんの偉大さが思い出される。今も存命であれば、この国難にどのように臨むのかと、涙してしまう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)