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台湾有事の際、米軍は動くか?          北野幸伯

2024-06-09 09:08:42 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 6893号 

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 台湾有事の際、米軍は動くか?
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            北野幸伯


プーチンは2022年2月24日、ウクライナ侵攻を開始しました。
バイデンは、ウクライナ侵攻が始まる前から、「米軍は出さない」と語っていました。一方、バイデンは、台湾有事の際には、「米軍を出す」と何度も語っています。

最近も。
『TBS NEWS DIG』6月5日付。『台湾有事の場合「アメリカ軍の戦力の行使を排除しない」バイデン大統領』

〈アメリカのバイデン大統領は雑誌「TIME」のインタビューで、中国が台湾に侵攻した場合、「アメリカ軍の戦力の行使を排除しない」との考えを示しました。

バイデン大統領は雑誌「TIME」のインタビューを先月28日に受け、4日、内容が公開されました。その中でバイデン氏は中国が台湾に侵攻した場合の対応を問われ、「アメリカ軍の戦力の行使を排除しない」と発言。

バイデン氏はこれまでも台湾有事の際に軍事的に関与する可能性に言及していて、今回も同様の認識を示したものです。〉
ーー
〈中国が台湾に侵攻した場合、「アメリカ軍の戦力の行使を排除しない」〉  とのことです。要するに、台湾有事の際には、米軍が中国軍と戦う可能性があるということです。この立場、一貫しています。

私の記憶では、バイデンが「台湾有事の際には、米軍が出る」と発言したのは4回目です。その一方でバイデンは、こんなことも言っています。

〈一方で、「私は習近平国家主席に対し『我々は台湾の独立を目指しているわけではない』と明らかにしている」とも説明。「1つの中国」といった従来からのアメリカの政策に変更はないことも強調しました。〉
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バイデン〈『我々は台湾の独立を目指しているわけではない』〉
そうです。 この「台湾有事の際には、米軍が出る」
「台湾の独立を目指していない」なんとなく矛盾しているように感じるこの二つの発言。どういうことなのでしょうか?

要するに、アメリカは、中国と戦争(=戦闘、実戦)をしたくないのです。なぜ?現状アメリカは、戦争継続中のウクライナとイスラエルを支援していて、「二正面作戦」を戦っています。それで手一杯なのに、中国と戦う「三正面作戦」をしたいはずがありません。

そして、「三正面作戦」がはじまれば、金正恩が韓国に進軍し「四正面作戦」になる可能性が高まります。要するに、バイデンの意志は、「習近平おとなしくしていてくれ」ということなのです。では、どうすれば、習近平はおとなしくするのでしょうか?逆に、どういう状況で、習近平は台湾に侵攻するのでしょうか?


一つ目の状況は、習近平が「絶対に勝てる!」と確信したときです。
要するに、「台湾に侵攻しても米軍は出てこない」と確信したら、台湾有事の可能性が高まります。だからバイデンは、「米軍でますよ」というのです。習近平は、「そうか、米軍でるのか。じゃあ、なかなか侵攻できないな」と思うでしょう。


習近平が台湾侵攻を決断するもう一つの状況は、「引っ込みがつかなくなったとき」「他に選択しがないとき」です。たとえば、頼清徳さんが、「台湾独立宣言」をした。こうなると、習近平は、「勝つか負けるか?」はともかく、台湾に侵攻せざるを得なくなるでしょう。

そこで、バイデンは、「アメリカは、台湾の独立を目指していない」と強調するのです。要するに、バイデンの言葉はすべて、「習近平が動かないようにするため」の発言です。一方、台湾の頼清徳新総統は5月20日、就任演説でこんなことを言いました。

〈私たちは皆、主権があって初めて国が存在することを知っています。
中華民国憲法は、中華民国の主権はすべての住民に属し、中華民国の籍を有する者は中華民国の住民であると定めています。このことからも分かるように、中華民国と中華人民共和国は互いに隷属していないのです。
誰もが団結して台湾を愛さなければなりません。どの政党も併合されることに反対し主権を守らなければなりません。政治権力のために台湾の主権を犠牲にしてはなりません。〉
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ここでは、はっきりと二つの超重要宣言をしています。
一つ目は、台湾=中華民国は、主権をもつ独立国家であること。
二つ目は、台湾=中華民国と中国=中華人民共和国は、別の国であること
ここでの頼清徳さんの主張を一文でまとめると、
台湾はすでに主権をもつ独立国家であり、中国とは別の存在である。
「私はここに、台湾の独立を宣言します!」
というようなわかりやすい表現ではありません。

ですが、演説全文を読めば、「明らかに独立を宣言している」といえるでしょう。この演説の後、中国は、台湾をぐるりと取り囲む形で、大規模な軍事演習を行いました。習近平は、遅かれ早かれ「武力を使っても統一する」という決意を固めたことでしょう。

それでバイデンは、「台湾有事が起これば、米軍がでますよ」といって、習近平をけん制した。一方で、「でもアメリカは、台湾独立を目指しませんよ」といって、習近平を安心させた。要するに、「現状維持でいてくれ!」ということなのです。

「軍産複合体の利益のために、アメリカが台湾有事を煽っている」というのは、完全なフェイク情報です。事実は完全に正反対で、アメリカは、台湾有事が起こらないよう、極めて慎重に動いているのです。


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