ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

三十路記念の旅 西と南の果てへ その6

2024-02-07 01:59:43 | 旅行(道外)2020~
2日目 正午 ~晴れのち曇り~



美味しい八重山そばで早めの昼休憩を終え、島の東側を走破すべく比川集落を出発した。
地図を見ると東側半分は山林が広がっているようで、道中に人家は無く道は険しそうだ。
案の定、集落を出るとすぐに長い上り坂の山道が始まり、たまらず立ち漕ぎをすぐ諦めてしまった。


延々と続く坂道を自転車を押してとぼとぼ登ってゆく。
近年は車移動が中心になってしまい、自宅と職場の10分程度しか自転車に乗っていない私は慢性的な運動不足。当然、札幌~稚内間を走破した10年前の体力などあるはずもなく、すぐに息切れし汗もかいてきた。
老けたな……。

自転車を押すのもうんざりしてきたが、道端に現れた案内看板によると島の最東端「東崎(あがりざき)」まで残り6.5キロ、意外と近い。
そして東崎の写真を見てすぐに気力が戻ってきた。
この場所、敬愛する赤瀬川原平氏が雑誌のインタビューで語っていた「訪れて最も感動した秘境」ではなかったか。
恐らくそうだ。楽しみになってきた。

上り坂がようやく終わると、次は長い下り坂。
ブレーキ性能がやや不安な自転車なのでスピード控えめで下る。それでも澄んだ風を感じて気持ちが良い。
自転車での移動はこういったご褒美があるからよい。



上り坂、下り坂がいくつか繰り返されるうちに路肩の高い木々が無くなり、視界が開けてきた。
振り返ってみると昨日、祖納集落の向こうに見えた日本最西端の山「宇良部岳」が左後方に見え、移動距離を実感する。

何個目かの長い下り坂を下っていると、けもの道の入り口に立つ「人面岩」の看板が後ろに流れて行った。
ここか、昨日K岡さんが話していた場所は。
入り口に自転車の類は止まっていなかったと思うが、すでに探検済みか、それともいま現在探検中なのか。
人面岩は私も気になるが、山道をハイキングしなければならないそうで今回は体力的にパスだ。
夜にK岡さんに会えたら感想を聞いてみよう。



坂を下りきったところで振り返り、人面岩の眠る森を振り返ってみる。
高さ2メートル、幅3.5メートル、奥行き3メートルの人面岩は与那国海底遺跡の関連調査により平成14年に発見されたのだとか。
それにしても、またもやあの恐竜映画を思い起こさせるようなダイナミックな風景だ。


午後12時半、島の南部の景勝地である「立神岩」の展望ポイントに到着した。
ベンチのある小さな場所から見下ろしてみると、断崖のすぐ真下に高さ25メートルの立神岩を見下ろすことが出来た。少し積丹の神威岩を思い出す。



少し進んだ場所にコンクリートの屋根つきの展望台があり、こちらからは立神岩を島南部の雄大な地形とともに遠く望むことが出来た。
立神岩にはその昔、海鳥の卵を採ろうと若者がよじ登ったものの降りられなくなり、神に祈りながら眠りにつくと翌朝には戻ることができたという伝説がある。

そして岩の向こうに見える飛び出た岬は「新川鼻」と呼ばれる場所で、ここの沖合約50メートルの場所に海底遺跡が眠っている。
1986年に発見され、東西約250メートル、南北約150メートル、高低差は約25メートルという大規模なもの。階段構造が見られるなど石の巨大神殿のような構造をしており、謎多き場所としてオカルト好きを魅了している。
与那国島はロマンの宝庫だ。


午後12時45分、立神岩からさほど離れていない場所にある「軍艦岩(サンニヌ台)」に立ち寄る。
小さな展望台から眺めてみると、確かに軍艦のような角ばった巨岩が波打ち際に横たわっていた。

この辺りからみるみるうちに雲が多くなってきて、小雨が腕に数滴落ちてきてすぐに止んだ。
天気予報の通りだ。このあと雨が降ってきてしまうのか。
早めに島一周を成し遂げたいところだが、目指す東崎を目前にして再び上り坂が現れたので道端で15分ほど休憩した。


午後1時、中々に疲れが溜まっているが、島の東の突端「東崎」入り口に到着した。
広い駐車場に自転車を停めて歩いていくと、東崎灯台がある先端部分が見えてきた。
相変わらず人はいないが、開けた草原には再びヨナグニウマの姿があった。
そういえば先ほど2か所目のテキサスゲートがあったな。



西の突端が「西崎(いりざき)」で、ここ東の突端が「東崎(あがりざき)」。読みの由来は太陽の「上がる・入る」だろうか。わかりやすい。
そして、やはりこの場所は赤瀬川原平氏が挙げていた場所だ。
確か岬の突端で島のおばぁ達が民謡を歌っていて、その光景が現世離れしていてすこぶる感動した―と書いていたな。来れてうれしい。
今日は残念ながらおばぁは居ないが、四頭のヨナグニウマが出迎えてくれた。



遠慮なく近づく私を威嚇するでも怖がるでもなく、相変わらず地面の草をのんびり食べ続けている。
年中暖かくストレスの無い離島で育ったからこその余裕なのだろう、みな穏やかな顔をしていて羨ましい。
島の外を全く知らないまま一生を終えるとはどのような感覚なのだろうか。そもそも、先ほどの西牧場の馬とここの馬でさえ一生顔を合わせることは無さそうだ。
自分の人生とまるっきり違いすぎて不思議な感覚になる。



東崎からゴールへ向かう西側、つまり祖納集落の方向を望む。
島一周の4分の3以上まで来ているので、ゴールの集落まで遠くはないだろう。
道が険しくないことと、なんとか天気が持ってくれることを祈る。


所々にヨナグニウマが歩く草原の道を15分ほど走ると、Dr.コトー診療所のロケでも使われたという「六畳ビーチ」の入り口を見つけた。
白い砂の道に誘われて少し入ってみる。.


ドラマでは「秘密の海岸」というポイントらしく、崖の上から砂浜を見下ろすことができる。
見事なエメラルド色だ。
ここからつづら折りの細道を降りて波打ち際まで行けるようだが、向こう側から嫌な色の分厚い雲がどんどん近づいているので早々に切り上げた。

次回、2日目ラスト。
ティンダバナへ行く。

続く。
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