ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

兵庫、岡山、広島珍スポットラリー その10

2019-05-23 02:40:16 | 旅行(道外)2018~2019
2日目 正午。

姫路から列車に揺られること2時間ちょい。岡山県の津山駅にようやく到着しました。
この駅もICカード非対応のため、改札で駅員さんに精算してもらい駅前広場へ。

津山城の城下町として、古い街並みも多く残るという津山市。
こぢんまりとした山奥の小さな町を勝手にイメージしていましたが、駅前は意外と開けており活気がある印象です。

さっそく街中へ。



周囲を山に囲まれた津山市は、吉井川を通じて瀬戸内、大阪、江戸と交易を行っており、このような高瀬舟が重要な役割を持っていたといいます。
そして吉井川が津山市内で湾曲する縁には河童伝説があり、川へ入った人を深みへ引きずり込むと言い伝えられていました。この辺りでは「ごんご」と呼ばれていたようですね。
故に、商店街には「ごんご」のオブジェがあちこちに。風情がありますね(*^_^*)。

そして、そんな津山の街中に、目指す建物がひっそりとありました。


・つやま自然のふしぎ館(岡山県津山市山下98-1)

津山城跡の入り口近くにあるこちらの施設、1963(昭和38)年に御用商人「錦屋」の末裔である森山慶三という人物が、私財を投じて開設したという自然史博物館です。
木造の旧・高等学校校舎を改築した複雑な館内には、慶三氏が世界各国から集めた動物の剥製を中心として、昆虫、貝類、化石、鉱石類などが所狭しと展示されているそう。ワシントン条約で規制される以前に収集されたものなので、ここでしか見られない希少な動物もいるとか。
入り口前の巨大看板には「世界の珍獣!迫力の22000点!」と誇らしげに掲げられており期待が高まります(*^_^*)。

実はここ、私が憧れる全国の珍スポットの中でもトップレベルで来てみたい場所でした(笑)。
入館料700円を払い、さっそく中へと入ります!


数多くの剥製がいる博物館という事で、入った途端からこんな感じです(*^_^*)。
そして剥製では中々見られないであろうセントバーナードが出迎えてくれるのですが、なんと太っ腹なことにおさわり自由!そして館内は自由に撮影OK。

この先、剥製やホルマリン標本の関係で臭いが独特なのか、入り口では苦手な人用へマスクが置かれていました(^_^;)。

まずは「化石の世界」コーナー。



いきなりガラスケースに約12000点もの化石がズラリと並び圧倒されます。アンモナイトやサンゴ、シダ類、魚類や貝類など。
そして時代を感じる説明版と、太古の時代をイメージした迫力ある絵が味わい深い。

向かいには「世界の貴重野生動物」

館内が誇る特に珍しい動物たちを選りすぐって展示しているようです。
クロヒョウ、ユキヒョウ、ガウル、プロングホーン等々、こちらも迫力ある太古の書き割りをバックに並びます。

ローランドゴリラ

レッドデータブックでは絶滅危惧種(EN)に分類。
ゴリラの剥製なんて初めて見ました(^_^;)。


(左):マレーバク。こちらもレッドデータブックでは絶滅危惧種。さすがワシントン条約以前に収集されたコレクションだ。
(右):キンシコウ。孫悟空のモデルと言われています。こちらは絶滅危惧種よりさらにランクの高い危急種(VU)。故に剥製としても数えるほどしか見られないのだそう。更にここではオス、メスつがいで見ることができ、世界的に見ても極めて希少な逸品なのだそうです。

キリンの剥製に思わず声が出る。

体高5メートル、あまりの高さゆえに座らされています(^_^;)。
動物園では何回も見た事ありますが、こういった全身の剥製を見られる機会はそうそうありませんよね。
ガラス越しではありますが、かなり近くで見ることが出来て迫力満点でした。

第2室「人体の神秘」コーナー

化石、希少動物を経て、いきなり人体コーナーなんですね~。
身構えていなかったのでちょっとビックリ(笑)。




こちらも少し時代を感じる、ひとむかし前の人体生理模型が並びます。昔の学校の理科室を思い出しますね~。説明書きも手書きで素敵。

そして…なんと至るところに本物の頭蓋骨が。



2対並ぶ骨格標本も…左には「実物標本(成人男性)」の文字が。片方はホンモノでした(^_^;)。

そして、本物があるのは骨格標本だけではございません。
ここが、そこらの博物館とは一線を画している、つやま自然のふしぎ館の特筆すべき点であります。



人体臓器のホルマリン漬け標本。
しかもこれ、創設者の森本慶三氏の臓器そのもの!!


森本慶三氏の本館展示物にかける情熱は並々ならぬものであったようで、なんと「法の許す範囲に於て内臓諸器官を生理学標本として寄贈したし」という遺言を残す(実際の文面も併せて展示)。
そして1965年の死後(博物館開館から2年)、その遺言に従い、岡山県の承認を経て岡山大学医学部解剖学教室にて解剖。展示に至っている訳なのです。
念のため、現在の法律においても全く問題はありません。


現在は「脳」「肺」「肝臓」「心臓」「腎臓」5点が並んでいます。かつては20点ほどの臓器がズラリとあったそうですが、展示台の破損などで数が減ってしまったそう。
なお、残る臓器も年月の経過で少しずつ形が崩れてしまっている模様……。
それでも、慶三氏の死後50年以上が経過している中、ここまで形が残っているのは大したものです。

肺の断面がずいぶんと真っ黒だったのが印象に残りましたが、慶三氏は喫煙家ではなかったのが意外。
日本の空気は当時からそんなに汚れていたということか。


展示室の片隅に、森本慶三氏の写真が飾られていました。
実は、慶三氏は宗教家・内村鑑三の教えを受けた熱心なクリスチャンでありました。
ここ自然のふしぎ館の他にも、キリスト教伝道を目的とした「津山基督教図書館」、そしてこの建物の前身である「津山基督教図書館高等学校」を立ち上げ、町の教育環境の向上に尽力。1959年には津山市から文化功労賞を受け、市の名誉市民となりました。

自然のふしぎ館についても、構想から開館に至るまで実に30年以上の準備期間を要したとも言われており、慶三氏の教育にかける情熱を改めて感じられます。


…人によってはちょっと刺激の強い展示物ではありますが、ここは慶三氏に敬意を表し、目を背けず展示物ひとつひとつに対峙したいところです。
もっとも、過去の様子を見ると、胎児(4~8か月)のホルマリン標本や奇形に関するパネル展示、一つ目のアナグマの標本や分娩時の白黒写真など、さらに衝撃的な展示だったようですが、昨今では中々展示が厳しいのか、現在では裏へ下げられてしまっているみたいですが(もっと早く来たかった!)

次回!摩訶不思議な自然のふしぎ館。
まだまだ続きます!


続く。
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