ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

(青森県新郷村)キリストの墓

2021-10-14 20:41:53 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
(2020年訪問)
青森ミステリー見聞録より記事を抜粋しております。



・キリストの墓(青森県三戸郡新郷村大字戸来字沢口)

皇祖皇太神宮(茨城県磯原村)の菅長・竹内家に代々伝わる「竹内古文書」の記述によると、
ゴルゴダの丘で処刑されたのは実は身代わりとなった弟イスキリで、刑を逃れたキリストは
密かに日本へ渡り、ここ青森県新郷村(旧・戸来村)で106歳の長寿を全うしたという。
そもそも、キリストが日本へ初めて渡来したのは21歳の時。33歳まで修行を重ね、ユダヤへ帰ってその教えを説いて迫害にあったらしい。

一見トンデモ伝説ともいえるこの古文書が発見されたのは昭和6年。
同10年、古代史研究家らが村を訪れて調査したところ、村長の案内で本当にキリストの墓を見つけたというから驚きだ。
小さな村に突然降って湧いた「湧説(ようせつ)」とも言われているが、当時マスコミは大熱狂。
……まぁ、信じるか信じないかはあなた次第だ。


一帯は「キリストの里公園」として整備されており、小高い丘を登った向かって右側が「十来塚」と名付けられたキリストの墓。
そして向かい合うように、左側には「十代墓」として弟イスキリの墓まである




二つの墓のすぐ近くに、伝説や村の歴史について展示した立派な施設「キリストの里伝承館」がある。
入場料は大人200円。さっそく入ってみよう。


小ぎれいな館内には、昔の農機具などが並べられ、普通の郷土資料館のような趣もある。
しかし「民家復元コーナー」と名付けられた一角に、不思議な展示物が……。


この地方では、藁で編んだかご「エジコ」をゆりかご代わりにして子育てしていたというが、
子どもの額には十字架が……。
なんでも、生まれて間もない子を初めて外に出すとき、厄除けなどを願い墨で十字架を描くという風習が
古くから言い伝えられてきたというのだ。
……ううむ。


伝承館の奥には、キリスト伝説の裏付けともいえるいくつかの言い伝えが解説されていた。

まずはこの村をはじめ、青森県南部~岩手県北部の旧南部藩領内に古くから伝わる
ナニャドヤラ」という謎の盆踊り唄。村の入り口の看板にも書かれていたアレである。

他の地域では笛や太鼓などの音が付け加えられ、リズムがアップテンポなのに対し、
新郷村の唄は「ナニャドヤラ~ ナニャドナサレド ナニャドヤラ~」という意味不明な言葉
ただ単調に繰り返すのみ。

神学博士の川守田英二氏は、これは古代ユダヤの軍歌で、ヘブライ語で神を讃える意味であると分析。
「御前に聖名をほめ讃えん 御前に毛人を掃蕩し~」といった感じである。
旋律もユダヤで古くから歌われてきたそれにそっくりだという。

6月の第一日曜日には「キリスト祭」という村の伝統行事が行われ、
「ナニャドヤラ」は祭のクライマックスに墓の周囲を回りながら披露される。


次に「キリストの子孫」と言われる沢口家である。
キリストはこの村で「十来太郎大天空」と名乗り、二十歳の女性との間に3人の娘を持ったと言われている。その長女が嫁いだとされるのが沢口家。
代々キリストの墓を守っており、その先祖の風貌は「眼は青く、目鼻立ちが日本人離れしていた」という。

考古学、歴史学ジャーナリストの山根菊子氏は、現在の当主・沢口豊治氏の父・三次朗氏の印象について「絵に見るキリストの肖像の生き写しだ。頭の毛がズッと禿げ上がって居り、鼻は高く眼は大きく、
身体のガッチリした風貌はあまりによく似ている」と記載している(『光は東方より』1937年)。

そしてその沢口家の古い戸袋には、六芒星がもとになっていると言われる星形の家紋があった。
形が多少違うのは「沢口家の家紋の桔梗が変化したから」「ダビデの紋章を打ち付けるのは恐れ多いと形を変えたから」などの説がある。
現物は現存しておらず、館内にはレプリカが展示されている。


↑キリスト伝説の発端となった「竹内古文書」の複製。

そもそも、この村は元々の名前が「戸来(ヘライ)村」。
お気づきのように「ヘブライ」の発音に似ている。
方言でも、大人の男(父親)を「アヤ」「ダダ」、女性(母親)を「アパ」「アバ」と呼ぶことについて、聖書の「アダム」と「イブ」が訛ったものではないかとも言われている。

先述した子どもの額に十字を描く風習の他にも「足がしびれた時に額に十字を3回描く」「農作業の作業着がパレスチナのそれに似ている」など、挙げるといくらでもある。


キリストの遺言書」なるものも展示。こちらも竹内古文書の中にあったもので、展示品は複製。
布教には努めなかったものの、日本全国を行脚し言語や風俗などを視察する傍ら、庶民救済に尽力したことなどが書かれている。
なお、当時のキリストは禿げ頭白髪で赤ら顔の鼻高、ヒダの多いオーバーを着ていたことから、人々に天狗として敬われていたという。

まさに「真実は神のみぞ知る」である。


「キリストの里公園」のすぐ向かいには「キリストっぷ」なるネーミングセンス抜群の休憩処がある。
せっかくなので開店時間を待って立ち寄ってみた。


開店時間はキリストだけに「十字架ら(10時から)3時まで」(土日限定)。
ロゴをあしらったTシャツやトートバッグ、缶バッジ、そして「ナニャドヤラ」の完全版CDなどを販売している。

所々に散りばめられたユーモアに、それこそバチが当たらないのかと心配してしまったが、
スタッフのおばあちゃんによると、かれこれ開店してから10年ほど経つという。
村の高齢女性グループが運営、維持管理を行っているそうだ。

完。
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(広島県福山市)福山自動車時計博物館 後編

2021-10-06 21:12:40 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
(2019年訪問)前編はこちら
兵庫、岡山、広島珍スポットラリーより記事を抜粋しております。




車の周りを囲む展示物は多種多様。壁を埋め尽くす大量の掛け時計が圧巻で、時を刻むコチコチという心地よい音が響きます(^^)。
他、アンティーク木馬やオルゴール、ブリキのミニカーやプラモデル。天井からは飛行機の玩具がぶら下がり、軽飛行機「ハイパーチェロキー」の実物展示もあります。

福山自動車時計博物館のコンセプトは「のれ、みれ、さわれ、写真撮れ」。
大量生産・大量消費の現代こそ、戦前、戦後の激動の時代を五感で感じてほしいという館長・能宗孝氏の思いが込められており、なんと館内のすべての車は自由に乗車可能!
車好きには最高の空間なのです。


T型フォードスピードスター(1915)、ダットサンフェートン(1935)、そしてこちらのダットサンセダン(1936)などのクラシックカーでも、ドアを開けて運転席に座ることができます。
さっそく恐る恐る乗車……。やはり小さいです。


自動車史には欠かせない存在、初代・トヨペットクラウンの初期型(1955)。
先ほどのような戦前のクラシックカーは詳しくないので、この辺りからやっとピンとくる顔ぶれ(^_^;)笑
観音開きのドアを開け、せっかくなので役員気分で後部座席へ。
これまで柵やロープ越しで見てきた初代クラウン、スプリングでボヨンボヨンの座り心地を体験できて感動です。



ズラリと並ぶ60年代以降の国産車たち。初代三菱ミニカ、マツダR360クーペ、トヨタパブリカ、マーク||バンなどなど。
博物館の定番カーから微妙にレアな車まで幅広い。

思う存分「のる、みる、さわる」。



1台残らずドアを開け、ハンドルに触るのはもちろん、クラッチ踏んでギアチェンジも体験させてもらいました。
今まで遠目に眺めていた子と、やっと手をつなげたような感じでしょうか(←気持ち悪い)。
なんて素晴らしい時間なのでしょう!


最初は「バタンコ」博物館をやりたかったというだけあって、オート三輪も充実。
マツダK360と、三輪の代表格ダイハツミゼットの初代、二代目が並ぶ。あとはオートバイに荷台を付けたようなバーハンドル車や、珍しい三菱ペットレオなども。


中でも同館ご自慢の1台はこちら、資料を基に忠実に再現されたマツダ3輪乗用タクシー(1950)。
戦後、GHQによる四輪自動車生産禁止令の中、ここ広島が本拠地の東洋工業(現マツダ)が苦肉の策として製造した「広島タクシー」仕様。
原爆で壊滅的な被害を受けた県内で5年ほど使われ「広島には緑が不足している」ことからこのカラーにされたといいます。なお、乗り合いで料金は一律50円。
製造台数は約20台だったといい、同館いわく「幻のバタンコタクシー」。

昭和の日用品コーナー



古いガスコンロやミシン、桐箪笥などは古民家から譲りうけた物でしょうか。
ここを抜けると、館長が特に力を入れて収集されたという江戸時代中期~末期の櫓時計(本体から垂れたおもりの部分がやぐらを思わせるため、こう呼ばれる)や枕時計が別部屋に美しく陳列。
女性スタッフが丁寧に解説してくれました。


せっかくなので、大好きなスバル360や丸ハンドルのミゼットなどと記念撮影してもらいました(^^)。

なお、館内の展示車両は20台前後ですが、非公開のバックヤードには極めて珍しい商用車を中心に大量の車両がストックされており、頻繁に展示替えがされています。
実際、私が見学している最中も「今からベンツ入れますよ~」と教えてくれ、裏のシャッターから自走で館内に搬入する激アツシーンを見ることができました(^^)。
前回述べた日野コンマースなどもいつかは展示してほしいものです。
ほんと、ここは何度も訪れたい施設ですね。

完。
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(広島県福山市)福山自動車時計博物館 前編

2021-10-06 21:07:52 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
(2019年訪問)
兵庫、岡山、広島珍スポットラリーより記事を抜粋しております。



・福山自動車時計博物館(広島県福山市北吉津町3-1-22)
1989年に館長・能宗孝氏が、家具メーカーだった実家の旧倉庫を活用してオープンさせた旧車とアンティークの博物館です。
古時計から始まり、「バタンコ(オート三輪)」など、昭和当時はあまり見向きもされなかった物を中心にコツコツと集められたといい、故に他の博物館では決して見られない珍しい自動車がそこかしこにあるとか……。


噂に間違いは無く、本館に向かう途中からレア度が極めて高い初代・日野ブリスカ900(1961~67)がお出迎え。
隣にはレストア中のトヨタのボンネットバスもあり、いきなり迫力満点だ。


本館前の道路には屋根つきの屋外保管場がいくつかあり、入場料を払わずとも旧車の数々が見放題
こちらは定番のスバル360を先頭に、ボンネットタイプのいすゞのトラック、そして古い消防車が7台も並ぶ。




日産ジュニア、トヨタ消防車、日産FS581……。バスでは見た事がある顔でも、消防車だと新鮮。
これだけ勢ぞろいすると壮観です。


別の保管場所には、同館がピカピカにレストアしたボンネットバスが3台も。いずれもバリバリ動態保存で、ゴールデンウィークやお盆には来館者の送迎に使われるという太っ腹さ。
道路を挟んだこれまた別の保管場には、中々残らないバキュームカー仕様のマツダT600
そして後ろに顔をのぞかせるのは残存数台というレア度MAXの大型オート三輪、トクサン号。四国の高知県自動車工業が64年~、山道での林業輸送用に製造。


特筆すべきはこちら、かなり腐食が進んでいますが現存個体はこの1台ともいわれるマツダB1500(61~64)の1トン積みトラック。
県内のとある整備工場近くの茂みに埋もれており、2010年に同館がサルベージし、ここに辿り着きました。
このご尊顔だけでも1時間はつぶせる。

また、つい数年前まではこちらも残存2~3台、わずか2年しか生産されなかったミニバンの先祖・日野コンマース(60~62)の極上個体が鎮座していましたが、現在は博物館裏の収蔵庫に仕舞われています。


本館前には、第19次南極観測隊払い下げのトヨタランドクルーザーと雪上車が存在感を放っています。
その他、オースチンのロンドンタクシーやマイクロ、リアエンジンバス、相当古いチチヤスの宣伝車などなど……。



さて、入館料900円を払いようやく入場です。
日差しの降り注ぐ開放的な館内。ズラリと並ぶクラシックカーと昭和家電、日用品、そして蝋人形が出迎えてくれます。

なかなか素晴らしい出来栄え。



オバマ元大統領にヘンリー・フォード、クリントン&リンカーン、ペリー、マッカーサー、吉田茂といった面々。これは楽しい(^^)

塔時計(タワークロック)とエジソン

時計台用の塔時計は1600~1900年代ものを約40台所蔵しているとのことです。

ジェームス・ディーンとエルヴィス・プレスリー


後編へ続く。
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(岡山県津山市)つやま自然のふしぎ館 後編

2021-10-01 23:14:14 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
(2019年訪問)前編はこちら
兵庫、岡山、広島珍スポットラリーより記事を抜粋しております。


第6室「世界の野鳥類」


こちらは日本、世界問わず、各国の鳥類が一室に勢ぞろい。数えきれないほどの量です。
カナリヤやセキセイインコ、オウム等の飼い鳥がいるかと思えば、ツメバケイ、サイチョウ、ケツァール等の珍種も見られます。
中でもシロフクロウはココのお気に入りらしく、ガイドブックや外の看板などに頻繁に登場します。


ずらりと並ぶ各国のワシ、タカ類はどれも大きく羽を広げており、その巨大さが際立ちます。
本当にココの剥製たちは生き生きしていますね。まるで動物園にいるかのような迫力です。


展示室の隅にはこれまた味のある解説板が……、と思えばヒグマに襲われた人の腕といったショッキングな白黒写真も(ホルマリン漬け標本?)。

第7室「北米大陸の動物」


先ほどのアジアコーナー同様、ここもガラス越しにジオラマが展開されているのですが、さすが北米、1体1体のサイズが大きい。体長3メートル越え、ヘラジカアメリカバイソンの存在感が抜群。
後ろの岩にはシロイワヤギが立っています。

大変珍しいジャコウウシ親子の剥製

グリーンランドの極地に生息するウシの仲間。オスは発情期になると、体から「じゃ香」の香りを放ちます。現在、日本の動物園では見ることが出来ない動物です。

第8室 日本の野生動物と鳥類



ようやくお馴染みの動物たちが出てきましたね。
さすがにヒグマやエゾシカはこの館内では地味めか…(笑)。

ここら辺は全国の博物館でも見られる顔ぶれですが、やはり動物、鳥類の数の多さが違います。
ジオラマの枝一本一本に小さな解説が付けられているような感じで、とても全部は読んでいられません。
ここの一室だけでも小さな展示館一棟くらいの見ごたえがありますよ。


第10室「両生類・爬虫類」。
なぜかこの1室だけガラス戸で仕切りされており、ガラガラと開けて中へ入ってみると…。

うわぁ…。
鼻につく強烈なホルマリン臭が…(^_^;)。

どうやら奥にある巨大ガラス水槽から発している模様。
ズラリと並ぶウミガメにまずは圧倒されます。


独特な臭いに包まれながら室内をぐるり…。説明するまでもなく、この一室の顔ぶれも相当なもの。
アルダブラゾウガメ、ガラパゴスゾウガメ共に危急種(VU)。剥製なんてそう見られませんよ。
そして隣のガラスケースにはトカゲがズラリ…。この部屋、色々な意味で苦手な人が多そう…。

部屋のド真ん中にいるナイルワニ(全長5メートル)

ワニの剥製なんて初めて見ました。体重は220キロもあるそうです!
残念ながら触ることは出来ませんが、目の前でじっくり見ることができるのはこの博物館ならでは。

そして…この部屋のイチバンの見もの。

体長1.28mの巨大オオサンショウウオ!(右)



スゲェ顔!!! 目はドコ???(笑)
ホルマリンがなみなみと入った水槽に浸かっています。強烈な臭いはココの仕業でした(^_^;)。
世界最大の両生類で、一般的なサイズは70~80センチとのこと。国の天然記念物に指定されています。

ここに入っているのは種の中でもかなり大きい方で、推定年齢は116歳らしいです…。
なお、その他にも同種のオオサンショウウオが何匹か浸かっていますが、なんと魚をくわえたまま窒息死した標本もあります(^_^;)。

…水槽に近づいてじっくり観察してたら、刺激臭で頭が痛くなってきたので移動します(笑)。

オーストラリア周辺の動物

ヒクイドリ、オオフウチョウ、コクチョウ、カンガルー(これもスゴイ顔)など。
ずいぶんと発色の良いカモノハシだな~と思ったら、どうやらコレだけ館内で唯一の人口で製作されたレプリカなのだそうです。

第9室「極地周辺(北極・南極)の動物」

これまた大迫力!!
生々しい傷が波乱万丈の過去を感じされるミナミゾウアザラシのオスの剥製。体長5メートルもあり相当デカいです。
こんなのどうやって剥製にしたんだろ…と思ったり(笑)。横のアホウドリも相当レア。

そして向かいに対決するように配置されているのは体長3.5メートルのホッキョクグマ
リアルなジオラマのおかげで実際にありそうな光景ですが、ミナミゾウアザラシは南極なので生息地は真逆
ここでしか見られない対決!」とふしぎ館も謳う、いわばオリジナルの対決場面なのでした。
…周囲のトドやオオカミなども威嚇姿勢になっていてドラマを感じます。

第9室「中南米の動物」



本物の熱帯雨林さながらに樹木が生い茂っており、そのあちこちに珍しい動物たちが。
ジャガーピューマなどが目を引きますが、ナマケモノやレア(ダチョウの仲間)、コンドルの剥製はそう見られませんね。

アリクイとアルマジロ


第12室「西アジア・アフリカの動物」


階段を上り、最後に現れる3階の一室がここになります。
ジオラマの大きさ、中にいる動物の量ともに館内でも最大級で言葉を失うほど。その雰囲気は欧州やアメリカ郊外の自然博物館を彷彿とさせます(決して大げさではない)。


極めて珍しいインドゾウの子どもの剥製。
その前にいるのはライオンキ●グでおなじみのイボイノシシ。


ライオンなんてもはや驚かない…とスル―しがちですが、アフリカライオンとレアなインドライオンが仲良く並んでいます。
隣にはヌーやエランド、アンテロープなどの草食動物たちがズラリ。


草食動物たちはひときわ数が多いですが、首だけの剥製が壁に並ぶのも欧州チック。
この一室のコレクションは大半が英国人のコレクターから入手したものだと聞いて、妙に納得します。
なお、いずれの剥製も既に50年以上前に製作されたものだといいますが、その割にほとんど傷んでいないのに驚きです。

最後に…。館内に上皇さま訪問時の写真が。

昭和40年との事なので、まだ皇太子時代ですね~。
私費を投じた個人の自然史博物館というのは当時としては画期的で、その物珍しい展示物の噂を聞きつけご訪問されたのでしょうね。
まさか平成の最後(※注)に上皇さまの足跡が見られるとは思いませんでした。
※訪問日は2019年4月15日。ギリ平成。


ずっと来てみたかった城下町の摩訶不思議なワンダーランド。
平日という事もあってか滞在時にお客さんは殆どおらず、その楽しくも少し怖い雰囲気にずいぶんと長い時間浸っていた気がします(笑)。
館内で唯一見かけた年配のご夫婦が帰り際、スタッフに「大変すばらしかったです」と興奮気味に語っていたのが印象的でした。

私が今まで訪れた珍スポットの中でも1、2を争うぐらいに感動した場所でした。
是非また来たいです。

完。


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(岡山県津山市)つやま自然のふしぎ館 前編

2021-10-01 23:04:15 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
(2019年訪問)
兵庫、岡山、広島珍スポットラリーより記事を抜粋しております。



激レア剥製から本物臓器まで!
創設者の熱意に漬かる和製ラビリンス!!

(岡山県津山市山下98-1)


岡山県津山市の津山城跡近くにあるこちらの施設、1963(昭和38)年に御用商人「錦屋」の末裔である森山慶三という人物が、私財を投じて開設したという自然史博物館です。
木造の旧・高等学校校舎を改築した複雑な館内には、慶三氏が世界各国から集めた動物の剥製を中心として、昆虫、貝類、化石、鉱石類などが所狭しと展示されているそう。ワシントン条約で規制される以前に収集されたものなので、ここでしか見られない希少な動物もいるとか。
入り口前の巨大看板には「世界の珍獣!迫力の22000点!」と誇らしげに掲げられており期待が高まります。


入館料700円を払い入館。数多くの剥製がいる博物館という事で、入った途端からこんな感じです。
剥製では中々見られないであろうセントバーナードが出迎えてくれるのですが、なんと太っ腹なことにおさわり自由!そして館内は自由に撮影OK。

この先、剥製やホルマリン標本の関係で臭いが独特なのか、入り口では苦手な人用へマスクが置かれていました。

まずは「化石の世界」コーナー。

いきなりガラスケースに約12000点もの化石がズラリと並び圧倒されます。アンモナイトやサンゴ、シダ類、魚類や貝類など。
そして時代を感じる説明版と、太古の時代をイメージした迫力ある絵が味わい深い。

向かいには「世界の貴重野生動物」

館内が誇る特に珍しい動物たちを選りすぐって展示しているようです。
クロヒョウ、ユキヒョウ、ガウル、プロングホーン等々、こちらも迫力ある太古の書き割りをバックに並びます。

ローランドゴリラ

レッドデータブックでは絶滅危惧種(EN)に分類。
ゴリラの剥製なんて初めて見ました。


(左):マレーバク。こちらもレッドデータブックでは絶滅危惧種。さすがワシントン条約以前に収集されたコレクションだ。
(右):キンシコウ。孫悟空のモデルと言われています。こちらは絶滅危惧種よりさらにランクの高い危急種(VU)。故に剥製としても数えるほどしか見られないのだそう。更にここではオス、メスつがいで見ることができ、世界的に見ても極めて希少な逸品なのだそうです。

キリンの剥製に思わず声が出る。

体高5メートル、あまりの高さゆえに座らされています(笑)。
動物園では何回も見た事ありますが、こういった全身の剥製を見られる機会はそうそうありませんよね。
ガラス越しではありますが、かなり近くで見ることが出来て迫力満点でした。

第2室「人体の神秘」コーナー



化石、希少動物を経て、いきなり人体コーナー。身構えていなかったのでちょっとビックリ。
こちらも少し時代を感じる、ひとむかし前の人体生理模型が並びます。昔の学校の理科室を思い出しますね。説明書きも手書きで素敵。

至るところに本物の頭蓋骨が。

2対並んだ全身骨格標本にも、左には「実物標本(成人男性)」の文字が。片方はホンモノでした……。

そして、本物があるのは骨格標本だけではございません。
ここが、そこらの博物館とは一線を画している、つやま自然のふしぎ館の特筆すべき点であります。


人体臓器のホルマリン漬け標本。
しかもこれ、創設者の森本慶三氏の臓器そのもの!!


森本慶三氏の本館展示物にかける情熱は並々ならぬものであったようで、なんと「法の許す範囲に於て内臓諸器官を生理学標本として寄贈したし」という遺言を残す(実際の文面も併せて展示)。
そして1965年の死後(博物館開館から2年)、その遺言に従い、岡山県の承認を経て岡山大学医学部解剖学教室にて解剖。展示に至っている訳なのです。
念のため、現在の法律においても全く問題はありません。


現在は「脳」「肺」「肝臓」「心臓」「腎臓」5点が並んでいます。かつては20点ほどの臓器がズラリとあったそうですが、展示台の破損などで数が減ってしまったそう。
なお、残る臓器も年月の経過で少しずつ形が崩れてしまっている模様……。
それでも、慶三氏の死後50年以上が経過している中、ここまで形が残っているのは大したものです。

肺の断面がずいぶんと真っ黒だったのが印象に残りましたが、慶三氏は喫煙家ではなかったのが意外。
日本の空気は当時からそんなに汚れていたということか。


展示室の片隅に、森本慶三氏の写真が飾られていました。
実は、慶三氏は宗教家・内村鑑三の教えを受けた熱心なクリスチャンでありました。
ここ自然のふしぎ館の他にも、キリスト教伝道を目的とした「津山基督教図書館」、そしてこの建物の前身である「津山基督教図書館高等学校」を立ち上げ、町の教育環境の向上に尽力。1959年には津山市から文化功労賞を受け、市の名誉市民となりました。

自然のふしぎ館についても、構想から開館に至るまで実に30年以上の準備期間を要したとも言われており、慶三氏の教育にかける情熱を改めて感じられます。


…人によってはちょっと刺激の強い展示物ではありますが、ここは慶三氏に敬意を表し、目を背けず展示物ひとつひとつに対峙したいところです。
もっとも、過去の様子を見ると、胎児(4~8か月)のホルマリン標本や奇形に関するパネル展示、一つ目のアナグマの標本や分娩時の白黒写真など、さらに衝撃的な展示だったようですが、昨今では中々展示が厳しいのか、現在では裏へ下げられてしまっているみたいですが(もっと早く来たかった!)

第4室「世界の昆虫」コーナー。

隣の教室へ入ると、お次は昆虫標本が所狭しと。狭い通路の両側にケースが高くそびえ迷路のよう。展示棚は比較的新しめか。
過去の写真を見ると、かつては館内のあらゆる場所(他の展示室の壁や廊下など)に一緒くたに展示されていたようですが、どうやら整理されて専用の部屋が作られたようですね~。

カブト、クワガタ、コガネムシ、チョウ等の定番ものから、クモ等の昆虫外も。
世界最大のガ「ヨナクニサン」や色鮮やかなモルフォ蝶、そしてそのモルフォ蝶から作られたブローチなんてのも飾られていました。



ここから年季の入った階段をギシギシ上り、2階へ。
なんとこのふしぎ館、展示室が3階まであるのです。
そしてここから、ふしぎ館ご自慢の剥製コーナーが始まります。

第5室「アジアの動物」


案内表示に従って部屋に入ると、ガラス越しに大規模なジオラマ風の展示が展開されていました。
何匹ものトラやヒョウが牙をむいてこちらを睨みつけており、渋いタッチの背景画と共にすごい迫力
なお、真ん中あたりに見えるオランウータンの剥製は明治時代に輸入されたという動物剥製の第1号で、ものすごい骨董的価値があるそうです。
これらの動物たち、私が思っている以上に歴史があるみたいです……。


どの動物も躍動感があり、普通の博物館では味わえない楽しさがありますね。すごい!
手前にひっそりいらっしゃるセンザンコウも、現在ではかなり貴重な剥製。つい最近、不正に輸入しようとして逮捕された人がいたような。


思えば1階のゴリラ同様、オランウータンの剥製もそうそう見られるものではありませんよね。なんとここには2頭もいます。奥にいるクロザルもレア。
そして展示室には「本館の展示資料は世界各地の人々から特別の好意で集められたものが多く、再び入手することは全く不可能、館内では絶対禁煙を順守」と手書きの注意書きがあるのですが、特別天然記念物のアマミノクロウサギの横に置かれているのが説得力あります(笑)。

後編へ続く。
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