泉区生活支援ネットワーク

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障害者施設利用者らと車で内陸へ(名取市)~河北新報「伝える」より~

2014年05月11日 | 仙南・仙台周辺の情報
(「河北新報」平成26年5月11日(日)付け記事より引用)
 社会福祉法人「みのリ会」は、海から約1km離れた名取市下増田で障害者支援事業所を運営していた。主任支援員目黒恵美子さん(49)は大津波警報を知り、利用者40人、同僚30人と内陸を目指した。

素早い行動全員が助かる

 施設は午後3時が帰宅時間でした。地震が起きた時は、帰宅前のお茶会の時間で、利用者が食堂など2カ所に集まっていました。
 揺れが始まると、動き回る人、怖い怖いと連呼する人たちで、騒然となりました。職員は「大丈夫だよ」と声を掛け、頭に毛布をかぶせたり、テーブルの下に身を隠すように促したりしながら、落ち着かせました。
 防災行政無線は聞こえませんでした。携帯電話のワンセグで仙台港6mの大津波警報を知り、避難することにしました。
 施設の玄関には既に、帰宅用の車が待機していました。利用者と職員は10人乗りのリフト車4台や軽トラックなどに分乗しました。
 この時、職員が持ち出したのは利用者の上着ぐらいでした。すぐに戻れると思ったからです。点呼を取って施設を出たのは午後3時ごろでした。

 毎月、防災訓練を行っていましたが、津波を想定した避難ルートは決めていませんでした。とりあえず、海から離れるため、仙台空港アクセス線の美田園駅を目指しました。動きだしが早かったため、渋滞には遭いませんでした。
 美田園駅近くの空き地に集合した時点で、大津波警報は10mになっていました。近くの企業から上の階に逃げるように声掛けされました。車いすの利用者もいます。停電でエレベーターが止まっている状況で、上に移動させるのは難しいと判断し、車でさらに内陸の名取市役所に向かいました。
 隣の市民体育館に到着後、職員は携帯電話を使ったり、自転車で直接訪問したりして、利用者の家族に全員の無事を伝え、迎えを待ちました。
 津波は美田園駅周辺にまで達し、海に近い施設は大きな被害を受けました。利用者と家族が日常生活を早く取り戻せるように、内陸
部の仮施設で3月22日に支援事業を再開しました。

 2013年4月に名取市上余田の新施設に移りました。津波で家族を亡くした利用者もいます。現在、利用者の「家」となるグループホームの設立準備をしています。
 振り返ると、迅速な避難ができたのは、利用者が集まっていたこと、車が待機していたことなど、幾つもの幸運が重なった結果でした。職員しかいない時間帯だったら、今回のように素早く動かなかったかもしれません。私は利用者に救われたと思っています。
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