泉区生活支援ネットワーク

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再起への道 宮城・被災障害者施設の今(2)

2014年06月15日 | 施設情報
(「河北新報」2014年06月12日木曜日付け記事より引用)
やりがい
のぞみ福祉作業所(宮城・南三陸町)~援助生かし事業創出~

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。生活介護事業所の「のぞみ福祉作業所」も津波で利用者2人を亡くし、施設も使えなくなった。震災後、各地から支援を受け、自ら新たな仕事を生み出している。
 のぞみの利用者は震災前まで、地元の水産加工会社などから商品のシール貼りなどを請け負っていた。施設長の畠山光浩さん(58)は「震災で設備も流され、すぐに再開できる状態ではありませんでした」と振り返る。
 「日本障害フォーラム」(東京)や認定NPO法人「難民を助ける会」(同)の支援を受け、のぞみは2011年11月、南三陸町袖浜地区に事務所を設けた。

<紙すきに初挑戦>
 活動を後押ししたのは同年10月、社会福祉法人「仙台市手をつなぐ育成会」から譲ってもらった紙すきとステンシルシート(型紙)の道具だった。翌年3月には東京のライオンズクラブからも紙すきの道具が贈られた。
 障害者作業所で紙すきの指導を行う大阪の団体などがのぞみを訪れ、牛乳パックや酒パックを使って再生紙が作れるようアドバイス。独自の商品作りに乗り出した。
 最初ははがき。のぞみの利用者や職員が描いた絵などを基に、12年夏、5枚組の「笑(え)はがき」(500円)として発売した。南三陸町を訪れたボランティアの人たちが土産として買っていった。
 13年からは再生紙の名刺作りにも取り組む。町役場などから名刺の注文がある。
 利用者の菅原正三さん(42)は「決められた枠の中に(ドロドロになったパルプを)均等にすくうことが難しいけれど、楽しいです」と話す。

<売り上げ3倍増>
 のぞみは再生紙以外にも活動を広げる。例えば13年5月に販売を始めた特製のタオル(1080円)。チリ政府から贈られたモアイ像を生かして、南三陸町が地域活性化を進めていることに着目。利用者の菅原知也さん(26)が描いたモアイ像のイラストを活用し、製作した。荷札もモアイの形の再生紙だ。
 8月は、月間300本売れ、施設の売り上げの半分以上を占めた。菅原さんは「自分の作品が商品になってうれしいです」と話す。
 施設の昨年の売り上げは約460万円。前年の約140万円の3倍を超えた。利用者1人当たり受け取る1カ月の工賃は、震災前の4000円から7000円に増えた。今後は1万円にするのが目標だ。
 利用者の保護者でつくる「愛の手をつなぐ親の会」会長の千葉みよ子さん(67)は「震災で生活は激変しましたが、利用者は新たなやりがいを見つけ、少しずつ前向きに進んでいます」と言う。
 のぞみはことし3月、仮の役場庁舎近くに再移転。震災後、施設には思いがけないところからも多くの支援が寄せられた。畠山さんは「頂いたものを活用して、もっとのぞみらしい独自商品を作りたい。そして、支援先同士をつなぐ役割も担いたいです」と意気込む。

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