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仙台市の発達障害支援センター 初相談数ヵ月待ち(「河北新報」)

2023年05月03日 | 相談窓口
(「河北新報」令和5年5月3日付記事より引用)
年間1万件超マンパワー限界

 発達障害がある人の地域生活を支える仙台市発達相談支援センター(アーチル)で、初回相談までI~4ヵ月待ちが常態化している。発達障害に関する幅広い相談を予約制、無料で受け付けており、年間1万件超の相談が殺到。子育てに不安を感じる保護者の訪問も少なくない。マンパワーはほぼ限界の状態で、公的支援を心待ちにする希望者は改善を訴える。

 2002年開設のアーチルは現在、北部(泉区)と南部(太白区)の2拠点で運営する。自閉スペクトラム症や学習障害、知的障害といった発達障害(疑いを含む)に医師や保健師、教員、ケースワーカーら専門知識を持つスタッフがチームで取り組む。
 「早期の出会い」「生涯ケア」を目標に掲げ、乳幼児期から成人期まで一人一人のニーズに併せて支援する。進路や就労の相談、福祉サービスに必要な受給者証の判定など業務は多岐にわたる。

 相談件数は14年度に1万件を突破し、21年度は1万2641件に達した。発達障害関連の情報量の増加や早期対応への要望の強まりが背景にあるとみられる。

 北部アーチルの蔦森武夫所長(公認心理師)は「子どもの育てにくさを発達障害と重ねる相談が近年、非常に増えた」と指摘する。2拠点で計120人の職員が応対するが、初回相談は1件当たり約2時間かかるなど、膨らむ相談件致に対応が追い付かないという。

 市は23年度、希望者の元に出向くアウトリーチの担当職員を南北1名ずつ増員し、市内11カ所の児童発達支援センターとの連携も強化する。「相談
に当たる人員を増やしても、それ以上のペースで希望者が増え、いたちごっこになる」(市幹部)として、地域での支援態勢を拡充する方針だ。

 蔦森所長も、子育ての不安に対して助言できる人材を地域に増やす重要性を強調する。「少し違いがあっても、その子らしく暮らせる保育園や学校をどのようにつくっていくか考えなければいけない」と話す。

移住決意後ようやく面談
 「面談まで3ヵ月待ちだった」。アーチルを昨年利用した佐藤しおりさん(40)=仮名=は、途方に暮れた様子で振り返る。

 2021年10月、妊娠28週で生まれた息子の翼ちゃん(1)=同=は体の奇形やてんかんなどがあり、鼻から胃に通したチューブで栄養を送る医療的ケアが欠かせない。

 太白区の自宅で、160mlのミルクをあげるのに2時間半。戻さないように細心の注意を払って終えると、次のミルクは1時間半後に迫る。
 ベッドに寝かせると泣き叫んでしまうため、絶えず抱きあやす日々。帰宅した会社員の夫良介さん(35)=同=につらく当たってしまうことも増えた。
 「このままの生活が続いたら、どうなってしまうか分からない」
 限界を感じ始めた昨年7月、認定NPO法人フローレンス(東京)が手がける「医療的ケアシッターナンシー」の存在を知った。看護師が自宅を訪れる療育のサービスで、仙台でも利用できる。
 「へとへとになっていた自分にとって希望の光だった」。市の助成が得られる受給者証を求めてアーチルを訪ねたが、「まず面談が必要。3、4ヵ月待ちになる」と予想だにしない言葉を告げられ、心の行き場を失った。
 来る日も来る日も泣き叫ぶ翼ちゃんをなだめ、3ヵ月後の面談を待った。歌を聞かせる気力はそがれ、「心中という言葉が何度も頭をよぎった」。
 出口が見えず、夏の終わりには良介さんの実家がある関東地方への移住を決意した。引っ越し目前の昨年12月に面談がようやく実現し、交付された受給者証でナンシーのサービスを2回だけ受けられた。

「せめて1ヵ月くらいなら」
 「せめて1ヵ月くらいで面談できたら」としおりさん。わだかまりを残したまま、一家は仙台を去った。
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