いしころにっき

石原石子の日記です

きんぎょきんの話

2010-07-11 23:48:06 | あれこれ
三日くらい前に書きかけた文章を
いまさらアップします。

今回は長文です。

あまり長い文章は脳みそを疲弊させるものだと
あらためておもいました。

以下、当時そのまま。





昌美がきんぎょを飼ってから
もうすぐ一年になります。

以前にも書いたとおもいますが
なまえは「きんぎょきん」です。

きんぎょきんの泳いでいる水槽は
洗面所の横においてあり
顔をあらうとき
歯をみがくとき
トイレにいくとき
お風呂にはいるとき
そのときどきで
目にはいります。

きんぎょきんは
どんなときもお腹をすかしています。
いつもびちゃびちゃばちゃばちゃ
ものすごい暴れて
ご飯をせびります。

かならずです。

おとなしく泳いでいる姿をみたことがありません。

きんぎょというものは
私はもっと

すーぃ すーぃ

とゆったり泳ぐものだと
おもっておりました。
その点きんぎょきんは

びちゃびちゃばちゃばちゃ

人間がちかづいただけで

飯くれぇー
飯くれぇー

と暴れて

立ち泳ぎ

水鉄砲

飛びはねる

ガサツでなりません。


ゆったり泳いでいる姿など
みたこともありませんでした。


今朝も
寝起きにトイレにいったので
きんぎょきんがまた暴れるのではないかと
水槽をみてみたら
どこにもみあたりません。

隠れるようなものは
なにもないにもかかわらずです。


私は水槽の横の洗面台に目をやりました。


すると
ピクリとも動かないきんぎょきんが
横たわっていました。

私は


死んでいる


とおもいました。

そして


これは喰えそうもない


ともおもいました。


私は昌美を起こしました。


きんぎょきんが死んでいると。


火曜サスペンス劇場のような展開です。


第一発見者は私です。


昌美は驚いてきんぎょきんをみると


なんで!?


というような言葉を発し

きんぎょきんを掴んで
水槽にほうりこみました。
目の覚めるような早業です。





とおもう間もあらば

刺身にするにも貧弱なきんぎょきんは
ちゃぽんと
水槽にはいりこむと


尾ヒレが


ひら

ひらり


うごいたかとおもうと
死ぬ寸前の魚のように
横倒れのまま
ぴくぴくと痙攣をしながら
泳ぎはじめ
だんだん
まっすぐに泳ぎだしました。



きんぎょきん復活です。



しかしまだ油断はできません。
きんぎょきんは
暴れることもなく
あまりうごかず







水のなかで寝ているように
ゆっくりと
まるで

金魚のように

ゆっくりと
存在しています。



水槽にはフタがしてあります。
空気穴があるのでそこから飛び出たのか
それともフタを押しあけるほどの勢いで飛び出たのか
なんとも不可解ながら
きんぎょきんは水槽から飛び出て
死にかけていました。


その日
夜になって
きんぎょきんをみてみると


飯くれぇ
飯くれぇ


と暴れていました。


泣いた子供がもう笑った

という言葉と同じで

死にかけた金魚がもう暴れてる


といった感じです。

あのおとなしいきんぎょきんは
もうかえってこないようです。




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