これは、もう亡くなって数年になる同僚が、ニュージーランド旅行のおみやげに買ってきてくれた針刺し。
まち針がたくさん刺さってます。
その同僚は研修で自分の隣の席に座っていた人。
研修の後、１０日くらいしたら突然休職の発表。
理由は言われなかったので、みんなで「どうしたのだろう？」と言い合っていた。
その後も休職で、噂では１度姿を見せたがちょっと頭髪が薄いということだった。
突然休み始めたので、精神的な原因ではないだろう。でも、長く休むような病気は？
と、考えたときに、漠然と「がんかも知れない」と思った。
結局、親しくしていた人も「怖くて聞けない」ということで理由を知らず、お見舞いにも行けず、２年後亡くなったという知らせが入った。
そのときはじめて「乳がん」ということがわかった。
４０代で、マンションとＢＭＷを買って、仕事の後スポーツクラブで汗を流している人だった。
器用だったので「仕事辞めたら、洋服直しの仕事で一生食べていけるよ」と自分が言ったら、「そうかな～」と笑っていた。
突然姿を消したので、今でもまだ現実感がない。
ある日また出てくるのではないかと本気で思う。
そして、休んでいるとき、彼女はどんな思いで過ごしていたのだろうか？と時々考える。
実家が岡山なので遠いし、マンションで一人で頑張っていたのだろうか？
時々、街中で似た人を見かけると、彼女が帰ってきたと錯覚する。
羊の針刺しはまだケースの中に座っている。
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