いせ九条の会

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前空幕長受賞の懸賞論文に自衛官50人応募/山崎孝

2008-11-05 | ご投稿
朝日新聞11月5日の記事 「我が国が侵略国家だったのはぬれぎぬ」などとした論文を書いて更迭された航空自衛隊の田母神俊雄・前航空幕僚長=3日付で定年退職=が応募した懸賞論文に、少なくとも50人を超える自衛隊員が投稿していた可能性があることが4日、防衛省の内部調査でわかった。同省は全国の部隊まで広げて人数を確認し、投稿の経緯や内容に問題がなかったか調べている。

 田母神氏が応募して最優秀賞を受賞したのは、ホテルチェーンなどを展開するアバグループ主催の懸賞論文で、テーマは「真の近現代史観」。新聞広告などで募集した。入賞論文13件に自衛官のものはなかったが、応募総数は約230件に上ったという。

 防衛省は本省内局、陸海空各自衛隊の全組織を対象に調査している。投稿について上司に連絡や相談した隊員数を調べたところ、これまでに50人以上になったという。空自隊員が複数いるという。

 また、田母神氏が・「(他の人には)強制していない」としているものの、応募をめぐって空自トップの同氏の影響がなかったかも調べる。(以上)

【コメント】「真の近現代史観」という自由主義史観の人たちがつけるようなテーマの懸賞論文に230人中5人(20%)が応募していたことは、田母神氏の史観問題以外にも国民は注意を払うべき問題があると思います。

歴史を振り返れば、1936年に2・26事件を起こした陸軍内の派閥の皇道派は、財界や政界を直接行動で変革し、天皇親政による国家改造をする昭和維新を目指しました。2・26事件に一部将兵が決起した社会の状況は厳しい貧困問題がありました。この維新思想は主に尉官クラスの隊付き青年将校たちに広く広まっていました。1936年の翌年1937年に軍部は政府を巻き込み中国の占領地域を大きく拡大させ、やがて日中戦争は泥沼に嵌ります。

東京新聞は、田母神氏は都内で会見し、「国家国民のためという信念に従って書いた。その結果、解任という事態になったことは断腸の思い」と述べた。国会の参考人招致については「政治に利用されるのは本意ではない」としながらも「積極的に応じたい」とした。論文発表の理由を「日本が国家として発展するには自虐史観から解放されないと政策に影響が出る」と説明したと報道しています。

田母神氏の考えは昭和維新を考えた皇道派に通じる思いが見られると思います。軍事組織にいる人物が偏った思想に基づいてグループを結成した場合の危険性を常に細心の注意を払い、おろそかにしてはならないと思います。