いせ九条の会

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安倍内閣の政治姿勢を露出させた2007年度政府予算案/山崎孝

2006-12-25 | ご投稿
12月24日、2007年度政府予算案を閣議決定しました。その特徴を述べた朝日新聞12月25日付け記事【安倍カラー】という見出しの部分を抜粋します。

安倍カラーが出たのが「成長重視路線」に沿った企業優遇の配分だ。国際競争力を高めるため、今も好調な企業部門を一段と押し上げようとしている。

科学技術振興費は1・1%増の1・3兆円。中小企業対策費は0・6%増の1625億円と3年ぶりに増加させた。税制改正でも、07年度分減税総額4220億円(平年ベースで約1兆円)のうち、減価償却制度の見直しによる企業減税が95%占める。

家計には景気拡大の恩恵がさほど回っておらず、すでに所得税増税(定率減税の廃止)で1・1兆円の負担増も決まっている。今回も企業部門に比べ恩恵は薄い。(以下略)

本年は米軍再編に伴う多大な費用が問題になりましたが、その費用の負担に関しての報道を紹介します。(12月23日付け「しんぶん赤旗」のニュースより)

【米軍再編費「GNP1%」の枠外 際限ない拡大に道開く】

 財務省が防衛庁に内示した二〇〇七年度「防衛関係費」予算で、新たに導入した米軍再編経費を従来の「防衛関係費」と「別枠」扱いにするしくみが、いくら米軍再編経費を増やしても、政府の軍事費を国民総生産(GNP)1%以内に抑えるという原則が適用されず、際限のない軍拡に道を開くものであることが明らかになりました。

 GNP1%枠は一九七六年十一月、当時の三木内閣が軍事費の際限のない増額への批判をうけ、「当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えない」と決定したものです。国防会議(当時)と閣議で決定されたこの方針は、1%を0・006ポイント超えた一九八九年度を例外として、一貫して守られています。

 しかし、この決定の対象とされているのは、自衛隊経費と米軍「思いやり」経費を内容とする従来の「防衛関係費」だけです。これとは「別枠」とされた沖縄県内の米軍基地たらい回しのためのSACO(沖縄にかんする特別行動委員会)経費は対象にされていません。

 米軍再編経費も対象外となります。防衛庁も本紙の問い合わせに、「1%枠外」と認めています。

 米軍再編経費は初年度にあたる〇七年度予算案では七十二億円にとどまっていますが、十年間で三兆円にものぼります。一年間で数千億円ということもありえます。

 「別枠」方式は、安倍内閣が1%枠原則にとらわれずに、米軍のために巨額をひねりだすしくみになります。軍事費の総額は対国民総生産比1%を超えることになり、国民生活予算をますます圧迫することになります。(以上)

経団連の来年1月1日に発表する「御手洗ビジョン」の骨子は、朝日新聞の報道によりますと、イノベーション(技術革新)の推進、法人税実効税率の10%引き下げ、11年度までに消費税率2%引き上げ、10年代初頭までに憲法改正、愛国心に根ざす公徳心、政治寄付を拡大するための法改正などがうたわれています。

これを見れば、安倍内閣の政治姿勢と同一方向のもので、閣議決定の予算案には、参議院選挙を考えて消費税率の引き上げはありませんが、選挙が終われば着手することは明らかです。

自民党の憲法改定の方向は、庶民より企業の利益を重視する財政政策と不離一体のものであることです。米国に追従をしながらも、国家主義の方向に歩もうとする極めて矛盾した考え方になっています。