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「私の心に残った語録」Ⅳ 駄目モト 裸一貫

2006年07月31日 | 今様隠居道

私は1968年にアパレル業界に入りました。
 40年近くになりますが、そもそもアパレル業界の起源を何年とするか、明解な見解がありません。

戦前の家庭洋裁や注文洋裁や制服、実用既製服製造の時代とするか、
戦後の下請け縫製工場を使った既製服業を起源とするか異論はありますが、
戦後の衣料統制経済が解除になった戦後25年(1950年)を起源とするのが適切考えています。

衣料統制経済解除を契機に復員兵や海外帰還の方々が、戦前の問屋丁稚や縫製業の経験を生かして既製服業を起業したのが昭和25年から30年ごろに集中しています。

その創業者の殆どは戦争で九死に一生を得た帰還兵や大陸で商売をされて、着の身着のままで引揚てこられた方々です。

ワコールの塚本(故)元社長やラピーヌの奥本(故)社長、クロスプラスの辻村重治(故)社長、東京のサンデカグループの各社、三喜堀田会長、イトキン辻村名誉会長など、日本のアパレルの草分け的な大手アパレルの創業が25年から30年ごろに集中しています。

ワコールの故塚本氏のインパール作戦の話しや、堀田会長や故奥本氏等軍隊時代のご苦労話し、辻村金五名誉会長や、ワールドの木口元会長の中国時代の丁稚修行のお話しなど、我々の世代には心に残り、大いに影響を受けました。

同じように、戦後起業の産業であるスーパー業界も中内(故)氏やライフの清水会長等からもよく戦中戦後の体験談を書物やテレビの対談などでよく読んだ記憶があります。
アパレル同様の戦後の産業で創業一代の産業の特長と勝手に想像しています。

その両者が2000年代に入り、創業世代から事業継承し、新しい時代に入っていると思います。

私は創業一代企業には創業者の若いときの原体験が社風に大きく影響していると前々から感じています。

創業者の若い時の経験が経営、社風に大きく影響している例が見受けられます。

それらの特長と傾向は「駄目モト精神、裸一貫、統率力、率先垂範、自己抑制、リーダシップ、滅私奉公」などです。

私がアメリカ担当の時に、生意気にもアメリカからの撤退を進言した時に「駄目で元々やないか!」、「わしは戦後に青島から引き上げてきた時に、木箱で数箱の満州紙幣(軍票)を持って帰ってきた」、「それが税関で紙切れ一枚で没収され、そこから裸一貫でここまでなったのだ」、「もし失敗しても裸に戻ったと思えば良い」

決して本気で仰った訳ではないと思いますが、事業にかける壮絶な姿勢は、戦中戦後の原体験から生まれてきたものと印象に残っています。

多分その他の創業会社も同じような社風を持っているのではないかと思っています。