つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

ホスピタリティの心(6)

2012年07月18日 | 友人
                          稲庭うどん

津田令子様著作本「接客革命」(芦書房 1,575円)より転載。

◎迅速な判断がお客さまの満足に
12月25日のクリスマスはどのホテルのレストランも大忙し。そんなてんてこ舞いの日に竹橋にあるKホテルで心にしみる「おもてなし」を受けました。
NHK文化センターで私の講座に参加くださっている方々とのクリスマス会の席でのことです。このホテルはある生徒さんが「眺めも良く料理もおいしかったわよ」というので決めたのです。

当日通された宴会場は窓が大きく夜景もきれい。つぎからつぎへとお料理が運ばれ、ロマンチックな夜景とともにおいしくいただき、「このあとご飯じゃちょっと重いわね」と誰もが思った瞬間、タイミングよく「おそばでございます」とざるそばが運ばれてきました。そのこともうれしかったのですが、Tさんがなんとなくもじもじしていると、そのお隣に座っているMさんが、「Tさん、そばアレルギーなんですぅ」と小声をあげました。するとTさん気を遣って「もうお腹いっぱいだから私いいわ、どなたか召し上がって~」。幹事のWさんとNさんも、「あらあら申し訳ない。最初に調理場にいっておけばよかったわね。ごめんなさい」。

すると30代前半と思われるウエイターさんがするするっとTさんのそばにきて「すぐに代わりのものをご用意させていただきます」と、さっとテーブルからおそばを下げて小走りに去っていってしまいました。10分経つか経たないうちに先ほどの彼が笑顔で戻ってきて、「稲庭うどんでございます」とテーブルの上にそれを置いたのです。
彼が素晴らしかったのは、愚図愚図せず迅速に、しかも自己判断で「代わりのものを用意させていただきたい」といい切ったことです。そんなときたいていのホテルでは「調理場に聞いてきます」「上司に聞いてみます」などとなります。しかし、そんな寝ぼけたことをいっているようでは熾烈なお客さまの争奪戦に生き残っていけません。

今回は「スピード」「スマイル」「セイフティー」と、「おもてなし」の三Sがキラッと光ったケースです。彼の行動を特別なこととは思いたくありませんが、できそうで、なかなかできないことではないでしょうか。
皆さんも「ホスピタリティとは何ぞや」などと深く考えずに、まずはできそうなこと、すぐできることから実践してみてはいかがでしょうか。

(7月18日記)
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