いかりや爆氏の毒独日記

最近の世相、政治経済について「あれっ?と思うこと」を庶民の目線から述べていきたい。

誰も語らない語れない不都合な真実、財政破綻

2015-02-19 07:05:43 | 日記

本記事は、ASREAD社に寄稿したものです(近々同社に掲載される予定)。

 

財務省が2月10日に公表した2014年12月末時点の一般会計上の国の借金は約1030兆円でした。年度末(3月末)には1062.7兆円になる見込みという補足説明。

税収は約50兆円だから、一般会計上の借金約1030兆円は税収の約21倍の借金ということになります。 

年収500万円の人が1億円以上の借金をしていることと同じです(特別会計を含めた4千兆円の借金ならば、年収500万円の人が8億円の借金をしていることになります)。 

個人がこれだけの借金を抱えこめば、自己破産するしかありません。 

前回、次のように書いたことを思い出していただきたい。 

“国(政府)は営利事業をやっているわけではないので、この借金の返済手段はありません。言うまでもなく税収で返済できるわけもない。” 

“借金返済(国債の償還)期限がくれば、新たな借金(借換債:かりかえさいの発行)をして返済金にあてています・・・財務省資料、「国債発行額の推移(実績ベース)」によれば、借換債の発行額は1998年~2014年の17年間で、1475兆円超になっています(なぜこういう金額になるのか辻褄の合う説明もないのでわかりませんが借り換え債の発行は財務省の裁量に任されている)。” 

財務省には、「国債整理基金特別会計」という借金返済のための、もう一つ別の特別会計があります。 

財務省の説明は官僚用語を巧みに使い分けて、素人にはわかりにくいのですが、簡略化して言えば、一般会計の借金と特別会計の借金を統合して(一元化)して、「国債整理基金特別会計」というもう一つの特別会計を通じて、「60年償還ルール:10年ごとに1/6減債、借り換え」の借換債を発行して、借金の償還と利払いを行っています。 

問題点の一つは、特別会計の借金総額を不問にしたまま一般会計の借金と一元化して国債整理基金特別会計の返済ルール「60年償還ルール」に乗っけていることです。なにしろ普通国債と借換債を合せてこの10年間で1609兆円の国債を発行しています(財務省資料:国債発行額の推移(実績ベース)より筆者集計)。 

財務省は、これまで「この借金はやがて税金で返さなければならず、公債発行による借金は、将来世代への先送りにほかなりません」と言ってきた、消費税アップへ誘導するための脅し文句にしてきた。ところが「60年償還ルール」は、これこそ「借金の先送りのルール」である、それだけ金利負担分が大きく圧し掛かります。 

借金の償還期限が来たら、借換債(60年償還ルール)というもっともらしい新たな国債を発行して借金の延命策を図っているに過ぎない・・・借金返済のための新たな借金であることに変わりない 

回復の見込みがなく死期の迫った患者に、人工呼吸器や心肺蘇生装置を着けたり、点滴で栄養補給をしたりなどして生命を維持するだけの治療とそっくりです(苦笑)。 

財務省は景気がよくなって金利が上昇することに怯えて、消費税アップを武器にして景気がよくならないよう必死にもがいているようにみえる、それだけに事態の深刻さがうかがえる。デフレ不況がこのまま続けば、均衡財政を達成することも不可能、従って国債費も垂れ流しと膨張を繰り返すことになる。

 最早、雪だるまのように肥大化しながら坂道を転げ落ちてゆく巨額の借金の行方を止めることは、並の政策ではできそうもない。成長戦略を取ろうにも、成長分を遙かに超えて借金が膨らんでいくために有効な経済政策がとれない、つまり日本経済はアウト・オブ・コントロール(制御不能)状態に陥っている。 

それにしても、「失われた20年(1990年代半ば以降)」は600兆円以上の巨額の財政出動しながらマイナスの経済成長とはひど過ぎた。 

これにより一人当たり名目GDPは世界第9位(1997年)から32位(2013年)まで転がり落ちた(国連統計)。世帯あたりの年間所得は約127万円(全世帯に換算して63兆円超)低下した。国が使ったお金はどこへ行ったのだろうか。 

筆者はこれまで、国の借金については楽観的であったが、特別会計の借金が一般会計借金の少なくとも2~3倍以上あることが推測され、金利負担増を恐れて景気浮揚策もとれない状態に追い込まれていることがわかると、事態の深刻さが増していると悲観的にならざるを得ない。 

本記事を投稿するに当たって、いろいろ調べているうちに、石光ゼミ:日本財政借金地獄―日本財政は破綻するのか(石井敦子) http://www.jc.u-aizu.ac.jp/11/141/thesis/msy2005/05.pdf 

という記事をみつけた。 

この記事のなかに、財政破綻を次のように定義している。 

財政破綻とは 

財政赤字(政府債務)が持続可能であるとは、経済学の定義では、今後も従来の財政運営のままで国債を発行し続けても、国債(政府債務)残高が発散(無限に膨張)しないということである。国債残高が無限に膨張しないということは、財政が破たんしないことを意味する。逆に国債残高が無限に膨張するということは、将来のいずれかの時点で財政が破綻してしまうことを意味する。” 

この定義からすれば、日本の財政は既に破綻していることになる。こんなことは言いたかないが、残念ながら、日本国債はいつ暴落してもおかしくない状況にあると言える。 

 打開策について、 

終戦後のどさくさ状態の時のように、預金封鎖して金持ちたちから金融資産を奪い返すという手もあるが、平時のこの期に及んで預金封鎖という手荒な手段は難しい。又、特別会計の借金を含めるとそれでも足りないだろう。 

前回、ロイターのコラム「ブラックホール化する日銀の国債購入」という記事を紹介したが、昨年9月末時点で日銀の国債保有額は約230兆円(2012年3月末は約87兆円だった)だが、本年3月末には250兆円を超えるものと思われる。誤解してはいけない、日銀は金融緩和が目的ではない、そんな格好いい話ではありません。国債を購入せざるを得ない状態に追い込まれているのである。 

ロイターのコラムニストが指摘するように、日銀は国債を売却する必要に迫られることもなく、日銀の金庫は「ブラックホール」と化す。そこに飲み込まれた国債は2度と外には出て来ず、市場に残る国債は高価な軌道上にとどまることなる・・・市場に残る国債は高価な軌道上にとどまるとは、金利(率)が低いままに抑制されることを意味している。 

今から数年前までは、エコノミストやジャーナリストたちは、「日銀の買いオペは禁じ手だ」などと騒いでいたが、今回の日銀の国債買いオペについては何も言わない。日本のエコノミストたちとは、その程度のレベルの愚者たちである。 

ロイターのコラム記事の意味するところを理解した上で、次の記事を読んでみてください、5年前に筆者のブログで書いた記事を現在風にアレンジしてあります。

『国の借金をチャラにする方法』

 例えば国の借金1030兆円を日銀がすべて肩代わりすればいいのです(一挙に買い取るかどうかはべつにしても)。政府は1030兆円の小切手を1枚刷って日銀に渡せば終わりです。借金はチャラ、帳消しになります。

 現在は殆どすべて電子マネーの時代です。日銀が1030兆円の大量の一万円札を発行するなど、そんな大袈裟な作業は必要もありません。政府から日銀へ渡す金も、電子マネーつまり帳簿上のやりとりだけでも、充分です。

お金とは国家の信用力そのものである、信なくば、ただの紙切れになる。ここでも問題となるのは、闇に包まれた特別会計の膨大な借金です、本稿ではそこまでは踏み込めない。

そんなことができるの?

今のうちならできます。日本が対外的に負債大国ならば、ことは容易ではありません。幸いにして、日本は対外的には債権大国です。

できるかできないかは、『少しばかりの叡智』と『大いなる勇気』と『断固たる愛国心』があればできます。残念ながら、今のB層化した政権では不可能かもしれませんが・・・。

偏差値教育で育った今のひ弱でマニュアル思考しかできないエリート官僚たち、二世、三世の世襲政治家どもや自分たちの損得ばかり考える愚かな経済財政諮問会議メンバーたちでは無理かもしれない(竹中平蔵氏をみればわかるだろう)。

そして最大の障害はUSAだと思う。日本は戦後から続くアメリカ支配から未だに脱け出せないでいる。アメリカの言いなり国家ですから、アメリカの脅しやイチャモンをつけられれば、びびる政権では無理かもしれません。脱米が必要である。

日本国債の場合は、ギリシャが持つユーロ債と違い対外債務ではないので上述の手段は可能なはずです、預金封鎖などの強権的手段に比べれば、極めて穏やか(苦笑)で安全、しかもあっけないくらい簡単ですね。一挙に全額消却しなくても、段階的に消化する方法だって考えられます。

 また、そんなことをやれば、「ハイパーインフレが起きる」と尤もらしく言う人が出るでしょう。私は南米の小国で、偶々合弁会社の役員の端くれをしているときにハイパーインフレを実体験しています。ハイパーインフレが起きる数年前から闇ドルが横行(前兆現象)していました。

日本の場合もいきなりハイパーインフレになることはありえない、まず円安が先行するはずです。今の円安の進行には注意深く見守って行く必要があります。この20年間に低所得化に追い込まれた若者や庶民には、円安による物価高は厳しい生活を強いられる。円安のメリットを生かす一方で、物価高を緩和する対策が必要です。

円安について、

円安・円高は為替の問題です。国際金融が異常に投機化、モンスター化しています。BIS(国際決済銀行)が3年毎に行う世界規模の外国為替市場調査によれば、1日当たりの取引高は、5.3兆ドル(1us100円として530兆円)以上のマネーが世界中を飛び交っている、実需はほんの数パーセントにも満たない。

一国の為替市場介入くらいでは動かないことは円高時代の日銀・財務省の為替介入はほとんど効を奏さなかったことで明らかであり、2012年安倍政権成立後は全く為替介入はしていないにもかかわらず、1usドル80円台から今日の120円付近までの円安が続いている。

相場を支配しているのは通貨マフィヤとその手先(ヘッジファンド)だと思うが間違っているだろうか。そもそも彼らに活躍の場を与えた「為替のプラザ合意」そのものが胡散臭い。

為替について述べればきりがないのでこの辺で終わりにしますが、資本主義は物を作って、もしくはサービス(労働)を提供して、それにいくばくかの利益を乗せて売るのが本来の姿である。

 金融資本主義とは、金で金を操るマネーゲームの世界である。何らの価値あるものも生み出していない。単なる「金のやりとりゲーム」が資本主義と言えるのだろうか。



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3 コメント

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日本は米国支配から逃れられる? (カラス)
2015-02-19 09:57:55
初めてお邪魔しました。
経済音痴の年金世代女性です。 拝読して、少し理解出来ましたが。。
長年の肌感覚としては、やはり日本は敗戦国、米国や世界の裏権力に翻弄され続けていて、今後も続く気がします。
あの悲惨な311の年でさえ…巨額な米国債権を買わされ…毎年、相も変わらず買わされ続けて搾り盗られています。
米国や闇の権力の支配から、日本はもはや逃れられない…調べ学べば学ぶほど不安と絶望観が募ります。
国民、特に女性が本気で学び、声を挙げて解決に向かえば…と、儚い希望を抱いてますが…。 もう遅い?
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米国から自立、独立が必要 (いかりや)
2015-02-19 16:57:40
カラスさん、コメントありがとう。

>米国や世界の裏権力に翻弄され続けていて、今後も続く気がします。
>あの悲惨な311の年でさえ・・・

同感です、本当になさけないですね。

>国民、特に女性が本気で学び、声を挙げて解決に向かえば…

日本の女性は、アメリカに対して全く何の疑問ももたずにアメリカに憧れている人が多い。

アメリカの日本支配の裏の顔にも目を向けてほしい。

日本はとにかく対米自立・独立が必要です。
返信する
2月21日午後6時葛飾区医師会館 感染免疫懇話会「自衛隊における医官の役割」 (通りがけ)
2015-02-20 05:32:10
第66回 感染・免疫懇話会 講演会

(2月21日)午後6時から 感染免疫懇話会「自衛隊における医官の役割」という講演会を行います。
何故、こういう講演会を企画したかは、
いわゆる311の東日本大震災の時、発災後、1週間で現地入りした時、
好き嫌いは別として、こういう大災害時には、自衛隊の医官のお世話にならざるを得ないところが多々あると痛感しました。
そのため、自衛隊における医官とは、どういうものかあらかじめ知っておく必要があると思いました。

遅刻早退歓迎!
(終わるのは10時くらいでしょうか?)
講師の加來先生は、先日、堂々183枚のスライドを送ってこられました。

入場無料
医療関係者でなくても、どなたで参加できます。

色々な職種、さまざまな立場の方の、多くの方のご参加をお待ちしています。

松永貞一 東京都葛飾区亀有3-43-5



第66回 感染・免疫懇話会 講演会



自衛隊における医官の役割



平成27年2月21日 土曜 

午後6時~10時

会場 葛飾区医師会館 3階 講堂

東京都葛飾区立石5-15-12 電話 3691-8536


皆様、新年おめでとうございます。今年の最初の感染免疫懇話会は、ちょっと趣向を変えて自衛隊で働いておられる医師のお話を伺うことにしました。事の起こりは、昨年エボラ熱の講演会を開催した時、今回の講師の本間先生もご参加下さり知己を得たことに始まります。エボラの講師の足立先生は、今年も1月3日よりまたシェラレオネに行かれるとメールをくださいました。あまり報道されてはいませんが、現地の現状はまだまだ予断をゆるさないようです。エボラのような感染症が自然発生的に、または人為的に、葛飾で、東京で、日本で発生し、流行した場合、好むと好まざるを得ず、組織的な大規模な対策が必須のものになると思われます。そうなったとき、一開業医は、何をするのか?何が出来るのか?何をしなくては
ならないのか?という質問に対して、まだ、十分な回答が提示され周知されているようには思えません。話は、変わりますが311の東日本大震災の時、被災後1週間で現地、石巻に入りましたが、そこで精力的な活動が目に付いたのは、医療関係では、ともに全国展開し、機動力と組織力のある自衛隊と石巻日赤病院でした。エボラのような感染症や東日本大震災のような大災害が、葛飾に降り懸からないという保証はありません。そうなった時、医療関係で自衛隊は大きな役割を担う主役の一人となると考えられます。そうなった時、慌てて自衛隊の医療における役割はどんな役割なんだっけ?と考えているうちに事態はどんどん進行します。あらかじめ自衛隊の医官の役割を知っておくという事は、非常に重要な事と考え、今 の講演会を企画しました。今回は、講演会の開催を土曜にし、開始も午後6時としましたので、開始時間がいつもより2時間早いことにご留意ください。その分、大学と現場から2名の講師をお招きして違った切り口からお話を伺い立体的に自衛隊医官のお仕事が理解できるようにしました(講演は本間先生⇒加來先生の順の予定)。今回も、講演会終了後、会費制の講師を囲んでの食事会を開催します。あまり人数が多くなると終止がつかなくなるので今回もメールで先着順で受け付けます(先着20名程度)。講演会自体は、無料です。医療関係者のみならず、真面目な関心をお持ちの方でしたらどなたでも参加できます。多くの方のご参加をお待ちしております。(文責 松永)         

 感染免疫懇話会 世話人:松永貞一 遠藤啓一郎 鈴木健一 松岡洋一郎 浅野正直 吉川昌一 鎌田裕十朗 曽我満 鈴木敏克自衛隊における医官の役割

平成27年2月21日 土曜 午後6時~10時会場 葛飾区医師会館 3階 講堂東京都葛飾区立石5-15-12 電話 3691-8536


大規模災害時の感染症対策支援~スマトラ津波災害の経験を東日本大震災に生かす~防衛医学研究センター 感染症疫学対策研究官 教授加來浩器

私は、2004年12月に発生したスマトラ島沖地震・津波災害に対して、国際緊急援助隊として活動した経験があります。当地では、破傷風、コレラ、赤痢、麻疹、マラリア、髄膜炎等の流行が懸念されたために、WHOが中心となったサーベイランスが行われました。協力団体から集められたデータは、週ごとの発生数とともに地理情報を公開するというものです。公衆衛生に係る情報が乏しいなか、唯一有用な情報であり各団体から高く評価されていました。しかしこれらのデータを解釈する際には、(1)医療チームの数や活動性の影響を受ける、(2)避難者の移住によって地域別発生状況が変化する、(3)住民はある程度症状が進展しないと受診しない傾向がある、(4)1人の患者が複数の施設を渡り歩くいわゆる“ドクターショッピング”の実態 がある、などを加味する必要があります。また、サーベイランス結果をアウトブレイクの早期発見に活用するのであれば、(1)診療実績の解析よりは避難所レベルでの健康状態の把握の方が直接的であり、(2)週報よりも日報にした方が良い。サーベイランスに従事するボアランティアの参画意欲を高めるためには、(1)サーベイランスデータの即時還元、(2)必要な時の迅速な介入が不可欠であるという教訓を得ました。そこで、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際には、この教訓を生かしたサーベイランスシステムを構築して、岩手県の感染症対策を支援することにしました。すなわち、比較的な大規模な避難所を定点観測地点として、日々の症候群の発生を調査するというもので、DSOD(Daily Surveillance for Outbreak Detecting)と名付けました。当時珍しかったタブレット端末をNTTドコモが無償で貸し出してくれ、それに患者数を入力するとそのデータが遠隔地である防衛医大で集計され、タブレット端末のGoogle map上に情報還元されるという仕組みです。集計の段階で異常の発生を認めた場合には、岩手医大の櫻井医師を中心とするいわて感染制御支援チーム(ICAT:Infection Control Assistant Team of Iwate)が現場に駆けつけます。まさに、サーベイランスと感染制御を一体としたITを駆使した産官学共同のシステムと言えます。本勉強会では、私が自衛隊医官として経験した活動を紹介しながら、大規模災害が発生した時の感染症リスクアセスメント、過去の事例、症状から疾病を推定する、サーベイランスの構築、訓練の実施などについてお話したいと思います。皆様のご参集をお待ちしております。☆自衛隊における医官の役割―生物剤テロ対策を中心として- 陸上自衛隊 対特殊武器衛生隊 第101対特殊武器治療隊長 2等陸佐本間健一 対特殊武器衛生隊は、自衛隊唯一の生物兵器/テロ対処部隊です。 近年、1994年松本、1995年東京地下鉄両サリン事件、2001年における米国同時多発テロや炭疽菌テロ事件といった核、生物剤、化学剤(NBC: Nuclear, Biological andChemical)等によるテロが新しい脅威となっています。また、まさしく現在進行形で、イスラム国を自称するテロ集団ISILによるテロ行為が連日報道されていることは皆様ご承知のことと思います。 このような情勢の中、対特殊武器衛生隊は自衛隊が生物剤の同定、生物剤感染患者の収容、治療に自己完結して対応するために、2008年に新編された新しい部隊です。所属する自衛隊員は、衛生科職種である医官、歯科医官、薬剤官、看護官、衛生官、准看護師、救急救命士、臨床検査技師、診療放射線技師等の技術陸曹、衛生救護員といった職種から構成され、一般の病院とほぼ同様になりますが、有事に備えて自衛官として日々訓練を続けています。 テロに関わらず、大規模災害発生時には情報の混乱、インフラの遮断が想定されます。民間医療・自衛隊衛生間の相互理解、密接な協力関係を構築しておくことで、より迅速、適切な医療支援が可能となることと思います。2020年には東京オリンピックが開催されます。東京都にとって世界中の注目を浴びる晴れ舞台である一方で、テロ対策の強化が必要です。 私たちのような部隊が、実際に活躍するような機会が生じることは好ましくありません。しかし、その存在を予め知って頂くことで、自衛隊における衛生科部隊の活動に興味を持っていただき、有事に備えるきっかけとなって頂ければ幸いです。そのため、今回は自衛隊における医官の役割という題名で、自衛隊衛生部隊の装備や活動もご紹介させていただければと考えています。よろしくお願いいたします。
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