昨日書いたマラッカ海峡における海賊対策訓練に関するエントリー『日本など3か国、マラッカ海峡で初の海賊対策合同訓練』の中で、やや誤解を招くような記述があったので補足しておきたい。
海賊を取り締まる管轄権がすべての国にあるというのは公海上での話である。この点、マラッカ海峡は幅が狭い上にインドネシアのような島嶼国もあり領海が重なり合っている海域である。したがって、この海域で海賊に管轄権を行使して捕まえるには、沿岸各国の了承が必要なのは、読者の方がコメントに寄せてくださったとおりである。
海自の艦船が派遣できないのが遺憾であると述べたのは、一つには、以前に沿岸各国の要請を断った経緯があることが念頭にある。今回は海上保安機関の合同訓練ろいうことで、今回自衛隊が参加することは想定できない。
海自の艦船を派遣するような訓練を実施することの意義は、海自自身の演習になること、沿岸各国の海軍との信頼関係を深めることである。実は、こうした軍事交流を深めることは重要なことである。
普遍管轄権を持ち出したのは、海賊が「人類の敵」と位置づけられており、国家間の武力紛争とはかけ離れたものであり、憲法9条で禁止される性格のものではないと主張したかったのである。ただ、現行のPKO活動におけるのと同様な武器使用規定(正当防衛・緊急避難に限る)では、制約が大きく現実問題として役に立たない。これは、新たに「安全保障基本法」で新しい解釈を定めるべき内容である。 また、海保ではなく自衛隊が出て行くことの必要性は、近年海賊の中にテロリストの性格を帯びたものが急増している点である。ただ、これは逆に自衛隊が今すぐ動く事はできないということに帰着する。海賊対策ですら海外派遣を禁止されているとするならば、武力行使に直面する可能性のより高いテロ対策となれば何をかいわんやということになる。要するに、きちんとした法整備が必要なのである。
なお、日本政府の取り組みとして「アジア海賊対策地域協力協定」の発効に伴って、シンガポールに設立された「情報共有センター」の初代事務局長に、伊藤嘉章・国連代表部公使を送り込んでいるほか、国内においても海保に「海賊対策室」を設置するなどの取り組みが見られる。海自の問題は長期的展望に立つべきだろうが、出来るところから着実に実行していくことが肝要である。その意味で、今回の三国の訓練は評価できる。
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海賊を取り締まる管轄権がすべての国にあるというのは公海上での話である。この点、マラッカ海峡は幅が狭い上にインドネシアのような島嶼国もあり領海が重なり合っている海域である。したがって、この海域で海賊に管轄権を行使して捕まえるには、沿岸各国の了承が必要なのは、読者の方がコメントに寄せてくださったとおりである。
海自の艦船が派遣できないのが遺憾であると述べたのは、一つには、以前に沿岸各国の要請を断った経緯があることが念頭にある。今回は海上保安機関の合同訓練ろいうことで、今回自衛隊が参加することは想定できない。
海自の艦船を派遣するような訓練を実施することの意義は、海自自身の演習になること、沿岸各国の海軍との信頼関係を深めることである。実は、こうした軍事交流を深めることは重要なことである。
普遍管轄権を持ち出したのは、海賊が「人類の敵」と位置づけられており、国家間の武力紛争とはかけ離れたものであり、憲法9条で禁止される性格のものではないと主張したかったのである。ただ、現行のPKO活動におけるのと同様な武器使用規定(正当防衛・緊急避難に限る)では、制約が大きく現実問題として役に立たない。これは、新たに「安全保障基本法」で新しい解釈を定めるべき内容である。 また、海保ではなく自衛隊が出て行くことの必要性は、近年海賊の中にテロリストの性格を帯びたものが急増している点である。ただ、これは逆に自衛隊が今すぐ動く事はできないということに帰着する。海賊対策ですら海外派遣を禁止されているとするならば、武力行使に直面する可能性のより高いテロ対策となれば何をかいわんやということになる。要するに、きちんとした法整備が必要なのである。
なお、日本政府の取り組みとして「アジア海賊対策地域協力協定」の発効に伴って、シンガポールに設立された「情報共有センター」の初代事務局長に、伊藤嘉章・国連代表部公使を送り込んでいるほか、国内においても海保に「海賊対策室」を設置するなどの取り組みが見られる。海自の問題は長期的展望に立つべきだろうが、出来るところから着実に実行していくことが肝要である。その意味で、今回の三国の訓練は評価できる。
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