私も、幼稚園に通っていた。
今思い返すと特別な通い方をした。
今なら、通園バスや親に付き添われての通園が普通だろうが、
私は電車で通った。
初めは親に付き添われて通える場所で暮らしていたが、間もなく親の都合でそうなった。
初めの日、親は降り口、待ち合わせ場所をしっかりと私の頭の中に刷り込んだ。
初めての日では無かったかもしれない。
一発でああは上手く行かないはずだ。
とにかく、幼稚園を終えて電車に乗って目的の駅で降りた。
幼稚園の先生に乗せてもらったかもしれない。
幼稚園じゃ一人で乗れないはずだ。
どうして目的の駅と分かったのだろう。
不思議でならない。
幼稚園の先生が駅員に、とにかくよろしくと丁寧に頼んでくれたかも知れない。
とにかく、降りた。
その駅は降り口2か所あって
母は間違いなく待っていてくれた。が、
私が間違えた。
母は私が間違えたことを確認した。
それからが大変だった。
駅を出て踏切を渡って反対側の入口まで
母は必死に走った。
私はと言えばどこに帰るのかも知らない。
駅で待ち合わせるそれだけが約束だったから。
でも、勝手に歩いた。どの辺で母と会ったのか覚えていない。
それで、私は今ちゃんとここにいる。
ほんとの母のところに。
その日は父親とどんな話になったんだろうか。