業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

自己負担の負担

2008年02月15日 | 業務日誌
ケアマネをやっておりますと、色んな方と一緒にお仕事しなきゃいけません。

ヘルパー事業所の管理者。
デイケア・デイサービスの相談員。
特養・老健のケアマネ。

これらの業種の方々とは、ケアマネ自身が各事業所に出向いてお会いすることがほとんどなのですが、私がこれからお話ししようとする方々は少し違います。
彼らは頻繁に居介にやってきて、50点の安さや100gの軽さを他社と競うために愛想を振りまきます。
レセの真っ最中にやってきて追い返され、叱られてもめげずに色とりどりの紙モノや名刺を惜しげもなく置いていきます。
そう、彼らの名は福祉用具コーディネーター
---------福祉用具事業所の相談員です。

佐藤ゆかりさん(仮名)は、福祉用具事業所ウェルケア(仮称)の新人相談員。
去年の秋頃からよくひがしケアプランに出入りするようになりました。
若くて笑顔が爽やかです。
重たい見本をいくつも抱えてやってきて、
「うちは歩行器に力を入れています!」
「是非うちの新製品をご利用者様に!」
と、懸命にアピールする姿が印象的でした。
そんな彼女の必死にほだされ、お仕事を任せてみようかなと思ったのは、ひがしケアプランの、否、アジアの星、のケアマネ・アイリン女史でした。

アイリン女史がお任せしたのは、ずっと以前から女史が担当していたナタリーさん(仮名・79歳女性/要介護1)。
心臓が悪く足腰も弱いナタリーさん、アイリンさんの説得で、このたび自宅トイレを和式から洋式に改修し、かつ補高便座を取り付けることにしたのです。
はじめてひがしケアプランからお仕事を任されて佐藤さんは張り切っていました。
「ナタリーさんの下肢筋力では、単に洋式にするだけでは不足だと思います。」
と、その場を仕切り始めました。
・補高便座ではなく昇降便座にすればより安全に移乗できる。
・洋式便器への取替えは住宅改修対象だが、昇降便座にすると福祉用具購入でいける。
・住宅改修のワクは残しておいて、購入ワクを使ったほうがのちのち安心である。
(昇降便座は用具購入費用で賄えば、住宅改修費は別の場所で使うことができる)
と、色々な案を提示してくれました。
とてもよく勉強している佐藤さんに利用者もアイリンさんも感心したそうです。
しかしアイリンさんには不安なことがありました。
そう-----------ナタリーさんはナマホだったんです。

アイリンさんは佐藤さんにお願いしました。
「住宅改修でも福祉用具購入でも、ナタリーさんにとって良い結果であればどちらでもいいけれど、ナタリーさんはナマホなので、現金での支払いが困難です。自己負担金が出ないようにして下さい。」
佐藤さんは承知しました----------確かに
「はい、わかりました!」
と言ったのです。

すみません、ハリケンは福祉用具や住宅改修に関しては不勉強なので、ここから先の記述は甚だ不安-----------間違っていたらご指摘下さい。
しかしとにかく、佐藤さんはナタリーさんのお宅に昇降便座を取り付け、快適なトイレが完成したんです。

ナタリーさんが半泣きでアイリンさんに電話してきたのはその工事の翌日でした。
「アイリンさん、あんたは『佐藤さんが、お金のかからないようにトイレを安全に改造してくれる』と言ったのに、今日あの人が○万円の請求書を持ってウチに来た!」

聡明なケアマネさんならもうおわかりでしょう。
そうです。
たとえどんなにその方にとって必要なものとはいえ、購入を認可したとはいえ、保護課が支払い不可とする部分があるのです。
それは取り付け工事費です。

佐藤さんは
「ナマホの人が自己負担をしないで済むようにする」
ことを、
代理受領でやる
ことと思い違いをしていたようです。
つまり、被保険者が工務店等の事業者に費用を支払った後に、市町村から被保険者へ費用の9割が支給される、いわゆる償還払いというヤツをなんとかすることだと思ったんでしょうね。
しかしアイリンさんは
「ナタリーさんは現金支払い能力がないので、購入でも改修でも、ナタリーさんが負担しなくてはならない部分が出ないようにやってほしい」
とお願いしたんでした。

そこから先は----------そう、大変なことになりました。
佐藤さんは勝手に動いて、ナタリーさんに工事費の負担を了解させようとし、アイリンさんは
「約束が違う!」
と激怒。
しまいには佐藤さん、自分が責任を取ると言い、ナタリーさんが負担すべき工事費ぶんを購入費に上乗せ(水増し請求)して自己負担ぶんをカバーしようとしました。
そればかりかその水増し金額の記載してある書類にケアマネの再署名を求めたもんですから、アイリンさんは怒って憤死寸前に。
とうとう佐藤さんに
「あなたがその○万円を払いなさい!」
と言い、最終的には佐藤さんの上司が出てきてそりゃもう大騒ぎでした。



正直言って、ハリケンには、この事件のヨシアシの判断がつきません。
ナマホのこと、改修のこと、購入のこと、諸手続きのこと、自分がそれらすべてに精通しているとはとても言えないし、また多くのケアマネさんも似たり寄ったりだと思ってましたのでそれについて危機感もありませんでした。
ま、ケアマネと業者のコミュニケーションつか打ち合わせ不足だろと言ってしまえばそれで終了って気もしますけどさ。
しかし、さすがに佐藤さんの「責任の取り方」は不適切だと思ったので
「それは『責任を取る』ではなくて『ごまかす』では?」
と思わず言ってアイリンさんを煽ってしまいました。
もし私が佐藤さんなら、アイリンさんの言うように○万円自分で払っていたと思います。
うーん、うーん、それで解決するとも思えませんけどね。

皆さんならどうします?







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2 コメント

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Unknown (風来坊)
2008-02-16 22:49:25
初コメです

ダークでグレーな部分が多いのでかなり神経使うケースですね。
福祉用具相談員の知識は勉強すればなんとかなりますが、ナマホの事情がよくわかっていない人だとトラブルです。
お金の支払いだけではすまない問題に発展しなければよいのですが
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結果 (ハリケン)
2008-02-18 19:00:54
風来坊さん♪初コメありがとうございます。
この相談員+事業所、結局水増し請求はやめ、
利用者さんが支払うべき取り付け工事費(自己負担)を
分割にするなどの負担を軽くする方向に。
「利用者の負担は一円もありません」
と言い切ったそのクチで
「どうかこれだけはお願いします」
ですから、そこらの悪徳業者とどう違うのよってカンジです。
無知は罪、ということがよくわかり、私たちも勉強になりました。
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