Takekida's log

千里の道も一歩から

教育「機会」の格差論

2021-06-19 22:03:02 | Books
 教育格差 ──階層・地域・学歴 松岡亮二  (著) 
世代で受け継がれる教育格差をデータから明らかにした本。差分を生じる指標としては地域や親の学歴でそれらによって大きな階層が出来上がっていてそれらの変曲点は小学校入学前にほぼ決定されてしまっていることが統計的データから示されています。もちろん日本は中学校までは義務教育で高校から学力の階層別区分がつくわけなので中学校までの学習内容は公立ではほぼ同じと言えどもすでに小学校に入る前に特に大きな区分として親の学歴を基に決定されてしまっているというのが示されています。教育機会平等を前提として考えている人に対してはある意味衝撃(うすうすは分かっていながらですが)です。 これらの差は小学校、中学校まで埋められない溝として解消されず(かといって差が開くわけでない)そのまま高校での学校別の選別を迎えることになり、これらの差が入学する大学or進学可否に大きな影響を及ぼします。
 教育さえ平等にすれば階級を移動することは可能とは思いますし、日本は比較的そういった機会自体は与えられているとは思うのですがそもそものベースが異なるので階層の差分というのはあまり移動はできないようです。たまに階層を移動することはあるのですがそういった人はそもそものレベルが高い(親の学歴や教育履歴など)こともあり単に通るべき道に戻しただけというのが大多数なようです。
 地域に関しても指導要領をベースに同じ教育内容を教えているはずの公立校でも前述の学力差が生まれの格差として存在しているので
 これらの教育格差は小学校までの教育で差が付き始めているとのことで本格的改修には未就学の時点まで遡る必要があるのでしょうがどこまで関与すべき?というのは家庭ごとで考え方が違うのでそう簡単なことではなさそうです。筆者としてはまず効果が測定可能な指標を過去にさかのぼって効果検証できるように構築すること、教育格差の現状を教師含めて認識させておくことをベースに「介入」の効果が明確なメトリックをもとに検証できるようにしたいとのことを主張しています。
 具体的な対策や方向性に関しては色々な意見はあるでしょうが未就学の子供に対して集中的に「介入」してそれ自体が効果として意味のあるものになるのか?さらなる付帯条件が必要か?を検証していくのが重要なのかとは思います。コロナの影響でますます公立と私立の取り組み方の違いというのがCloseUpされている面がありますがある程度は仕方ないのかもしれないのですがBottomUpを図るのであれば幼少期に介入すべきであるというのは間違いなさそうです。ただ少子化も相まってお金があれば教育はさらに受けさせるというのは間違いない構図なのでどこまで解消できるのかそしてどこまで介入するのが公平なのかという問題もはらんでます。 個人的にはこういった事実を知ってしまった以上、少しでも良い属性の学校に通わせたいというのが親心ですが本人の素養や集団での相対的位置というのにも影響はされるのでそう簡単でもないのでしょう。正直言って自分もどういう道が良かったのかなんて断言することはできないわけで…今後の参考にしたいと思います。
 

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