学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

関容子著『日本の鶯』

2011-04-20 22:35:51 | 仕事
鶯が鳴く時節柄。ちょうど書店に行きましたら、『日本の鶯』なる本が売っていましたので買ってきました。『日本の鶯』というと鳥の図鑑でも想像されるかもしれませんが、「日本の鶯」とはフランス文学者で詩人の堀口大学のこと。彼はフランスの画家マリー・ローランサンに「日本の鶯」と呼ばれたんですね。それが由来となって、本のタイトルになったのです。

本は著者の関容子氏が晩年の堀口大学へインタビューした内容。聞書きです。全部で15章から成り立っています。初めのほうはぎこちない感じのインタビュー。それがどんどん勢いに乗って、堀口大学は雄弁に語りだします。父と母、師である与謝野寛(鉄幹)、晶子夫妻、永井荷風、親友の佐藤春夫、装丁を手がけた銅板画家長谷川潔、そしてマリー・ローランサン。様々な人物たちが登場します。そして甘い恋について、関氏の鋭い突っ込みをうまくかわす堀口先生もお見事(笑)文中には堀口大学が「日本の鶯」の詩の訳を変更する場面があって、それがすごくお見事。詩に関心がある方や気になる方はぜひ一読してみてください。堀口訳のフランス文学を読みたくなること間違いなしです。

●関容子著『日本の鶯 堀口大学聞書き』岩波現代文庫 2010年


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