学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

宇都宮美術館「大原美術館名品展」

2010-02-21 20:59:10 | 展覧会感想
今日はとても心地よい天気でした。暖かな陽気に気分も良く、久しぶりに羽を伸ばして栃木県の宇都宮市にある宇都宮美術館で「大原美術館名品展-モネ、マティスから濱田庄司まで-」を見てきました。

大原美術館は、いわずもがな岡山県倉敷市にある美術館です。私は数年前、倉敷旅行へ出かけた時に館を訪れました。所蔵作品だけでなく、建物それ自体からも香る美の雰囲気は忘れられません。そんな個人的な思い出も重なって、展覧会を見てきたのです。

展示の順番は、まずはフランスを中心とした近代絵画から。シスレー、ピサロ、モネ…と続いて、次に日本の近代美術。この展示の仕方によって、日本人がヨーロッパの油絵をどのように消化しようとしたのか、ヨーロッパと日本の油絵を比較して楽しむことができます。そして民藝。河井寛治郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、芹沢介、棟方志功が並びます。(芹沢介《団扇散らし模様屏風》、江戸以前まで扇を散らしたテーマはありますが、そこを団扇で散らしたのは新しくて面白い発想だなあと思いました)この他にも現代美術の作品が紹介されています。

今日は1点1点、作品を丁寧に見ながら楽しみましたが、帰宅してからもう1つの見方があったなあと。大原美術館の初期コレクションは、児島虎次郎という画家のフィルターを通して蒐集されました(もちろん全てではありません)と、すればコレクションには児島の個人的な嗜好が表れるはず。大原コレクションを通して、一人間の好みといったものを考えてみる、そうした見方も面白いですよね。またもし行く機会があれば、そうしたことを頭の中に置いて、見てみたいものと思いました。
コメント
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