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学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

展覧会の予習として

2018-03-11 22:18:46 | 読書感想
現在、国立新美術館で「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」展が開催されています。近々、観に出掛ける予定なのですが、印象派あるいは後期印象派の作品を観るのは久しぶりなので、予習をしているところです。

テキストとして使っているのが、高階秀爾さんの『近代絵画史』上下(中公新書、1975年)です。小説家の丸谷才一さんが『思考のレッスン』(文春文庫、2002年)のなかで「偉い学者の書いた薄い本を読め」と書いていますが、『近代絵画史』はまさにそうした本です。

本書では、時系列で美術の潮流がどのような背景の元に生まれてきたのか、そして、その背景の中でどのように作家が創作活動を展開していったのかをわかるやすく紹介しています。(古い既成概念を壊して新しいものを作り上げていく、という美術の流れが、世代を変えながらも脈々と続いていることに気づかされます)150年に及ぶ美術の通史を書くためには、ましてや日本と文化の違う西洋美術を書くには広く深い知識が必要あり、高階さんの著作を読むたびに私はいつも圧倒されるのです。深くてわかりやすい、という点では『名画を見る眼』(岩波新書、1969年)も外せないですね。

昔の新書の性質上、作品の図版が不足していますが、最近同書は改版されて図版をたっぷりと盛り込んだものが出版されたようです。暖かくなり、美術館へも行きやすい季節となりました。同書をテキストに美術館巡りをすれば、きっと倍楽しめること間違いなし!
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