学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

芥川龍之介の俳句

2011-07-25 20:02:17 | 読書感想
昨夜はぐっすり寝ていたところを、2度の地震でたたき起こされ、朝は睡眠不足。大型台風がようやく去ったと思ったら、最近になってまた大きな地震が多くなり、天災は緩むことなし。何事もない平和な時間が、どれだけ貴重なものであるのかを考えさせられます。

昨日7月24日は、アナログ放送終了の日。私はテレビを見ないので、特にどうということもなし。私にはラジオがあれば十分なのです。

そうして、同日は小説家芥川龍之介の命日でもある。1927年(昭和2年)、とかく蒸し暑い夏の出来事だったそうです。享年35歳。若いですね…。

近年、芥川の俳句が注目されているようです。すすめられて読んで見ると、なかなかに素敵です。

この夏、口に出して読んで見たい芥川の俳句。

●湯上りの庭下駄軽し夏の月
 一日の汗を流して、夕涼みといったところでしょうか。
 月明かりに照らされ、うちわを片手に月を見やる芥川が見えるようです。

●花火やんで細腰二人楼を下る
 細腰、ですから女性二人なんでしょう。
 花火を見ながら、二人でどんな話を語り合ったのか。
 朝の連続テレビ小説のワンシーンにでも出てきそうですね(笑)

●夏山に虹立ち消ゆる別れかな
 一雨降って、夏山に虹がかかったのかもしれません。
 「消ゆる別れ」なので、寂しい感じもしないでもありませんが、
 また虹が出てきて欲しいと願う気持ちがほうが勝っているように感じられます。


オススメの夏の3句を挙げてみました。ただの季節の描写ではなくて、色々な想像が膨らむような俳句です。この俳句を取っ掛かりに短編小説にでも書けそうなほど。芥川が亡くなってから、今年で84年目の夏。84年の歳月は早いのか、遅いのか。


●『芥川竜之介俳句集』加藤郁乎編 岩波文庫 2010年