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学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

中学生の職場体験

2021-02-26 19:37:06 | 仕事
私が勤める美術館では、毎年地元の中学生の職場体験を受け入れています。美術館での仕事にあこがれる中学生は多いらしく、毎年10名程度の参加申し込みがあります。

昨年はコロナ禍のため、残念ながら職場体験のすべては中止になってしまいましたが、その代わりに手紙や電話などで中学生とやり取りをし、学芸員という仕事について、書いたり、お話しをしました。思い返してみれば、私が中学生のころには、まず職場体験がありませんでしたし、そもそも地元に美術館もなかったので、学芸員の生の声を聴く機会がほとんどありませんでした。ですから、学芸員の仕事は展覧会を立ち上げること、のイメージがとても強く、ほかにどんな仕事をしているのか、具体的にわからなかった覚えがあります。ですから、今の中学生がうらやましいですね。

中学生の質問で特に多いのが、どんなときにやりがいを感じるのか、というものです。私の場合は、人から感謝されたとき。関係者やお客様から、展覧会がとても良かったとか、また美術館に足を運びたい、と言っていただけると、とてもやりがいを感じますし、エネルギーが湧いてきます。学芸員の仕事は、自己表現でもなく、自己満足でもなく、美術を通して社会のために力を尽くすこと、と私は思っています。

美術館での職場体験を通して、将来学芸員や作家にならなくとも、ずっと美術が好きな人でいて欲しいな、と願っています。
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詰め込みすぎ

2021-02-25 20:33:07 | 仕事
先日、仕事をしていたら、急に頭がくらくらしてきて、びっくりしてしまいました。休憩をとって、すぐに回復したのですが、それもそのはず。やらなくてはいけない仕事が山のほどあって、おそらく私の頭のなかで自動防御装置みたいなものが働いて、体を守るために反応を起こしたのでしょう。

自分の頭の中を整理しなくては、と、いらない紙に仕事の内容を書き出したら、あるわあるわ。展覧会に関係する仕事が4本、美術館の施設に関する仕事が8本、会議資料の作成や寄付作品の受け入れなどが3本…これは誰だってくらくらするわけです(笑)どう考えても、この仕事量はおかしい。おかしいが、ほかにやれる人がいない。だから、私がやっている。というわけで、悪循環に入っています。こういうときは、深刻に考えるよりも、笑いながらやるぐらいの気構えでいったほうがいいかもしれませんね。

私の場合、こういうときのストレス解消は、他所の美術館の展覧会を見に行って、リフレッシュすることなのですが、コロナ禍の折、それがなかなかゆけないのがつらい。さりとて美術系の本を読むと、さらに絵を見に行きたくなる欲求が高まって、よけいにつらい(笑)こまったものです。

自分の仕事の多さに対して、感情的になるのではなく、まずは冷静になって、どのように解消していくかを考えていくのも社会人として必要なこと。ただ、それにしても、本来の学芸員の仕事とは関係のない仕事が最近は多すぎるなあと、どうも解せない私なのでした。
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解説をコツコツと

2021-01-26 21:19:33 | 仕事
今日は晴れたり、曇ったりの1日。昼休み、外を歩いていたら、シジュウカラが元気に鳴いているのを見かけました。このあいだのジョウビタキといい、だんだん色々な鳥たちが見られるようになり、うれしい限りです。

この頃は、新しい企画展に向けての解説をコツコツと書いています。私の場合、少し長めに文章を書き、そこから無駄な部分をそいでいくやり方で進めていきます。お客様にわかりやすく、簡潔に、がポイント。それと文章のなかにハッとさせる一言をさりげなく入れるのが私のやり方です。また、作品について書きたいことはたくさんあるけれど、あくまで美術館の主役は作品ですから、ほどほどに抑えるようにしています。考えるときは手書きだったり、パソコンだったり、それはそのときの気分にまかせる。あまり自分にがちがちのルールを科してしまうと、文章が書きにくいことがあり、その辺りはルーズにしています。今日で10項目ほどの解説が書き終わりました。あと、もう10項目程度を書く予定です。仕事柄、文章を書くのが楽しくてたまらないので、あと半分というのが少し寂しくもあり。

日も少しずつ長くなり、春が近づいているのを実感しています。今の季節を楽しみつつ、ゆっくりと春の到来を待ちたいものですね!
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いよいよ仕事始めです

2021-01-04 19:48:25 | 仕事
今日からいよいよ仕事始めです。いつもよりも30分、早めに起き、ご飯を食べ、着替えを済ませて、職場へ出発しました。起きたときには曇りでしたが、次第に晴れてきて、仕事始めには良い日和となりました。

まずはメールのチェックを済ませ、昨日予定していた仕事に取り掛かります。事務室がすっかり冷え切っているのと、久しぶりにパソコンを使うせいで、なかなか指が動かないのに戸惑いましたが、次第に慣れてきて、あとはさくさくと打てるようになりました。昨日立てた予定通りに進み、今日の仕事は無事に終わりです。1年間、順調に仕事がこなせますように!

家に帰ってからは、部屋の掃除と晩御飯作り、寒中見舞いを書き、そして合い間にストレッチと読書。少しずつ、私のなかで日常が戻ってきた感じがします。まずは1週間、年末年始でなまった体を仕事に慣れさせながら、しっかり取り組んでいきたいと思います。
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年内最後の仕事を終えて

2020-12-27 22:06:51 | 仕事
今日もすっきりとした青空の1日でした。冬の空気はとても澄んで、遠くの雪をかぶった山々がいつもより美しく見えます。今年も寒い時期ならではの光景が見られて嬉しくなりました。

今日の美術館は、年内最後の営業日でした。お客様もいつもよりは少しだけ多め。年末の忙しい時期に美術館へ足を運んでくださるのですから、ありがたいことです。私の仕事も予定通り進み、最後は机の上や中の整理をして、すっきりさせて終わりました。色々なことがあり、長く感じた1年でしたが、無事にこの日を迎えることができて良かったです。

家に帰ってからは鍋料理で体を温めたあと、部屋の掃除を開始。このところ掃除をさぼっていたので、床のフローリングやシンク、トイレなどを中心に掃除しました。部屋が片付くと気持ちが良いものです。明日から年末年始のお休みが始まります。寝正月にならないよう、休み中もしっかり計画を立てて過ごしたいと思っています。
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そろそろ御用納めです

2020-12-26 17:56:10 | 仕事
今日は一面の青空となりました。仕事前に2キロほどウォーキングをしてから出勤。体がぽかぽかすると、冬の冷気が気持ちいいですね。

美術館は明日で御用納めです。年内の仕事はほとんど片付いたので、あとは来年のスタートダッシュに向けて、段取りを考え、必要な準備をして終わりました。今年も色々なことがありましたが、美術館の事業が制限された分、自分の仕事に対して、きちんと時間をとって向き合うことができたのは良かったことだったのかもしれません。

私が美術館の学芸員になり、数十年が経ちます。自分の好きな仕事であるのは間違いないのですが、その仕事がどれだけ社会の役に立っているのか、そもそも自分はこの仕事に向いているのかわからない、と考えることが今まで多々ありました。けれど、昨年、そして今年と、とてもありがたいことに、様々な方から感謝の言葉を頂くことが増えました。あなたはこの仕事に向いている、と周りから評価されたような気がして、これまでの迷いのようなものが心から消えてきているのを実感しています。心から感謝をしたい1年となりました。

明日は年内最後の仕事です。この仕事ができることに感謝の気持ちを込めながら、最後まで気を抜くことなく、取り組んできたいと思います。
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収蔵庫の問題

2020-12-23 21:41:29 | 仕事
この数日、収蔵庫の掃除をしています。ここは関係者しか入れないうえ、密閉された空間なので、それほど汚れることはありませんが、美術館にとっての心臓部ですので、きれいに整えてきました。

収蔵庫といえば、このところの悩みはそのスペース。年々増え続ける作品と資料で、収蔵庫はほぼ満杯の状態です。それは私が勤める美術館の問題だけではなくて、どの美術館も同じ悩みを抱えてるよう。問題を解決する方法は2つ。収蔵庫を増築するか、コレクションの一部を手放すこと。けれど、増築には大きな予算がかかるし、コレクションの一部を手放すことは現実的ではなし。

美術館ではありませんが、博物館によっては、廃校を仮の作品や資料の置き場として利用しているところもあるようです。確かに発掘された埋蔵品や、地域から収集した民俗資料は収蔵庫のスペースを取りそうですし、余程の貴重な資料でなければ、苦肉の策でそういう選択肢もあるのかもしれません。もちろん、担当の学芸員にとっては本意ではありませんが…。

各美術館によって置かれている状況は違いますから、答えがひとつというよりは、その美術館や地域に応じた管理の仕方を検討することになりそうです。1年間の感謝を込めて収蔵庫の掃除をしながら、今後の行く末が頭のなかをよぎった1日でした。
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モチベーションを高める

2020-12-05 19:41:01 | 仕事
今年のブログで、私はモチベーションに左右されないとか、ビジネス書は読まないとか、いろいろなことを書いていたのだけれど、困ったことに、この頃は仕事に対してどうも力が出なくて、ほとほと困り果てていました。秋の忙しい仕事が終わって、心身ともにクールダウンしているのかもしれません。

ただ、あまりにも力が出ないのは考えもの。そこで、以前自分が考えていたことをいったん否定して、モチベーションを上げるために次のことを自分なりに考えてやってみることにしました。

1.ビジネス書を読む
2.成功を想像する
3.ロールモデルの真似をする
4.どんな仕事にも目標を掲げる
5.人から感謝されるような仕事をする

2、3日前からこの方法を試しているのですが、今のところ中々いい具合です。特にビジネス書を読むことは効果あり。以前、私自身が否定していたことに助けられているのだから、私という人間もずいぶんいい加減なものです。壁に当たったら、その都度、自分を変化させてゆく。そういう姿勢が、世を生きる上で大切なことなのかも…と自分を肯定してみる次第です。
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ジャンルを飛び越えて

2020-12-04 21:54:03 | 仕事
先日、他の学芸員の方と話す機会があって、そこで出たお話し。それは、学問が細分化されすぎていて、全体の流れを知る人が少なくなったというところから始まりました。

その学芸員の方が曰く、いわゆる「郷土史家」という人たちが、地域にほとんどいなくなったそう。かつて、考古、歴史資料、民俗、美術など、分野にこだわらず、地域のありとあらゆることを勉強している人たちがいて、その地域のあることを知りたいと思ったら、その人に聞けば何でも分かった。でも、今は各分野ごとに強い人がいるけれども、全体を通して見られる人がめっきり減ったと。つまり、これは私たち学芸員にもいえることで、みんな各専門分野を持っていて、その分野にはめっぽう強いけれども、それからはみ出すと弱い。我々は狭いところをうろうろするのではなくて、もっとその分野の全体的なことを考える必要があるし、他分野と合同で仕事をしてもいいのではないか!という熱い話になりました。

私は、かつて丸谷才一さんが『思考のレッスン』のなかで、自分の専門分野をホームグランドにして、どんどん別のジャンルで勝負をすればいい、と述べていたことを思い出していました。この言葉を知っていたせいか、私はあまり専門分野にこだわらず、どんどん別のジャンル飛び出していくほう。でも、それはあまりいいことではないのかな、と内心思っていたのですが、同じように考えている方と話ができて、少し自信が持てました。

自分の人生は一度きり。いろいろなことを学びたい欲求は抑えられません。これからも、ジャンルを飛び越え、仕事を通して様々なことを学び続けたいと思っています。

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百人一首の音読

2020-12-01 20:38:13 | 仕事
このごろ、起きてから出勤するまでの短い時間で、百人一首を音読しています。何も大会に出るわけではありません。のちに開催を予定している展覧会の勉強の一環で始めたのです。

最初はただ文字を目でなぞるだけだったのですが、どうも頭に入ってこない。そこで思い切って音読してみたところ、自分の声が音となって耳に入るせいなのか、頭に和歌の情景が浮かぶようになってきて、しっくり来ています。そういえば、以前、萩原朔太郎の詩を毎朝音読していたこともありましたが、同じような感覚でした。音読は記憶を定着させるのにいい方法なのかもしれません。

勉強の一環で始めたものの、自分なりに好きな和歌というものがでてきます。私が最も好きなのは次の和歌です。

天津風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

僧正遍昭が詠んだ和歌ですが、「雲の通ひ路」という言葉の表現方法が素晴らしくて、感激しています。言葉を上手に使うことで、私たちのイメージは大きく膨らむわけですね。言葉の不思議さ、面白さ、素晴らしさに改めて感じ入っている今日この頃です。
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