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細越麟太郎 MOVIE DIARY



9月13日(水)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-105『静かなふたり』" Droles d' oiseaux ( Strange Birds )(2017) Kino Electron / Reborn Production , Mikino. Strange Birds 仏

監督・脚本・エリーズ・ジラール 主演・ロリータ・シャマ、ジャン・ソレル <70分・ビスタサイズ> 配給・コピアポア・フィルム

実に、久しぶりにしっとりとしたフランス映画らしい作品で、パリのカルチェラタンにある時代色の濃い実在の古本屋を舞台に、そこの初老のおやじと、そこに来た娘の枯れたような視線。

とくに、ラブシーンというほどのものもないので、ラブストーリーでもなく、あのミシェル・セロー主演の名作「とまどい」を、チラリと思い出させるようなジジイと田舎娘の、ま、恋とはいえない奇妙な時間だ。

ゲイリー・クーパーの晩年の秀作「秘めたる情事」のような年齢差の男女の、枯れたラブストーリーとも言えようが、だが、それにしてもとくにラブシーンもなく、実に淡々とした時間スケッチがいい。

というのも、遂に高齢者になった、あの名作「昼顔」の美男ジャン・ソレルが、まったく客の来ないような古書店のオーナーをしていて、この店のカウンターにいるものの、何者なのかが後半にちらつく。

終日、とくに客の来る様子もなく、2階の部屋に間借りをしだしたロリータは、その代わりに店番をすることになったが、店主は外出がちだが、とくに金に困っている様子もない。

ある日、店主を尋ねて来た老人は店内で倒れたので、彼女は病院の救急車を呼ぶのだが、そのトラブルをきっかけに、留守がちでナゾめいた店主の正体が少しずつ見えて来る。

とはいって、何も確たる事件もなく、まさにあの秀作「とまどい」で、アパートの蔵書を処分しようとしたときに、ナゾめいた初老の紳士が現れたように、この作品にもヘンな男が現れる。

古い新聞のスクラップから、もうすぐに時効を迎える、あの70年代だったかにイタリアで起こった<赤い旅団>のメンバーだったのが、どうやら店主らしく、それで頻繁に行方不明になるのだ。

という臭いを、かすかに感じさせ乍らも、この70分という、珍しく短い異色作は、これまた唐突に終ってしまうのだが、しかし非常に香りのある余韻を残した異色作でもある。

謎めいたヒロインを演じるロリータは、何と名女優のイザベル・ユペールの娘ということで、さすがに沈黙の多い<間>の演技は、名女優の卵らしい不思議な浮遊した存在感。

最近見た新作で、いちばん奇妙な、しかし、実にいい余韻と、多くのナゾを持った香りのあるフランス映画として、これだけヘンなドラマというのも、実に目が離せないのだ。

 

■セカンド頭上に上がった高いフライだが、野手が見失い、その間にツーベース。 ★★★☆☆☆

●10月14日より、新宿武蔵野館でロードショー 



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