細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『アウトレイジ・最終章』でついにタケシさんも自弾で決着をつける。

2017年09月19日 | Weblog

9月11日(月)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-104『アウトレイジ・最終章』"Outrage/Coda " (2017) warner brothers / office kitano, bandai visual / touhoku sinsya

監督・脚本・編集・主演・北野 武 西田敏行 <104分・シネマスコープ> 配給・ワーナー・ブラザース映画

2010年に公開された「アウトレイジ」第一作の後、2012年にも「アウトレイジ・ビヨンド」が公開されたが、そのシリーズの「最終章」という三部作のラストが、これ。

ま、昭和の東映やくざ映画の時代には、花田秀次郎の、あの健さんもいた風格から、一応は<義理と人情>という美学によって、裏社会の暴力沙汰も、ある種の美学があったものだった。

しかしこの平成の北野武流の暴力団映画シリーズには、そんな<きれいごと>は通用せずに、裏社会に暗躍する組織暴力団の確執は、昭和の男の美学なんか、知らネーーよ、という世界。

たしかに東映のやくざ映画も、昭和の末期には深作欣ニ監督の暴力美学「仁義なき戦い」のシリーズで、すっかり義理や人情には縁遠いドンパチの派手な暴力オペラになってしまった。

あの後から、この北野武流の暴力団映画も、秀作「HANA-BI」のときのような、感傷も美学もなくなり、ただひたすらに立腹した男たちが、やたらと殺し合うのだから、もう、感情移入などは論外。

今回は元大友組の組長のビートたけしが、韓国の済州島に潜伏しているという設定から、関東と関西の二大地下勢力が動き出す、という一応は目先の違った導入でスタートする。

が、またしても関東山王会と関西花菱会が、元の大友組長の動向でドンパチのやくざ戦争が始まるという仕掛けで、花菱会の西田敏行が、ブチ切れの悪党芝居でツバを飛ばすのが笑える。

前作の「ビヨンド」でも、かなりの悪党ぶりを見せた西田だが、つい最近、「ナミヤ雑貨店の奇跡」で温厚な老人を演じていたので、その驚愕のギャップがいちばんに面白い。

とにかく、女性のひとりも出ない、全員が中年オヤジ悪党どもという異様な臭気の怒鳴り合いドラマなので、もう30分もすると、だれか・・・冷静なひとはいないのかね、と心配になる。

しかし映画は北野ブランドの全員悪党のハイテンション・ムービーなので、せっかくラストで武サンが自殺するシーンも呆気なくて、ま、とにかく、お疲れさんの、大罵倒映画なのだ。

 

■レフトの後方にゴロで抜ける巧打だが、返球でセカンド封殺。 ★★★

●10月7日より、109シネマズなど全国ロードショー 

  

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