細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『楽園からの旅人』の意外に重いテーマ。

2013年06月27日 | Weblog

●6月26日(水)13−00 六本木<シネマートB1試写室>
M−075『楽園からの旅人』Il Villaggio di Cartone (2011) cinemaundici e Rai Cinema / 伊
監督/エルマンノ・オルミ 主演/マイケル・ロンズデール <87分>配給/アルシネテラン ★★★☆☆
あの「木靴の樹」の名匠の新作は、まるで舞台劇だ。
タイトルから勝手に心休まる老境が見れるかと期待したが、まったく意表をついた社会的なメッセージが込められていた。
「楽園」というのは、未開のアフリカ大陸のことで、「旅人」というのは密入国者たち。
イタリアの街にあるカソリック教会が、老朽化と神父の高齢と信者離れで閉鎖された。
その廃墟に、アフリカからの密入国者たちが入り込み、一時的だが避難生活をはじめた。
老神父は神の使者なのだから、彼らを救うべきなのか。というのがテーマ。
多くの迫害を受けて、身の危険に曝されながら、密入国者たちは脱出か自爆を迫られている。
ま、社会的には、ヨーロッパ、アメリカ、ロシアなどの大国が抱えた重大な社会問題だ。
そこを、オルミ監督はシンプルな舞台劇として描いて見せた。しかしテーマに対しては重いメッセージもある。
ローマ時代から、とくにイタリアの抱えた問題を、老神父のマイケルは枯れた演技を見せる。
孤高の老監督の、未だ衰えぬ創作意欲と、メッセージの語気には矍鑠とした強さは感じられる。
しかし、映画のスタイルとしては、どうも、お疲れさん、であった。

■サードのライン上にぬけるゴロで、バックハンドの野手の送球がズレた。
●8月17日より、岩波ホールでロードショー


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