細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ザ・コール/緊急通報指令室』さすがオスカー女優の適切な通話指示。

2013年10月29日 | Weblog

10月24日(木)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-136『ザ・コール/緊急通報司令室』The Call (2013) troika pictures / wwe studios / amasia entertainment

監督・ブラッド・アンダースン 主演・ハル・ベリー <94分> 提供・カルチャー・パブリシャーズ ★★★☆

わが国では(110番)にあたる緊急電話の総合司令室。このロサンゼルスでは全米でも犯罪多発都市なので、電話は鳴りっぱなし。

テレビのシリーズ番組のパイロット・ムービーみたいなテーマのものだが、無視できない理由が当然ある。

監督は「マシニスト」や「リセット」など、サスペンス・スリラー専門で、光る演出が印象的な奇才だが、主演がオスカー女優だ。

このところ連続して、スーザン・サランドン、ダイアン・キートン、ヘレン・ハント、サンドラ・ブロックなどの受賞女優の新作が目白押し。

確率がいいのは当然で、彼女らには普通の俳優では演じきれないような難しい演技が要求されるシナリオがオファーされる。

そして、彼女らはその魅力的な役回りに挑戦するわけだから、フツーの映画よりは面白い。それを大女優らは実証する指名があるのだ。

このハルの役は、数十人いる担当司令室の電話番で、たまたま受けたのが、誘拐犯に車の後部トランクに押し込まれた少女からの携帯電話。

どこを走っているのかも判らないから、パトカーへの通報が出来ない。さあどうするハル・ベリー。これがこの映画の面白さだ。

まずは被害少女に精神を安定させ、後部のテイルランプを壊して、そこから衣類の切れ端を出して、他の車の連絡を待つのだ。

それからの展開は、この映画がサスペンス・スリラーなので書くのは失礼になる。とにかくパトカーの発見がなくては緊急指令も出せないのだ。

一本の携帯電話からの通報で、その場所と状況と犯罪の目的を察知して、走行中の捜査官に通報する。これが名女優の達者な早口で迫力がでるのだ。

ま、多くの誘拐犯罪が迷宮になり、「the ice man/氷の処刑人」や「フローズン・グラウンド」などのように、このテの犯罪映画は非常に多い。

しかし、この作品の魅力は、女優の話術だけで迫力はある。映画というのは、話だけで想像できないというリスクでも、充分に迫力は生まれるもの。つまり、見ている我々も、試写室という密室の中なので、想像するしかないのだ。いいアイデアだ。が、ただしラストで、ご本人が犯人と直接対決するというのは、ちょっと無理があった。

 

■左中間のヒットだが、セカンドを欲張ってタッチアウト。

●11月30日より、ヒューマントラストシネマ渋谷などでロードショー 


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