暗く無残なブルースが、俺の身体を駆け巡る、暗くてむごくて無残なブルース、そいつが俺を作ってる
明るい言葉は、嘘にしか思えない、優しい言葉は、策略にしか見えない、ひときわ笑顔で近づいてくるやつは
俺を利用しようとしているとしか思えないのさ
俺の身体から漏れだすブルースの身をかじってみろよ、あんたはその時どんな顔をするのかな
俺のブルースの身が胃の中に落ちる音を聞いてみろよ、あんたはその時どんな顔をするのかな
真実は光の中には無い、真実は光の中には無い
真実は、この暗いブルースの中で悪臭に満ちたヘドロを吐く
俺はそれを食って生きてきた、ずっと、ずっと、長いことずっと
俺が俺になったそのときからずっと
暗く無残なブルース、俺の身体を駆け巡るブルース、俺の血となり肉となるブルース
俺は誰もが目を背ける真実になりたい、誰もが目を背ける真実になってあんたの前に立ちたいといつも考えているのさ
暗い夜の窓の外の雨降りの音は俺の孵る場所だ、じめついていない胎盤のことなんか俺は知らない
俺の心は悪性の腫瘍のようさ、呼吸の様に波を打つ醜悪な塊さ、俺はそこから生まれてきたんだ、生きるという意志をもって
あんたの綺麗な服に釣り合うような生き方なんかしたくない
あんたはきっとそんな俺を馬鹿だと言うんだろう、あんたは他人にそういう言い方をするのが好きなやつなんだ
あんたがどうしてそんな風に言えるのか?それはあんたが暗いブルースを知らないからなのさ
鈍重な感覚、熱の無い病みたいな、五感を狂わせてゆくビート、恐れるな、そこにこそ真実が隠れている
暗い無残なブルースが俺の身体を切り刻む、俺の声に出さない悲鳴があんたには聞こえないのかい
暗く無残なブルースが俺の目玉をえぐり出す、その時の視神経の絡まり具合があんたには想像できるかい
暗く無残なブルースは腐敗した内臓が肉体を破るみたいな爆発をして俺をバラバラにするかもしれない、飛び散った俺の身体の行方をあんたは追うことが出来るかい
暗く無残なブルースの中で俺は生きてきた、そして
暗く無残なブルースの中で俺は生きている、それは初め責苦だった
だけど判ったのさ、それは宿命だって、育たない赤子の様にそいつは俺の魂の中にあるのだって
暗く無残なブルースが俺を生かしているんだ、それが零れて来た時に漏らす音が
俺に新しい言葉を殴らせる、俺に新しい言葉を叫ばせる、俺に新しい言葉を喰わせるのさ、そいつらはみんな生きろと言う、暗く無残なブルースを抱いて俺に生きろと言う
いまじゃ俺は黙って頷くのさ、あいつらが俺にやってきたことがいまじゃよく判ってるから
暗く無残なブルースが俺の身体を駆け巡る、生きてることは喜びなのさ
暗く無残なブルースが俺の身体を切り刻む、生きてることは喜びなのさ
暗く無残なブルースが俺の目玉をえぐり出す、生きてることは喜びさ
暗く無残なブルースは激しく俺を昂らせる、じめついていない胎盤のことなど俺は知らない
知らない!
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