河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

輪廻転生

2010年08月31日 | 青の妖精と夏への扉
「八田さん、前回のブログはナイーブなジュブナイルですね
そんな八田さんが、なんで今みたいなカッチカッチの
アンドロイドになったんですか」

「そうだなあ、きっと、柔らかくて傷付くことに疲れはてたんだな
それでカッチカッチのアンドロイドになったわけだ」

「それでアンドロイドで満足してるんですか」

「いや、今度はカッチカッチで他人を傷付けるのがイヤになった
だから次は丸っこいデザインのUSBメモリーになろうと思う」

「USBメモリーが最後の姿ですか」

「いや、次はそのUSBメモリーが猫に食べられて
自分は猫として生きたい」

「まるで寄生虫のような生き方ですね」

「そうかな、わっはっは、わっはっは」

夏の思い出

2010年08月31日 | 青の妖精と夏への扉
その中学校はまるで19世紀の古い寺子屋のようだった
どたどた歩く男子と騒がしい女子と古くて意味のない退屈な授業
今だったら登校拒否していたろう

あれは2年生の夏だったろうか
廊下を歩いていると外側の窓枠に腰掛けている一人の女の子がいた
そこだけ光が当たって宙に浮いたような彼女を見て
「あれは天使か妖精にちがいない」と確信した

クラスが違うのでその子をめったに見かけることはなかったが
次の年のクラス替えで同じクラスになったのである
この世界にもやっと20世紀がやってきたと
世界が未来の方向に動くのを感じた

近くで見る彼女もやはり天使か妖精のようで
昆虫のような僕に対しても普通に接してくれた
十数年虫のように生きてきて人間扱いされたのは初めてだった
一度席替えで隣の席になった数ヶ月は毎日
ドキドキして気を失いそうな日々だった

ピアノと歌と水泳が得意な妖精だった
いつかの夏にその彼女の唄を録音したカセットがあったのだが
数十年を経てどこかへいってしまった
確か「白い色は恋人の色」をギターをひいて唄っていたはずだ

どこかの時空間にあるはずのそのカセットをもう一度聞いてみたいと思うのだ
その音が聞こえたら、生きてる意味が少し思いだせそうな気がする

夏の終わりに思い出す少し切ないような懐かしいような
二度と聞こえない歌声の記憶である




さよなら黄色いレンガ道における文化コラム

2010年08月31日 | 青の妖精と夏への扉
エルトン・ジョンの「Goodbye Yellow Brick Road」
は 「黄昏のレンガ路」という日本語タイトルがついているが
作詞者がバーニー・トーピン(Your Song の作詞者)と知っていて
「オズの魔法使い」を知ってる人なら、そこに出てくるレンガ道だと
すぐ思うはずだ。もちろん「黄昏のレンガ路」のタイトルのほうが
曲の雰囲気は出ているとは思う

デビッド・ボウイのジギー・スターダスト
「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars」
も「屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群」
と訳されたようで、もちろん、これもいい日本語訳かもしれないが
デビッド・ボウイのダチなら意味がすぐわかったかもしれない

英語というか言葉は難しい
意味よりその背景を知らないと全く意味が違ってくる
逆に何十年も一緒にいる老夫婦なら
「あれがなにしてなにやからあれしといて」
で、すべて意味が通じるのかもしれない

90歳の老人が初対面の18歳の青年に
「あれがなにしてなにやからあれしといて」
と言ったら何をするのだろうか

仕事の指示でも
「うまいことやっといて」
の一言ですべてを済ませる人もいるが
結果はどうなることやら
といって毎回、仕様書100ページ作っていたら
仕事を始める前に納期が無くなってしまうだろうし

翻訳者もすべての分野の知識が有るわけではないのでしかたがないが、
日本に20年、欧米に20年、アジアに20年くらい住んでみないと
翻訳できないのではないだろうか
翻訳の仕事する前に人生終わってしまうがな

逆に文化?を理解してると言葉がわからなくても
困らないようで、どこの国に行ってもなんとか暮らせてしまう

「損しますよ」
という一言で、自分が損をするという意味か、相手のことか
会社のことか、人によって考える事が違うのがおもしろい

なので「空気を読む」というのが一番重要なのかもしれない
しかし「空気を読む」という意味自体が難しい
「空気を読む」とはなんのこっちゃ

Bluetooth マウスといっしょで、すべては相性とか縁とか運命なのか
何度話してもすぐ接続の切れる人や初対面でもすぐ通信できる人や
それよりも、相性も縁も無くても、初対面でも
核物理学者とでもインド人とでも昆虫とでも対話できるような柔軟さのほうが
おもしろくて好きだが・・・

Bluetooth USB アダプタ BSHSBD03

2010年08月31日 | 青の妖精と夏への扉
Bluetooth USB アダプタ

バッファローコクヨサプライ BSHSBD03

ノートパソコン内蔵のBluetoothとマウスの相性が悪い?ようで毎回すぐ接続が切れる
しかたがないので同じメーカーのUSBアダプタ(レシーバー?)を購入
さすがに同じメーカーのためか起動後すぐに接続される

USB端子が一つふさがるのがもったいないが・・・

しかし小さすぎて、落としたらゴキブリに食べられるか、ホコリにまみれて
行方不明になりそうである

落とした場合黒色のものより白色のほうが見つけやすいかも

忘れ物

2010年08月30日 | 青の妖精と夏への扉
さっきの清掃の老人が戻ってきた

「何か忘れものですか」

「答えを教えてやったんだから、金よこしな1000円でいいよ
食ってただ生きてるだけじゃつまらんからな
酒も飲みたいし、金も欲しいんだよ、早く1000円出せよ
お前みたいな若造に体力では負けてないぞ
痛い目に会いたくなければ1000円出せ
500円玉2枚でもいいぜ」

「若造って、俺、今年で65歳ですけど」

「えっ、それじゃワシと同い年じゃないか」

夏の終わりは逃亡の日

2010年08月30日 | 青の妖精と夏への扉
子どもの頃は7月は永遠の夏休みが始まる時でなんでもできそうな
サラリーマンの金曜の夜感覚とでもいうか
たっぷり時間があるというワクワク感があった

8月の終わりは最終回というか
サラリーマンの日曜の夕方症候群とでもいうか
最後に何かしなければという感覚と最後に逃亡しなければ
という両方の感覚があったような気がする

冬場や秋に暑い国に行くと7月が今年何回目の夏かわからなくなり
さらにひきこもっていると、何月何日だか、ここが地球上のどこだか
わからなくなってきた

ブログのカレンダーを見ると3日だけ空白があるので
今月は3日しか仕事をしていないということか
というか、わてに仕事は有ったのだろうか

そろそろ逃亡の時期である

全体は部分を模倣する

2010年08月30日 | 青の妖精と夏への扉
気が付くと電車は車庫に入っていた
車内には俺と清掃担当の老人の二人しか居なかった
俺は老人に質問してみた

「1.人間はなぜ生きているのですか
2.みんなが幸福になるためにはどうしたらいいですか
3.自分を救うためにはどうしたらいいですか」

「ああ、それね、よく聞かれるんだよね
別に理由も目的も方法も無いよ
指が丸っこい人は体も丸っこいように
素粒子や細胞の振る舞いを脳が模倣してるだけだよ」

「なななんですか、それは」

「無が出来るとそこに素粒子が生まれる
細胞が傷つくと活発に増殖する
それと同じだ
目的の無くなった人間は脳が無理やり理由や目的を作り出す
あんたもわしみたいに食うに困ったら
そんなバカなことは考えないよ
生きてることは生きてる以上の意味など無いからな
3日ほど絶食してみなよ
人生の目的は食うことだけだってわかるよ」

そう言って老人は次の車両へと移っていった

夏の面接

2010年08月29日 | 青の妖精と夏への扉
京都のセラミック部品会社が面接に応じてくれた

「八田さん、ひとつおたずねしますが
希望職種のところの
チェンジ・ザ・ワールド。世界の究極の意味。ジギー・スターダスト。
っていうのは何ですか?」

「世界の仕組みを研究して、世界を変えたい
という意味です」

「うち、セラミックチップの部品作ってるだけなんですよ
そういうのは、京大の核物理とか宇治のヘリオトロン研究所とかに
行かれたらどうですか。大谷大の民俗学研究所もいい所ですよ
あっ、だめだね、出身が法学部だもんな
文科系はだめだな
でも、うちなら技術営業で採用OKですよ
年齢がいってらっしゃるから、最初はきついでしょうけどね」

「技術営業でロックンロールは出来ますか?」

「あんた頭おかしいんじゃないの。ロックやブンガクで世界は何も変わらないよ
ありゃ、単なるエンターテイメントだよ
実際、世界を変えているのは、こういう固体タンタルチップコンデンサや
圧電素子や有機発光素子や高輝度省エネ型LEDなんだよ」

「でも、ジギー・スターダストはサラリーマンじゃないですよ」

「帰ってくれ、次の面接者が待ってるんでね
ほんとうに救いようの無い人だなあ
世界には暗黙のルールっていうのがあるんだよ
俺もボウイは好きだよ、でも、こういう席ではその話はしないのさ
スーツとネクタイを着けてない時にするんだよ」

盆地である京都の夏はさすがに暑かった
帰りの阪急電車でLEDとジギー・スターダストとの違いを考えてみたが
どちらもピカピカで同じだった
弱冷の冷房とシートの温もりの間で
いつの間にか意識を失うように眠りこんでいた