河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

ギーガー鉄道の夜(2)

2011年03月09日 | ブッダ・コード
・・・なんで僕だけこんな苦労をしないといけないんだ、かあさんが首を長くしてるのは、ミャンマーの少数民族だからだ。とうさんはかあさんのことを何もわかっちゃいないんだ・・・

もうすっかり日の暮れた道を歩きながら、ジョバンニは空を見上げました

・・・この宇宙のどこかには、みんなが幸せに暮らしてる星があるんだろうなあ、そんな星に行ってみたいものだ・・・

「もう僕はいやになったよ、こんな牛乳なんか捨ててやる。ヨーグルトにでもチーズにでもなってしまえ!」

ジョバンニはその100本の牛乳を森の中めがけて投げ付けました。

ガラガラドッチャーンペンカラコン、ガラガラドッチャーンペンカラコン

森の中から何かにぶつかる音が聞こえてきました。

「やばいぞ、車か何かに当たったみたいだ」

シュポッポーシュッシュッポッポー、シュポッポーシュッシュッポッポー

なんと、森の中から現れたのは1台の蒸気機関車でした。

「こっ、これは、あの幻のギーガーの機関車じゃないか」


※参考画像は「ターナーの機関車」

ギーガー鉄道の夜(1)

2011年03月09日 | ブッダ・コード
「・・・彦星、アンタレス、オリオン座、この三つを夏の大三角といいます。明日から夏休みです。みなさんもバリ島にいけば南十字星が見えるかもしれませんね。それでは、これで今学期の授業を終わります」

湿った夏空に少しくぐもったチャイムの音が響いた。
授業の終わりのチャイムってことは、これが夏休みのスタートの合図ってことだ。

「ジョバンニ、君は夏休みはどうするんだい?うちのモナコの別荘に来るかい?窓の下をF-1が走ってすごいんだぜ」

「いや、僕はフィレンツェのおかあさんのところへ牛乳を運ばないといけないんだ。花火大会の頃にはまた戻ってくるよ」

「そうなのか、残念だな、じゃあまた花火大会で会おうぜ」

・・・ジョバンニはいつもさびしそうな顔をしている。悩み事があったら僕に相談してくれればいいのに・・・

カンペヨーネは少し不満そうに思いながら坂を下っていきました。


ヒューヒューデオデオドドーン、ヒューヒューデオデオドドーン、

丘の上の小学校は、こんな風の強い日には、校舎の時計台がうなりを上げます
建築家の設計ミスでどこかに隙間ができてるのだと思います。


「ジョバンニ、遅かったじゃないか、今頃かあさんは首を長くして待ってるぞ
お前が牛乳を届けなくてどうするんだ、今日は特に風が強いから、向かい風だと歩けないぞ」

「ごめんなさい、おとうさん。さっき川のところで事故があったみたいなんだよ。子どもが一人川に落ちたとかでみんなが騒いでいたんで道を通れなかったんだ」

「言い訳はもういいから、早く牛乳を持っていけ、寄り道するんじゃないぞ」

「ごめんなさい、おとうさん、今度から気をつけます。では行ってまいります」

ジョバンニは50本の牛乳を背負い、もう50本の牛乳を両手に持って、ミラノからフィレンツェへと向かいました。

たいそう風の強い午後でした。