河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

ある朝、山内鳥郎は風を感じて(最終回)

2005年08月03日 | blog
午前3時は妖怪ドドンパの出る時間である。大きめのホタルが飛び交う水田の横にドドンパの巣があるが、夜、田んぼのタイコウチやカブトエビを食うために巣穴から出てくる。鳴き声はキョロローンキョロローンと2回長く鳴いたあと必ず「たこ焼き食いたい」とつぶやくらしい。心無い日本人旅行者が変な日本語を教えたからだが、ほかには「しゃっちょさんかねもちね」「せんえんぽっきりね」とかしゃべる。
青い半月が西に傾く頃、東の空は朝の紫に染まり、またいつもの暑い太陽が顔を出す。日の出の前、時間が止まるほんの一瞬があり、そんな時、山内鳥郎は風を感じる。どこから吹いてくるのかわからないが、この風は過去から吹いてくるのではと時々思う。なぜかというと、いつも風の中になつかしい香りを感じるからだ。