『九品』の考え方を調べたところで久しぶりに九品寺を訪れてみた。このように『上品・中品・下品』にそれぞれ『上生・中生・下生』を組み合わせた九躰仏を祀っているのは東京の浄真寺と京都の浄瑠璃寺しかないのである。
(京都・浄瑠璃寺)
浄真寺は東急大井町線九品仏駅で降りるとすぐそばに参道入口があり、分かりやすい。参道は付近の人の生活道路ともなっていて人通りが多く、少し歩くと総門が出てくる。額には『般舟場』と書かれている。
門を入ると左側に閻魔堂、水は流れていないが三途の川。お堂の中には大きな閻魔像、入口にある『うそはつくな』という赤い幟が妙に印象的であった。
突き当たりが開山堂、こちらは新しい建物である。左に曲がると山門(仁王門)が見えてくる。
門の手前、左側に土塁が覗いており、『奥沢城跡』の石碑が残されている。
浄真寺は世田谷吉良氏の世田谷城の出城である奥沢城跡(1590年廃城)に1678年に開山されたものであり、境内は12万平米と広く、江戸時代に参詣で賑わった。ただ、その城跡を窺わせるものは殆どなく、城跡マニアとしてはやや寂しい。
仁王門の中に入ると左側に鐘楼、右側に本堂が出てくる。そして本堂の向かい側に3つの御堂が並んでおり、左から下品堂、上品堂、中本堂。本堂に入ると大きな釈迦如来坐像がある。天井は高く、他にも五劫思惟像やおびんづるさまなど多くの仏像が並ぶ。ここで写経をした上で御朱印をいただく。
本堂の真正面が上品堂、中に入るとまん前に上品上生の印相をした阿弥陀如来坐像。比較的新しい像のため、頭の青さが目を奪う。
(上品上生)
(上品中生)
(上品下生)
左には上品下生、右には上品中生。印相は上生が定印、中生が説法印、下生が来迎印をしている。付近の老人ホームの人たちが熱心に上品堂にお参りしていた。やはり皆様、上品を狙われているのだろうか。
(中品上生)
下品堂は工事中のために入れず、中品堂に行く。こちらも上品堂と同じように三躰の阿弥陀如来坐像が並ぶが、私などはせいぜい中品が限界だろうとここの仏様には時間をかけて手を合わせた。
(中品中生)
(中品下生)
東京とは思えないゆったりとした敷地に立つ3つのお堂、その中の仏様、時間が止まっているかのようなひと時を過ごすことができた。