かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(50)――朝日歌壇・俳壇から(2018年4月2日~5月20日)

2018年05月20日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

田や畑のフレコンバッグは日常の景色となりて菜の花の咲く
         (茂原市)植田辰年  (4/2 高野公彦、永田和宏選)

トラックが悲鳴あげてる五輪までに運びきれないフレコンバッグ
         (石川県)瀧上裕幸  (4/2 永田和宏選)

線量の無き様にある山桜忘れはしないが知らぬ振りです
         (さくら市)大場公史  (4/2 馬場あき子選)

帰還(かえ)れずに他市(よそ)で入学する子いて福島の避難者なお五万人
         (福島市)青木崇郎  (4/8 佐佐木幸綱選)

(ふき)の薹(とう)フレコンバッグの丘に伸び妻と摘みたる昔日を思ふ
         (須賀川市)伊東伸也  (4/22 佐佐木幸綱選)

「七年が過ぎたのですね」「七年も続いているのです」積む廃棄物
         (横浜市)細野八重子  (4/29 馬場あき子、佐佐木幸綱選)

セシウムが一日20億ベクレル海に漏れてる八年目の春
         (福島市)澤正宏  (5/6 馬場あき子選)

フレコンバッグ撤去の土手にニリンソウ、アズマイチゲとカタクリの花
         (福島市)美原凍子  (5/6 佐佐木幸綱選)

取り敢えずと庭に置かれし汚染土が四年経て今運ばれてゆく
         (福島市)稲村忠衛  (5/13 馬場あき子選)

太陽が海から昇る双葉町にもう戻らない昭和懐し
         (二本松市)開発廣和  (5/20 佐佐木幸綱選)

七年を経たる樹木の繁茂してアンコールワットになるやわが郷(さと)
         (二本松市)開発廣和  (5/20 高野公彦選)

フクシマの常磐道の新緑の中をポルシェが疾走してゆく
         (いわき市)守岡和之  (5/20 高野公彦選)

 

福島の何も戻らぬ春惜しむ
         (福島県伊達市)佐藤茂  (4/8 長谷川櫂選)

ふくしまの何時の日か共に山笑ふ
         (豊橋市)田中吉弘  (4/15 長谷川櫂選)

福島のさまよふ春の惜しまるる
         (福島県伊達市)佐藤茂  (5/13 長谷川櫂選)

ゴム風船被爆の空で破裂せり
         (大村市)小谷一夫  (5/13 大串章選)



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