かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(41)――朝日歌壇・俳壇から(2017年3月20日~4月3日)

2017年04月03日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

国立の青澄みとほる空見れば唯に恋しき福島の家
             (国立市)半杭螢子  (3/20佐佐木幸綱選)

古希超ゆる平和アパート壊すとぞ峠三吉住まひし部屋も
             (静岡市)安藤勝志  (3/20佐佐木幸綱選)

馴染めない女将の訛り聞きながら廃炉作業の後の酒盛り
             (安芸高田市)菊山正史  (3/20佐佐木幸綱選)

二号機のそばで働くはこはからむ一分弱で死に到るそばで
             (北九州市)嶋津裕子  (3/20 高野公彦選)

独り身の仮設暮らしの年寄りを原発孤老と誰が呼びしか
             (福島市)加藤哲章  (3/20 高野公彦選)

「来世はこの地に生まれてくるなよ」と被曝牛舎に老婆の声が
             (いわき市)鈴木愛子  (3/20 永田和宏選)

「みちのくの真野の茅原」線量計立ちて春めく光浴びおり
             (三鷹市)増田テルヨ  (3/20 永田和宏選)

原子炉にとじこめられてロボットは前進ならず後退できず
             (摂津市)内山豊子  (3/20 永田和宏選)

東電の賠償金の空しかりそれから払ふ電気料金は
             (国立市)半杭螢子  (4/3 高野公彦選)

暗闇の大熊町に光れるは東電寮のみ 六年を経て
             (長岡京市)田原トモ子  (4/3 高野公彦選)

冷却水注げば汚染水となる閉じ込め破綻した炉が三つ
             (郡山市)柴崎茂  (4/3 永田和宏選)

 

フクシマの桜哀しも原発禍
             (横浜市)穴沢秋彦  (3/27 金子兜太選)

夢のやうに桜はありぬ原発忌
             (三郷市)岡崎正宏  (3/27 長谷川櫂選)

福島へもどれぬひとと雁供養
             (相馬市)根岸浩一  (4/3 金子兜太選)

さまざまに福島のこと桜かな
             (三郷市)岡崎正宏  (4/3 金子兜太選)



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