かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(17)――朝日歌壇・俳壇から(2014年9月22日~11月9日)

2014年11月10日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

防衛はまず原発を無くすこと敵の着弾廃墟の日本
             (福岡市)南川光司  (9/22 佐佐木幸綱選)

原発の事故原爆と思いこむ認知症の母のおびえ止まらず
             (横須賀市)池田卓爾  (9/22 佐佐木幸綱選)

広島は欲する時に水がなく欲せざる時神は与える
             (豊川市)河合正秀  (9/29 野公彦選)

鳴り止まぬ線量計そそくさと済ます墓参り大熊町の彼岸
             (狭山市)黒後輝夫  (10/20 馬場あき子、永田和宏選

事故処理もままならぬのに再稼働不思議な国とアリスが笑う
             (神戸市)川村充  (10/20 野公彦選)

汚染土を埋めし地よりふつふつと曼珠沙華炎(も)ゆ地の底いより
             (福島市)美原凍子  (10/20 野公彦選)

枝道も家も鎖(さ)されて直(ひた)走る真葛国原月もどかしく
             (福島市)青木崇郎  (10/27永田和宏選)

原発に追われたる無人の葛尾村信号青の一つ点もれる
             (蓮田市)斉藤哲哉  (10/27 馬場あき子選)

枝道を鎖(さ)して入れぬ区間あり長い六号線息止め走る
             (福島市)青木崇郎  (10/27 馬場あき子選)

被曝量検査の通知送られて台風近づく日本列島
             (さいたま市)箱石敏子  (11/3 馬場あき子選)

 

蚯蚓(みみず)鳴くところへ核の廃棄物
             (京都市)山口秋野  (10/20 金子兜太選)

福島に花野はあるか青空は
             (和歌山県上富田町)森京子  (10/20 金子兜太選)

沈黙の原子炉の上雁渡る
             (船橋市)高橋清徳  (11/3 大串章選)

この辺は線量高いぞ穴惑
             (いわき市)馬目空  (11/9 金子兜太選)