労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

「新・正社員論-共働き正社員モデルの提言-」という講演を受けた【その2】(労働政策審議会・連合推薦委員合同会議)

2018-08-29 | 書記長社労士 お勉強の記録
 8月3日~4日、連合が開催した「労働政策審議会・連合推薦委員合同会議」に出席、2日間の会議では、3本の講演を受けた。
その3本目は、久本憲夫京都大学大学院経済学研究科教授による「新・正社員論-共働き正社員モデルの提言-」。【その2】(その1はこちら→https://blog.goo.ne.jp/hisap_surfrider/e/10f67974d28b158a4ea5254ffe22ff73

5.管理職という存在
Ⅰ.管理職の捉え方
①管理的職業従事者としての管理職⇒使えないデータとしての「国勢調査」⇒よく見られる「管理職」の数値は、「国勢調査」によるが、「管理的職業従事者としての管理職」とは、日本では、多くは、経営者・役員を指す。
②企業内職位としての管理職


③管理監督者としての管理職⇒日本における、事実上の「ホワイトカラー・イグゼンプト」としての「管理職」⇒労働基準法41条2号の適用対象者の人数により、労働時間規制の適用除外となる。⇒多くは、企業内職位の管理職クラスが、「ホワイトカラー・イグゼンプト」
Ⅱ.管理職の仕事と処遇 職種・平均でみた部下の数・分布でみた部下の数(正社員の部下)・マネージャー度・適用されている勤務時間制度(本人の認識)・年収⇒プレーイングばっかりしているプレーイングマネージャー。


Ⅲ.管理職と家族形成
〇着実に女性の「管理職クラス」は増加している。⇒ただし、大企業での女性管理職比率は低い。⇒管理職の婚姻状況(300人以上の企業)では、女性管理職は独身が多数派。


(2)ワーク・ライフ・バランス実現に向けた改革案…実現のために必要な政策は何か。
 長時間労働促進労働法制の改正・労働時間口座の導入と転勤拒否権の確立がポイント。
〇なぜ、職場の知恵や工夫が生かされないのか
〇各種の長時間労働インセンティブ
〇片働きモデル重視の労働組合と企業、そして裁判所(昔の正義、現代の不公正)
〇共稼ぎ正社員主流化に向けた方策
〇公正な労働市場ルールの実効性を高める

①労働時間口座への積立
・労働時間を夫婦単位で考えると、正社員共稼ぎモデルでは、残業がなくても、週40時間+週40時間=週80時間となる。
・つまり、賃金よりも非労働時間が希少価値⇒残業時間は「金銭」ではなく、「時間」として貯め、必要な時に下ろせばより。(1.25倍の計算)

②年次有給休暇の時効の廃止
・本来「時効(2年)」は、権利を行使しない(行使する必要がない)から発生するものであるが、日本では多くの企業が事実上「権利を行使できない」ようにしている。
・企業は、従業員に年次有給休暇を使わせないことで大幅な人件費の削減を実行している。
・こんな強力な時効インセンティブを現行の労働法制は放置している。
・そのうえで、年次有給休暇の消化促進を言うのは、詭弁に近い。
・使わなかった年次有給休暇は労働時間口座に積み立てればよい。

③割増残業化
・長時間労働促進法制である現行の「割引残業制」を廃止し、速やかに「割増残業化」を図るべきである。
・残業時間も金銭ではなく、1.25倍の時間にして「労働時間口座」に積み立てるのが望ましい。
・「1時間」の残業を「1.25時間」にカウントするわけである。
・そうすれば、安易に企業は従業員に残業させなくなる。(不払い残業は別問題)
コメント
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