労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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「新・正社員論-共働き正社員モデルの提言-」という講演を受けた【その3】(労働政策審議会・連合推薦委員合同会議)

2018-08-30 | 書記長社労士 お勉強の記録
 8月3日~4日、連合が開催した「労働政策審議会・連合推薦委員合同会議」に出席、2日間の会議では、3本の講演を受けた。
その3本目は、久本憲夫京都大学大学院経済学研究科教授による「新・正社員論-共働き正社員モデルの提言-」。【その3】(その2はこちら⇒https://blog.goo.ne.jp/hisap_surfrider/e/e85cdb805cca07287e74f52ffdfc6793

④例外としての残業の明確化、36協定締結条件の厳格化と固定残業制の原則禁止
・仕事量の規制は、残念ながら、現状では「労働時間」でしかできない。
・そのためには、36協定締結条件を厳格化する。日本のお家芸である「職場の知恵」を生かして欲しい。
・事前に不確定な残業を組み込む「固定残業制」は禁止すべきだろう。

⑤労働時間適用除外改革
・労働時間規制がゆるい人ほど労働時間が長くなるという現状を改善しなければならない。
・裁量労働が「1時間あたりの労働生産性」を上げるのであれば、適用者の労働時間はどんどん短くなっているはずである。
・そうならないのは、仕事量がさらに「タダ」で、彼らに背負わされているからである。
・労働時間規制の適用除外となっている「管理監督者」のうち、低賃金の管理監督者は労働時間規制の適用対象とすべきである。
・具体的には「高プロ」と同じ賃金水準の「管理監督者のみ」を適用除外にすればよい。
・なぜ、労働組合はこうした要求をしないのであろうか?

⑥勤務間インターバルの設定
・すべての労働者に対して、EU基準の11時間くらいは立法化してほしいものである。
・「高度プロフェッショナル」も、過労死や過労自殺をさせてはならない。
・睡眠不足で、「創造的で高度な仕事」が長時間にわたってできるとでも思っているのであろうか。
・「受験勉強の優等生」の発想?

⑦転勤拒否権の容認
・夫婦が一緒に住んで子育てするのが、多数派の人間にとって当然だとすると、「転勤拒否権」を認めないのは、非人道的行為である。
・こうした「片稼ぎ正社員モデル」が正当性を持っていた過去の産物は、今や廃棄しなければならない。
・かつての「正義」は、今や「社会不公正」であり、「正義に反する行為」である。
・さらに、現在では「転勤」は必ずしも「栄転」ではない。
・必ずしも、キャリア・アップにつながらない。
・むしろ「踏み絵」?
・もちろん、高い賃金を得る一部のエリート従業員が転勤するのは当然であろう。彼ら/彼女らは「一生独身」か、少数派たる「片稼ぎ正社員モデル」として今後も存続する。
・地域限定正社員が正社員で、今でいう正社員は、転勤可能性社員・残業可能性社員または長時間可能性社員。

(3)労働組合はどのように取り組むべきか。
 日本の労働組合運動の原点としての、生活給要求=片働き正社員モデル
・単身者賃金を批判し男性稼ぎ主モデルを要求した。そのため、残業や転勤(栄転)を歓迎した。さらに、雇用確保のための転勤も容認した。
・日本的雇用システムの成立!ところが、男女雇用平等が男性片稼ぎ主モデルの問題点を表面化させた。
・組合のあるところで労働時間が短いという効果は、ほとんどみあたらない。とくに「残業時間」。むしろ長いかも。
・パラダイム転換が求められている。
・必要なことは、「共稼ぎ正社員モデル」の主流化である。

〇「片稼ぎ正社員モデル」から「共働き正社員モデル」へのパラダイム転換を図るべきである。
〇マスコミ・インターネットを動員して、必要な労働法制について、積極的に発言すべき
〇もちろん少数派として「片稼ぎ正社員モデル」がいてもよい。
〇重要なのは、「共稼ぎ社員モデルの主流化」ではないか。
コメント
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