チャレンジ

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松井証券

2005-05-11 23:11:43 | 覚えておきたい考え
 成長を続ける企業の経営者は成長の可能性があればそれをとことん追求していく、従業員を増やしビジネスを拡大し、会社の規模を拡大していくと思っていた。 そして大企業になることを考えると思っていた。

 昨晩参加した講演で話をされた松井証券の松井社長の考えはそうではなかった。
現在147名の従業員で226億円の営業利益を、従業員数は増やさないで伸ばしていくことを考えている。小規模であること、少数の従業員で経営していることを誇りにしている。

 松井社長は会社全体で営業利益がいくらになるかを考えるのではなく、従業員一人当たりの利益をまず最初に考えていた。目標は現在1.5億円ある一人当たり営業利益を5億円にすること。
単位当たり、つまり一人当たりや資本金1円当たりといった数値で成果を出すことが最も重要だと考えていた。

 松井証券はオンライントレード証券のナンバーワンで、経常利益の額でみれば証券業界全体で野村、大和、日興、三菱に次ぐ第五位。株式売買代金は野村、大和、日興の3社の個人部門合計とほぼ同額という実績をあげている会社である。
この成果は情報技術の進化という時流に乗って成功しているのは間違いないが、松井社長曰く、成功の本当の秘訣は「捨てる決断」だったという。

 「リーダーにとって大切なのは捨てる決断。これまでの決断のうち正しかったのは捨てる決断で、間違った決断は加える決断だった。」

 「捨てるものは全て過去に作ってきたもの、それを捨てることで得られるのは未来。過去から積み上げてきたものを捨てることに対して反対する人は多い。だから捨てないで加えるということをやりがちだが、捨てないと得られるものは少ないし、どんどん会社が水ぶくれしていく。」

 「現在の松井証券の姿があるのは、営業をやめるという「捨てる決断」をしたことによるもの。オンライントレード証券という形は捨てる決断をした結果として生まれてきたもの。」

 松井証券も利益が増えてくるにつれ、従業員を増やすことや、事業の柱を複数育てることが松井社長に提案として上がってくるようだ。でも松井社長はここでも捨てる決断をしている。

 「松井証券は徹底的に松井証券に戻っていく。松井証券は野村證券ではないし、野村證券にはなれない。なることがよいとも思わない。ビジネスの領域も必要以上に拡大しない。従業員を減らすことはあっても増やすことはない。組織は大きくしない。」

 松井社長の固い意思を強く感じた。
 
 また、松井社長の発言は型破りで、時に過激で反逆児的な印象を受ける。

 松井社長が反逆しているものは何か?

 松井社長がいま反逆しているものは、日本の証券業界の常識。しかし、これは松井社長が証券業界にいるからそうしているのであって、他の業界にいたとしても松井社長は反逆しているように思う。松井社長のポリシーがそうさせるように思う。

 松井社長のポリシーは日本郵船時代に徹底的に叩き込まれたもの。無駄なコストを徹底的に省く、松井社長曰く虚業と実業の線引き。
虚業とはお客様が認めていないコストで成り立っているもの、実業とはお客様が認めるコストで成り立っているもの。コストはマーケットが決める、お客様が認めるコスト=実業を残し、認めないコスト=虚業は全て排除するという考え。
 
 また徹底的にコストにこだわる松井社長だが、企業の最大のコストは「時代とのギャップ」だと話されていた。 時代をとらえられない、時代に合わないことをするのが最も高くつくことだ言われていた。そして時代をとらえ時代とのギャップを埋めるのが社長の役割、社長の決断だという。

 そしてこれからのビジネスで重要になるのは感性。組織はこの感性をいかに大事にするかを考えることが大切だと話されていた。 
「21世紀のビジネスは組織で統制を取って進めていくものではなく、一人一人つまり「個」が強くなる組織を考えていく必要がある」 とも話されていた。

 時代とのギャップを意識し、これから起きる未来をよむ、そして虚業と実業を見分ける感性を持つ必要があることを述べられているように思った。

良い話を聞いた。

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