ヤカラという言葉を知りました。夜中に集団で騒いだり、お店でささいなことで店員さんを恫喝したり、通りがかりの市民に文句を言って絡む、そんな不良連中をヤカラと呼び、彼らが着ている竜や虎の刺繍の入ったジャンバーやダボダボのズボン、目立つゴールドの装身具などをヤカラ系のファッションと呼ぶそうです。
ヤカラ、輩は、~の輩、不逞の輩のように使う、仲間、同類の言葉で、先輩、後輩、吾輩のような使い方もしますので、輩自体には否定的な意味はないのですが、~の輩(ヤカラ)というときには、肯定的なグループではない、例えば親切な輩、とはあまり言わない。そこからヤカラの部分だけで、不良連中を指すようになったのだとおもいます。関西では、ヤカる、ヤカられるのように動詞化もしていて、理不尽な因縁をつける、つけられるという意味です。
医学用語でポルチオというと、子宮膣部(子宮頸部の膣内にある部分)のことですが、これはラテン語のPortio vaginalis uteriのPortioで、英語ではportion、部分という意味。子宮を意味するのはvaginalis uteriの方なので、これもヤカラ系の言葉です。余談ながらpotion(rがない)は水薬の意味で、コーヒーミルクポーション(スジャータのような使い切りのコーヒーミルク)はこちらのpotionです。
タイのバンコクを流れるチャオプラヤ川は、日本人からメナム川と呼ばれていました。メナムはタイ語で川の意味で、メナム・チャオプラヤをメナム川と呼んだのです。ヤカラの輩ですね。
さて、危ないアブラのお話です。
一般に油脂のうち、常温で液体の物を油、固体の物を脂と呼んでいて、植物油の多くは液体で、動物性脂肪は固体の物が多く、固体の脂の方が身体に悪いイメージがあります。牛や豚の体温は38~39度、鶏は42度と人間よりも高体温のため、これらの脂を摂取すると人間の体の中で脂が固まり、血液どろどろになって血管が詰まる、みたいな説明がまことしやかにされたりします。同じように、魚類は海水の中にいて、海水温は高くても20度台で人間の体温より低いので、魚油、特に北の海で摂れた魚を摂ると血液がサラサラになる。植物は体温調節ができず、液体の油でなければ植物の中を流れることができないので、植物油は身体にイイ。
これらの説明は大筋ではなんとなく正しそうですが、当たっていない部分もかなりあります。
人間の身体にとって良いアブラ、危ないアブラは確かにあるのですが、実はなぜ良いのか、悪いのかの理由はよくわかっていません。危ないといわれているアブラを多く摂っている人の脳血管系、循環器系の病気の頻度、死亡率が高い、ということから、統計的に判断されているのです。
光合成により植物細胞の葉緑体内で合成された炭水化物の一部は脂肪酸に変換された後、小胞体に輸送されて中性脂肪となります。植物の脂質のほとんどは種子に蓄えられています。脂質は同じ重さの炭水化物に比べて倍以上の熱量を産生しますので、大量のエネルギーを消費する発芽成長には、種子や果実に脂質を蓄えておくことが有利です。植物内での脂肪酸の移動には液体の方が都合がよさそうですが、油滴の形で細胞間の移動はできないので、これはイメージに過ぎません。実際、植物油には常温で液体の物が多く、それは脂肪を構成する脂肪酸の化学構造が理由です。ただしココナッツバターのような例外もあります。
マーガリンは植物性油脂を構成する脂肪酸の炭素(C)の二重結合に人工的に水素(H)を結合させてつくった油脂です。炭素には4本の手足があり、脂肪酸は複数の炭素が繋がってできています。右と左の炭素同士の結合に両手を使い、両足には水素が結びついているのが単結合(ーH2CーCH2-)、右の(左の)炭素と両手でつながり、左の(右の)炭素とは片足でつながり、残った足は水素とつながっているのが二重結合(ーHC=CH-)です。脂肪酸は一般に二重結合が多いほど常温で液体で、単結合が多いと固体である傾向があります。そこで植物由来の液体油脂の二重結合に水素を付加して単結合にすることで、人工的に乳脂肪(バター)のように二重結合の少ない固形の油脂を開発したのです。植物由来なので健康に良く(とおもわれ)、価格も安いということで、マーガリンは食卓に瞬く間に広まりました。二重結合がある油脂は不安定で酸化、変質しやすいのですが、水素付加した植物油は変質しにくい。また液体の油よりも常温で固形の油脂の方が保存運搬に便利ということもあって、水素付加した固形植物油はファストフードを中心に外食産業にも受け入れられました。
その後、欧米を中心に、植物油脂を固形化した油脂の消費の多い地域では、脳血管系循環器系の死亡率が高いことがわかってきました。ニューヨーク市など外食依存率の高い地域では、その傾向が強く、原因は食品のアブラということがわかったのです。
脂肪酸の二重結合に水素が付加して単結合になる反応は動物の体内でも起こるのですが、その場合多くがシス型と呼ばれるタイプになります。人工的に水素を付加するとシス型とトランス型が出来てしまいます。シス型とトランス型は全く同じ組成ですが、構造上右手と左手のような関係にあります。そして同じ組成ながら作用に違いがあるのです。右手用の手袋は左手にはめられないみたいな。作用機序はわからないのですが、どうやら、この自然界には少ないトランス型の脂肪酸が身体に悪いということがわかってきました。
トランス脂肪酸の多い食事をとっている人の血中LDLコレステロール、中性脂肪は高く、HDLコレステロールは低い傾向にあり、冠動脈性心疾患の発症を増やす、メタボリックシンドローム関連因子及び糖尿病のリスクに加えて、冠動脈性心疾患死亡や心臓性突然死のリスクも高いということが、世界各地での大規模調査から統計的に証明されました。
WHOは2010年の「人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合報告」において、「トランス脂肪酸の摂取量を反すう動物由来のものと工業由来のものを合わせて総エネルギー摂取量の1%未満とする」目標値を設定しています。
2012年厚生労働省は、日本人の大多数がWHO の勧告(目標)基準であるエネルギー比の1%未満であり、また、健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる。しかしながら、脂質に偏った食事をしている個人においては、トランス脂肪酸摂取量のエネルギー比が1%を超えていることがあると考えられるため、留意する必要がある、としています。
ヤカラ、輩は、~の輩、不逞の輩のように使う、仲間、同類の言葉で、先輩、後輩、吾輩のような使い方もしますので、輩自体には否定的な意味はないのですが、~の輩(ヤカラ)というときには、肯定的なグループではない、例えば親切な輩、とはあまり言わない。そこからヤカラの部分だけで、不良連中を指すようになったのだとおもいます。関西では、ヤカる、ヤカられるのように動詞化もしていて、理不尽な因縁をつける、つけられるという意味です。
医学用語でポルチオというと、子宮膣部(子宮頸部の膣内にある部分)のことですが、これはラテン語のPortio vaginalis uteriのPortioで、英語ではportion、部分という意味。子宮を意味するのはvaginalis uteriの方なので、これもヤカラ系の言葉です。余談ながらpotion(rがない)は水薬の意味で、コーヒーミルクポーション(スジャータのような使い切りのコーヒーミルク)はこちらのpotionです。
タイのバンコクを流れるチャオプラヤ川は、日本人からメナム川と呼ばれていました。メナムはタイ語で川の意味で、メナム・チャオプラヤをメナム川と呼んだのです。ヤカラの輩ですね。
さて、危ないアブラのお話です。
一般に油脂のうち、常温で液体の物を油、固体の物を脂と呼んでいて、植物油の多くは液体で、動物性脂肪は固体の物が多く、固体の脂の方が身体に悪いイメージがあります。牛や豚の体温は38~39度、鶏は42度と人間よりも高体温のため、これらの脂を摂取すると人間の体の中で脂が固まり、血液どろどろになって血管が詰まる、みたいな説明がまことしやかにされたりします。同じように、魚類は海水の中にいて、海水温は高くても20度台で人間の体温より低いので、魚油、特に北の海で摂れた魚を摂ると血液がサラサラになる。植物は体温調節ができず、液体の油でなければ植物の中を流れることができないので、植物油は身体にイイ。
これらの説明は大筋ではなんとなく正しそうですが、当たっていない部分もかなりあります。
人間の身体にとって良いアブラ、危ないアブラは確かにあるのですが、実はなぜ良いのか、悪いのかの理由はよくわかっていません。危ないといわれているアブラを多く摂っている人の脳血管系、循環器系の病気の頻度、死亡率が高い、ということから、統計的に判断されているのです。
光合成により植物細胞の葉緑体内で合成された炭水化物の一部は脂肪酸に変換された後、小胞体に輸送されて中性脂肪となります。植物の脂質のほとんどは種子に蓄えられています。脂質は同じ重さの炭水化物に比べて倍以上の熱量を産生しますので、大量のエネルギーを消費する発芽成長には、種子や果実に脂質を蓄えておくことが有利です。植物内での脂肪酸の移動には液体の方が都合がよさそうですが、油滴の形で細胞間の移動はできないので、これはイメージに過ぎません。実際、植物油には常温で液体の物が多く、それは脂肪を構成する脂肪酸の化学構造が理由です。ただしココナッツバターのような例外もあります。
マーガリンは植物性油脂を構成する脂肪酸の炭素(C)の二重結合に人工的に水素(H)を結合させてつくった油脂です。炭素には4本の手足があり、脂肪酸は複数の炭素が繋がってできています。右と左の炭素同士の結合に両手を使い、両足には水素が結びついているのが単結合(ーH2CーCH2-)、右の(左の)炭素と両手でつながり、左の(右の)炭素とは片足でつながり、残った足は水素とつながっているのが二重結合(ーHC=CH-)です。脂肪酸は一般に二重結合が多いほど常温で液体で、単結合が多いと固体である傾向があります。そこで植物由来の液体油脂の二重結合に水素を付加して単結合にすることで、人工的に乳脂肪(バター)のように二重結合の少ない固形の油脂を開発したのです。植物由来なので健康に良く(とおもわれ)、価格も安いということで、マーガリンは食卓に瞬く間に広まりました。二重結合がある油脂は不安定で酸化、変質しやすいのですが、水素付加した植物油は変質しにくい。また液体の油よりも常温で固形の油脂の方が保存運搬に便利ということもあって、水素付加した固形植物油はファストフードを中心に外食産業にも受け入れられました。
その後、欧米を中心に、植物油脂を固形化した油脂の消費の多い地域では、脳血管系循環器系の死亡率が高いことがわかってきました。ニューヨーク市など外食依存率の高い地域では、その傾向が強く、原因は食品のアブラということがわかったのです。
脂肪酸の二重結合に水素が付加して単結合になる反応は動物の体内でも起こるのですが、その場合多くがシス型と呼ばれるタイプになります。人工的に水素を付加するとシス型とトランス型が出来てしまいます。シス型とトランス型は全く同じ組成ですが、構造上右手と左手のような関係にあります。そして同じ組成ながら作用に違いがあるのです。右手用の手袋は左手にはめられないみたいな。作用機序はわからないのですが、どうやら、この自然界には少ないトランス型の脂肪酸が身体に悪いということがわかってきました。
トランス脂肪酸の多い食事をとっている人の血中LDLコレステロール、中性脂肪は高く、HDLコレステロールは低い傾向にあり、冠動脈性心疾患の発症を増やす、メタボリックシンドローム関連因子及び糖尿病のリスクに加えて、冠動脈性心疾患死亡や心臓性突然死のリスクも高いということが、世界各地での大規模調査から統計的に証明されました。
WHOは2010年の「人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合報告」において、「トランス脂肪酸の摂取量を反すう動物由来のものと工業由来のものを合わせて総エネルギー摂取量の1%未満とする」目標値を設定しています。
2012年厚生労働省は、日本人の大多数がWHO の勧告(目標)基準であるエネルギー比の1%未満であり、また、健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる。しかしながら、脂質に偏った食事をしている個人においては、トランス脂肪酸摂取量のエネルギー比が1%を超えていることがあると考えられるため、留意する必要がある、としています。