胃がん検診をぶっ壊~す!

2024年07月08日 | 日記・エッセイ・コラム
 東京都知事選挙が行われ、さて都民は知らん仏より知ってる鬼、いえ、知らん鬼より知ってる鬼を選んだようです。
 今回は過去最多の56人が立候補し、当選者含む上位3名以外は、得票が有効投票数の1割未満ということで、供託金300万円が都に没収されます。300万円払えば注目度の高い都知事選で、テレビでの政見放送や選挙公報への掲載ができ、費用と手間は候補者持ちですが、都内全域にポスターも掲出できる。当選者は1名なので、間違って当選してしまうこともないということで、自己PR目的の立候補者が乱立したわけです。多額の税金を使って実施する選挙で、53名から300万円を没収しても見合わないので、供託金の金額をもっと高くするべき、という意見もあります。
 実は今から10年以上前に、私も選挙への立候補を考えたことがあることをおもいだしました。
 腫瘍内科医の岡田直美先生から、新刊書「『治らない』と言われてもあきらめないがん治療」(東京新聞)が届き、
その本の中で、私が岡田先生に立候補の相談したときのエピソードを紹介していただきました。
 幼少期のピロリ菌感染が胃がんの主たる原因であり、感染による胃粘膜萎縮が進むことで胃がんのリスクが高まります。採血検査でピロリ菌感染の有無と、胃粘膜萎縮の度合いの指標である血清ペプシノゲンを測る検査「胃がんリスク検査」を受けることで、将来胃がんになる可能性がABCDの4段階でわかります。ピロリ菌感染がなく胃粘膜萎縮もないA群の人は一生ほぼ胃がんにならず、B<C<Dの順に胃がんの発症率が上がります。放射線被ばくを伴うバリウム検診を毎年繰り返すよりも、生涯一度「胃がんリスク検査」を実施し、ピロリ菌感染のあるBCD群だけに胃がん検診を実施すべき。更にはBCD群の人はピロリ菌を治療することで、将来胃がんになる危険度を下げることができる。「胃がんリスク検査」は費用も数千円と安く、採血だけなので一般健診と同時に実施できる。
 私はこの「胃がんリスク検査」を全国に広める活動をしていたのですが、我が国では「胃がん検診」を全員一律に実施し、しかも集団検診ではバリウム検診が主流で、当時「胃がんリスク検査」を住民検診に導入している自治体は都内でも同志のいた足立区、葛飾区、そして目黒区の3か所だけで、全国でも10市町村もないぐらいでした。
 そこで、私は「胃がん検診の前に胃がんリスク検査を!」のワンイシューで各地の選挙に立候補し、胃がんリスク検査のABCDのマトリックスを選挙ポスターにして、全国に掲示することを目指したのです。
 そんなことを考えていた矢先「NHKをぶっ壊す!」で立花孝志さんが登場し、格の違いを見せつけられ、私は立候補を諦めました。今回の都知事選で立花さんは、希望者に選挙ポスターを張り出す権利を売り、注目を集めましたが、おかげさまで今では胃がんリスク検査を実施する自治体は全国で増え、都内ではほとんどの市区町村で実施していますので、選挙のお世話になることは止めました。