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『Ex-formation 植物』(原研哉+武蔵野美術大学原研哉ゼミ/平凡社)
という本を読んだ。図書館から借りてきた中の一冊だ。
ふつうの書籍よりはやや正方形に近い形をしたこの本。
図書館で手に取ったとき、僕は、わけがわからなくなった。
「いったいこれは、何の本なのだ?」
どうやら植物に関する本のようである。
ページをめくると、写真がたくさん掲載されている。
植物の写真だが、気持ち悪い写真ばかりが目に飛び込んできた。
「OVERGROWN 植物は生えてきます」
と表題がつけられた一群の写真をみると鳥肌が立った。
金属制のフォークやスプーンの表面から、びっしりと生える若葉たち。
長いあいだ放置されていたために、植物がはびこってきたという感じではない。
フォークやスプーンは、きれいに輝いている。
その表面に植物、という異様さ。
次のページでは、携帯電話のスイッチパネルのすき間から若葉が生えている。
ワイングラス、スープの表面、プラスチック製のイスの表面…、さまざまな工業製品の表面に生えている緑の若葉。
アート作品集なのか?
本の冒頭にある、原研哉氏のエッセイのような解説文を立ち読みした。
(以下抜粋)
Ex-formationとは物事を「未知化」する試みである。知らせる、分からせるのではなく、「いかに知らないかを分からせる」、あるいは、まるで初めてそのものを見たり経験したりするような新鮮さで、物事の様相を伝えてゆく営みである
(以上抜粋)
つまり、「植物」というものを考え直してみましょうと、そういう試みをやってみたという事らしい。
それでもよく分からないので家に持って帰って来たという訳です。
原研哉氏のエッセイのような冒頭解説文に、こんなことも書いてあった。
(以下抜粋)
我々は、知識や情報を持っているものについては「知っている」と判断を下す。(中略)はたして僕らは、世界の何を、どれだけ知っているのか。
(以上抜粋)
なるほど、まったくそのとおりだ。
僕らは、いや、僕は、何も知らない。
世界の何をも、まったく知らない人間なのだ。
世界を見なくてはならない。
世界と言っても外国とは限らない。
家から一歩出れば、そこは「世界」だ。
そうだなー、もっと外に出よう。
やっぱり自転車用のヘルメット買おうかな。
追加。
どうやらこの本は、武蔵野美術大学の原ゼミの卒業・終了制作の一環として生まれた作品を、一冊にまとめたものらしかった。
大雑把に言えば、アートの写真集ということになるでしょうか。
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