竹岡式と勝浦式の融合から生まれた「房総式」
京成大久保駅より徒歩3分の「人力船」へ。こちらは、ラーメン評論家の山路力也氏が代表を務める千葉拉麺通信がプロデュースした八千代市「拉通 ra2(閉店)」の姉妹店にあたる。2017年3月にオープンすると、TRYラーメン大賞2017-2018の新店オリジナル部門で1位、味噌部門で4位を獲得。独創的な一杯を提供している。
看板メニューは「房総式ラーメン」。千葉のご当地麺「竹岡式ラーメン」と「勝浦式タンタンメン」を融合するというコンセプトで、元々は2007年に「拉通 ra2」で限定メニューとして始まったラーメンだ。その後、改良を重ねる内に融合というコンセプトからは離れたそうだが、結局、オリジナリティー溢れる一杯に進化を遂げたという。
なお、メニューはこの他、牛脂、牛そぼろ、わさびを合わせた「黒毛和牛の牛脂そば」や、自家製ラー油と醤油ダレを絡めた「辛い油そば」も提供している。どれも魅力的ではあるが、今回は看板の「房総式ラーメン」を頂くことに。オーダーするには5つのステップがある。まずは味を醤油、味噌、カレーの3種類から選ぶことからスタート。
竹岡と勝浦をダイレクトに感じるのは醤油だろうが、店内に漂うスパイスの誘惑に負け「カレー」をチョイスした。そして麺量、辛さ、おじやの有無、トッピングを選んでいく。おじやは残ったスープを丼ごと直火にかけて、熱々に仕上げてくれる。トッピングもチーズや玉ネギ、ニンニクなど種類豊富だが、今回は味玉のみ追加。
ラーメンは陶器の丼で提供。ベースのスープは豚骨、鶏、昆布、煮干し、香味野菜でとった濃厚出汁に、自家製ラー油で辛味をつけたもの。そこにスパイスが加わり、コクのあるカレースープになっている。浅草開化楼の平打ち麺はコシがあり、旨味の強いスープにも負けていない。後から絶妙にラー油の辛味が追ってくるのが憎い。
当初、千葉の2つのご当地麺の融合から始まった一杯というが、このラー油が勝浦式の、カエシに使用されている富津・宮醤油の生揚げ醤油とタマネギが竹岡式の象徴というところか。そして、具材の鶏肉は200グラム。オーダーの度に鍋でスープと煮込んで提供するという、味もボリュームも満たすアイディアである。いやぁ、大満足。
なお、人力船の入居する商業施設「プラザ・グレミオ」は、それほど大きな建物ではないのだが、鶏清湯の人気店「case-K」と、ガッツリ系の「山勝角ふじ」も入居している。京成大久保でラーメンを啜りたいなら、まずはココを目指すと良いだろう。そうそう、今回「case-K」が臨時休業でフラれ、「人力船」の扉を開けたのは内緒である。
<店舗データ>
【店名】 房総式ラーメン 人力船
【住所】 千葉県習志野市大久保1-16-18
【最寄】 京成本線「京成大久保駅」徒歩3分