山の頂から

やさしい風

特殊技術

2010-07-30 23:21:06 | Weblog
 「やっと出来てきたの」
友人が胸に飾った小さなダイヤのネックレスに手を置いた。

 50代半ばで癌で逝った主人の骨の一部で、
ダイヤのネックレスを作る依頼を2年前にしたと聞いた。
その技術はアメリカにあり、日本の何とかいう代理店が窓口なのだそうだ。
テレビでチラッと紹介をしているのを私も視た。
亡くなった肉親を偲ぶ為に、
ネックレスや指輪にしたいと結構多くの依頼があるという。

 それにしても他人事ながら、
友人のそれは中々届かなかったので、
しまいには詐欺なのでは?と口にした矢先のことだった。
費用は50万円。半額を納め、完成後に残りを支払うのだという。
だが、届いたものを拝見して不思議な感覚を覚えた。
小さな粒ではあるが黄色に輝くそれは、間違いなくダイヤだった。
自然の色だが、更に特殊溶液を加えれば青やピンクにも出来るそうだ。
友人の胸元にひっそりと輝くダイヤ。
ほっと安堵のため息をついているように感じた。

 「私の自己満足かも・・・」
友人はそれを愛おしそうに撫でながら呟いた。


       【ネックレス】

    亡くなった夫の骨を特種加工して
    ダイヤののネックレスを作った友人

    その胸に輝く小さな黄色い光は
    星に似ている

    ああ ひとは死んで星になるって
    ほんとうなのね